「安息」(AFPWAA Student Workshop@Gotanda Valley!応募作品)

A young girl walks at a makeshift camp outside the overcrowded Moria camp near the capital Mytilene in the island of Lesbos on November 28, 2019. – Conditions remain difficult in the overcrowded camp in Greece with winter fast approaching. Last week the government announced it will shut down the three largest of its overcrowded migrant camps on islands facing Turkey, and replace them with new closed facilities with much larger capacity. (Photo by ARIS MESSINIS / AFP)

 数ある写真の中から目を引かれた。
写真の中の少女は不衛生なキャンプで暮らしている。彼女は戦争から逃れ、ギリシャにたどり着いた移民だ。そんな人達が集められるのは超満員の難民キャンプ、そこは医療や衛生施設が整っておらず、1つのトイレを70人が使うような場所で難民同士の争いも絶えない。こういったキャンプはギリシャ国内にいくつもある。中にはスラムと化した場所もある。ここに居る難民達の殆どはこの場所を動く事が出来ずにいる。
 戦争の被害者である彼女らがなぜ苦しい思いをしなければならないのか。この移民たちが安心できる普通の生活を送れるようにするには、遠く離れた国に居る私達の支援が必要だと私は思う。(石出 晟子)

[品川エトワール女子高等学校]

ここに掲載されているAFPWAA WORKSHOP作品に於ける「作品タイトル」と「本文(日本語部分)」はあくまでも応募者の見解であり、写真英文キャプション及びAFP通信の報道と必ずしも一致するとは限りません。

企業インタビュー(5) 株式会社ギフティ様

株式会社ギフティ 代表取締役 太田 睦 氏

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第五弾は、ギフトで「人と人」「人と企業」「人とまち」をつないでいくことをミッションに、eギフトプラットフォーム事業「giftee」を推進する、株式会社ギフティ様です。

2019年10月8日、東五反田の齊征池田山ビル2階にある株式会社ギフティ様におじゃまして、CEO太田睦様にお話をうかがいました。

株式会社ギフティ 代表取締役 太田 睦 氏

ーー2019年9月20日に東証マザーズに新規上場したばかりのギフティのオフィスに入ると、お祝いの花でいっぱいでした。

上場直後の株式会社ギフティのオフィス

ギフトで、「人と人」「人と企業」「人とまち」をつないでいく。

ーーさっそくですが、太田さん、ギフティとは、どんな会社なのでしょうか?

株式会社ギフティは、eギフトというサービスを中心に事業展開をしています。eギフトとは、スターバックスコーヒー、サーティワンアイスクリームのような実店舗で、コーヒーやアイスなどの商品サービスと引き換えることができる電子チケットのことです。eギフトの生成、流通、販売を、川上から川下まで一気通貫で行っている会社です。少額のギフトを個人から個人へ贈ることもできるし、法人であれば企業のキャンペーンの景品として配ることができる、そのようなサービスを展開しています。ギフトで、「人と人」「人と企業」「人とまち」をつないでいく。それが当社のミッションです。まだ国内では認知度が低いeギフトを普及させ、日常的な習慣化を目指しています。ギフティは、この目標を達成するために行動指針として定めているのは、一つ目が「エグゼキューション」、日本語で「考え抜く」「やりきる」というもの。二つ目が「スピード」。圧倒的なスピードで関係者を驚かせていこう、というところ。三つ目は「One Team」。社内のチームで物事を成し遂げていこうということ。最後は「10X」、非連続の成長や成果を目指そうということ。以上4つを行動指針として設定しています。行動指針を社内で浸透させるために、評価の中に組み込んだり、社内の日常会話でもこういった言葉を使って説明したり、社内にポスターを貼ったりグッズを作ったり、ということもしています。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。ギフティが重視するグローバルな課題とは?また、そういった社会課題に挑戦するギフティの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

当社のeギフトのプラットフォームにより、様々な課題にアプローチできていると考えています。まず一つ目はソフト面です。今まで人々がちょっとした気持ちを形にする時、あまり手段がなく、言葉で伝える以上のことをしたい場合、実際にものを買って、配送したり、手渡しをしたりで、かなり移動が伴い、CO2も出ると思います。それに対して、贈り手はその場で気持ちを形にしオンラインで贈ることができて、受取った方は近くの店舗で商品と引き換えていただけるのがeギフトなので、かなり環境に優しいサービスです。

二つ目は、地域間の格差をなくしていくというところです。今、新規事業で「地域活性プラットフォーム」と称して、地域通貨、地域商品券を電子化する「Welcome ! STAMP」という事業も展開していて、地域内での活性化や、都市部から地域にインバウンドでお客さんを呼び込むようなサービスや地域限定で利用できる電子商品券、電子乗車券などのソリューションを用意し、それによって都市部と地域の差分をなくしていくことにも取り組んでいます。

「Welcome ! STAMP」のサービスを説明します。「Welcome ! STAMP」のソリューションの1つである「e街ギフト」は、2019年11月に瀬戸内市に初めて導入いただきました。ふるさと納税の返礼品として、今まではお米、お肉、果物など、土地の名産品を郵送でお届けすることが多かったのですが、今回は「e街ギフト」と名付けて、地域内で使える商品券(従来で言えば感謝券)の電子化をしました。また、旅先で納税してその場で返礼品として「e街ギフト」を受け取り、滞在中にすぐ利用できる仕組みとして「旅先納税システム」もあわせて提供しています。

e街ギフトと旅先納税システムを利用すると、寄附後にふるさと納税の返礼品として「e街ギフト」をメールで即時に受け取れます。お近くのe街ギフトが使える加盟店に持っていくと、表示されている金額分、即日買い物ができます。出張や旅行中に寄附と返礼品の消費が可能という点で即時性もありかつ利便性も高く、地域経済にも貢献することのできるサービスです。

環境面と地域間格差の課題にソリューション

テクノロジー面では、これを実際に加盟店で使う時に決済をする必要があるのですが、QRコード決済、SuicaなどICカードを使った決済、クレジットカード決済がありますね。まずQRコード決済だと、利用者がアプリをダウンロードしないといけない。ただインバウンドでは、日帰りや一泊二日などショートステイの方にアプリをダウンロードしてもらうのは非常にハードルが高いです。e街ギフトはウェブブラウザで決済ができます。ICカード、クレジットカードの場合は、専用端末を各加盟店に配らないといけませんが、工事費含め1台10万〜15万ぐらいすると言われます。店舗や自治体側の負担が非常に大きくなるので、当社では電子スタンプというものを提供しています。1台2000〜3000円ぐらいのスタンプを各加盟店に1台、置いておいて、e街ギフトをお持ちのお客さんが来たら、これをお店でポンと押すと決済がされます。このスタンプの特徴は、人間の静電気で動いていて、電池、充電が不要なことです。通信もお客さんのスマートフォンを介して行うため、特別にネットワークを用意する必要もありません。各スタンプの裏側に6個の点がついていて、スマートフォンに接地したタイミングで、スマートフォン側でどの座標が押されたかを認識して、端末がインターネットで当社のサーバと通信すると、誰が、どこの店舗で、今いくら使ったのか、というのが、裏側で記録される仕組みになっています。QRコード決済のようなアプリのダウンロードも不要、10万、15万するような決済端末も不要で、電子決済ができるというソリューションです。

また、地域通貨も、東京都の離島で「しまぽ通貨」、長崎県の離島で「しまとく通貨」を電子化し、現在も運用しています。

「しまとく通貨」「しまぽ通貨」は、もともと紙でした。「しまとく通貨」は、紙の時代に3年間で100億ぐらい流通されていたプレミアム付商品券で、通常プレミアム付商品券は地元住民が買って地元で使うことが多かったのですが、これは少し特殊な通貨で、観光客だけが買えるのです。島外の方にそのプレミアムを目的に来ていただいてインバウンドを増やすという施策なのですが、100億も流通していると、紙の印刷代や、それをお店で管理したり処理したり換金したりする手間がかなり発生して、この部分を何とか解決できないかという話がありました。それが、この事業に参入したきっかけでした。

ギフトは、「人と人」「人と企業」だけではなく、「人とまち」をつなぐのにも活用できないかと、まさにそういったお話があったことをヒントに、少しずつ事業を拡大してきたのです。

株式会社ギフティ ロゴマーク

ロゴに込められた意味

ーーロゴが新しくなりましたね?

前に使っていたロゴは、会社を立ち上げて翌年、サービスを開始したタイミングで作ったもので、当時はまだCtoCサービスの「人と人」の部分だけを展開していましたが、「人と企業」「人とまち」の事業も増えてきたので、ロゴ自体も、今の状態に合わせたアップデートを行いたいねということで、リニューアルを図りました。モチーフになっているアスタリスクには3つの意味が込められています。アスタリスクにはもともと「小さい星」という意味があり、ギフティのギフトは非常に少額でカジュアルなものが多いのですが、もらった瞬間すごく嬉しいというよりは、心にキラッと小さい星が煌くような、そんなイメージが一つ。二つ目は、このアスタリスク、よく見るとそのデザインにリボンのモチーフを使っています。もう一つ、ギフティは「人と人」「人と企業」「人とまち」の掛け算で成立する価値ですが、アスタリスクというのは、エンジニアの使うプログラミングの言語だと掛け算の意味なんです。この3つの意味を、この新しいロゴに込めています。

ーー上場して変化はありますか?

株価を気にするようになりました(笑)。やはり責任感みたいなものは、今の方がより感じるようになりましたね。企業は社会の器と言いますか、まだ顔を合わせたことのない株主さんも含め、そういった方々の期待にちゃんと答えたいという気持ちが今、自然と湧いてきている状態です。

「eギフトってパーツのようだね」

ーー今後の展望は?

ギフティのメリットの一つは「ありがとう」の記録が残ることです。Facebook連携もしているので、将来的には、Facebookの投稿などから出産などのライブイベントを抽出してくるというのもあるかと思いますね。小さいからこそ、いろいろなシーンでハマりやすくて、「ギフティのeギフトってパーツのようだね」とよく言われます。パーツなので、どんなものにでも組み合わせることができるのです。だからこそ、いろいろな会社から協業のご相談などをいただきやすいのかなと感じます。

ーーギフティの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

当社は今、創業して今年で10年目を迎えますが、まだ新卒メンバーは少なく、中途メンバーが非常に多いです。社内の9割以上は中途入社で、前職はIT、事業会社、コンサルと様々、もともと弁護士をしていた人もいます。皆、魅力的なスキルを持ち、そのスキルを生かし、それにeギフトという事業をかけ合わせて、それぞれが活躍しています。会社から何か「これをやってください」とオーダーすることもあるのですが、それよりも、個々人の意志を尊重することをかなり重視していて、自身がどんなことをこの会社で実現したいのかを聴いた上で、最適なアサインをしていくことをだいじにしています。本人としても興味範囲であるほうがアグレッシヴに仕事に向き合うと思いますし、新たなアイデアなどが生まれやすいかと考えています。

社会を前身させるために起業

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

学生時代は勉強に限らず自分が好きなことに思い切り飛び込んで、何か一つを磨き上げると、その後の人生にすごく役立つかと思います。私の場合は、中学高校の時はテニス、大学の時はアカペラにかなりの時間を費やしたことで、そこで生まれた人脈、一つのものへの向き合い方、そういったところが今に生きているかなと感じています。

大学3年生で就職活動をしていた時に、当時ベストセラーになった『ウェブ進化論』という本を読みまして、ちょうどウェブ2.0と言っていた時代で、その本を読んで初めてシリコンバレーの、例えばGoogle,Amazon、Facebookという文化を知りました。お金稼ぎのためではなく、社会を前進させるために世界中から本当に優秀な方々が集まって、プロダクトを作って、それで世の中が前に動いていく、そこで生まれた収益をまた事業に再投資をしていく、というところが、働き方としてすごく魅力的に映りまして、そういった会社を自分で起こしたいと思ったのが、起業のきっかけですね。

株式会社ギフティ 代表取締役 太田 睦 氏

ノウハウや知見を共有する場が自然と生まれる街

ーーギフティをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

昔に比べてスタートアップが五反田に集中して、もちろん経済的な理由もあるとは思うのですが、密集することで、エンジニアの勉強会やCFO会みたいなものが五反田で開催されて、かなり熱気もあり、それぞれのノウハウや知見を共有する場が自然と生まれ、それがとても良い刺激になっているなと感じます。五反田スタートアップマップみたいなものもできて、エンジニアの集まりなども最近、五反田での開催が増えてきている印象があります。当社の社員も勉強会やミートアップに参加してプレゼンもしたり、積極的に情報交換していると思います。

ギフティ初のユーザー向けオフラインイベント「giftee GOOD STORY AWARD」– 2019年10月18日(金)・19日(土)有楽町マルイ1階エントランス

gifteeを利用して「ギフトを贈った」「ギフトを貰った」際の印象的なエピソードをオンライン募集し、応募のあった約100エピソードから社内投票によって選ばれた3つのエピソードがノミネート作品としてパネル展示されました。2日間で有楽町マルイへ来店した方々の投票により、大賞が決定しました。

ギフティ初のユーザー向けオフラインイベント「giftee GOOD STORY AWARD」- 2019年10月18日(金)・19日(土)有楽町マルイ1階エントランス

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

共に創ろう持続可能な社会 第2弾

イベント「共に創ろう持続可能な社会 第2弾〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」を開催します。

(※STI for SDGs=持続可能な開発目標のための科学技術イノベーション)

国連の設定したSDGs(持続可能な開発目標)を達成するために、ものづくりとITの果たす役割は大きいです。五反田バレーの企業の技術とビジョンをどう生かすか、一緒に考えましょう!

日時:2020年2月16日(日)午後1時〜4時(受付開始12時30分)
会場:立正大学9号館 B2階 9B23教室
定員:120名(申込先着順・参加費無料)
内容:
(司会:フリーキャスター 桑原りさ)

  1. 企業のSDGs取組事例
    アイ-コンポロジー(株)、(株)CAMI&Co.、東洋製罐グループホールディングス(株)、(株)近畿日本ツーリスト首都圏
  2. パネルディスカッション「五反田バレー×ものづくりとIT×SDGs」
    アイ-コンポロジー(株)、(株)CAMI&Co.、東洋製罐グループホールディングス(株)、(株)近畿日本ツーリスト首都圏、(株)野村総合研究所、立正大学、品川エトワール女子高等学校、品川区立冨士見台中学校
  3. 提言「五反田バレーで企業と教育をつなぎ、SDGsアクションを!」
    (有)ラウンドテーブルコム 柳沢富夫

主催:(有)ラウンドテーブルコム
共催:立正大学
協力:国際的学習プログラム研究委員会、SDGsポイント研究所@ジャパン、積才房(同)、アイ-コンポロジー(株)、(株)CAMI&Co.、東洋製罐グループホールディングス(株)、(株)近畿日本ツーリスト首都圏、(株)野村総合研究所、品川エトワール女子高等学校、品川区立冨士見台中学校、(株)三井住友フィナンシャルグループ、(株)朝日新聞社、AFP World Academic Archive、(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
後援:品川区

お申し込みはこちら

イベント開催報告「ダイバーシティから生まれるイノベーション〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」

プログラム
2019年12月6日(金)SHIP品川産業支援交流施設4階の多目的ルーム

2019年12月6日(金)SHIP品川産業支援交流施設4階の多目的ルームをお借りして、STI for SDGs(持続可能な開発目標のための科学技術イノベーション)を地域のベンチャー&中小企業の方々と共に考えるイベントを開催しました。主催は(有)ラウンドテーブルコム(後援:品川区)。

テーマは「ダイバーシティから生まれるイノベーション〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」。SDGs等のグローバル課題解決には、さまざまな価値観や文化をイノベーションに活かすためのダイバーシティ推進が不可欠です。五反田バレーでどう取り組んでいくか、一緒に考えましょう!というイベントでした。参加者・登壇者・スタッフ合わせて26名のアットホームな雰囲気の中で行われました。

今回は、五反田バレーで活躍中の企業「コグラフ」「CAMI & CO.」、地域のサポーター「積才房」「国際的学習プログラム研究委員会」「SDGsポイント研究所@ジャパン」による協力のもとで、企画が実現いたしました。

告知には品川区もご協力いただき、商業・ものづくり課の方には大変お世話になりました。五反田バレー地区でSDGs等の社会課題に取り組む企業の認知度向上と、彼ら企業と教育等の多様なステークホルダーとの連携の布石を打つことができました。

また、このイベントには品川区内外から、ダイバーシティの理解と実践の啓蒙活動を通じて持続可能な世界の構築に取り組んでいらっしゃる方々にお越しいただき、前半はパネルディスカッション形式で日本や世界の現状と課題を学びました。

以下、登壇者ご提供資料は、画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

モデレーター:田中裕実子氏(未来技術推進協会)
資料:シンギュラリティ・ラボ発〜TECH女子〜

まずはじめに、モデレーターの田中裕実子様から、AI、XR、ブロックチェーンなど未来技術の社会浸透を推進する(一社)未来技術推進協会、その中でもテクノロジーを使って社会課題(特にSDGs)の解決を目指すシンギュラリティ・ラボから生まれた女性のコミュニティTECH女子の活動のご紹介があり、社会で活躍する女性を応援し、テクノロジーを通して活躍の場が広がるコミュニティーづくりを進めることで、個人も企業も地域ももっとハッピーになれるのでは?という示唆をいただきました。

パネリスト:田中沙弥果氏(一般社団法人Waffle 代表理事)
資料:一般社団法人Waffle団体概要

続いて、お一人目のパネリスト、テクノロジー業界やコンピュータ・サイエンス領域のジェンダーギャップを埋めることをミッションとする(一社)Waffle代表理事の田中沙弥果様から、主に日本全国の女子中高生をターゲットにしたコンピュータ・サイエンスの楽しさを感じてもらうためのイベント、世界的女子中高生限定アプリコンテスト、そして女子学生100名を集めてSDGsの課題をプログラミングで解決するハッカソンなどの活動報告をいただきました。我が国の6〜12歳では女子の66%がコンピュータ・サイエンスに興味を持っているのに、13〜17歳では32%、大学入学時には4%と、大幅に減少してしまうという数字はショッキングでした。

パネリスト:安田クリスティーナ氏(Forbes 30 U 30 in Politics、InternetBar.org理事、マイクロソフト
資料:BLTS(Business, Law, Technology, Society)の交差点に立つ

そして、お二人目のパネリスト、Forbes 30 U 30受賞者、InternetBar.org理事、マイクロソフトCorp. DevRel クラウド&AI プログラム・マネージャーである安田クリスティーナ様。「私の中にダイバーシティが流れている」という言葉そのままの経歴を活かし、大手企業勤務の傍ら、NGOで理事を務め、ブロックチェーン技術による難民支援を通じて「世界をよりよくしたい」というパッションを追求する生き方は参加者の心に響いたようでした。

「日本社会の全般や企業の採用現場でのダイバーシティの現状と課題」に関するディスカッションでは、「ダイバーシティというと女性ばかりがクローズアップされるのはおかしい。高齢者・障がい者など、もっといろいろあるはず。(安田氏)」「日本企業は本気で意識を変えないと、優秀な人材がどんどん離れていってしまう。(田中沙弥果氏)」といった熱い議論に、会場では大きくうなずく方々が見受けられました。

後半は、地元の五反田から2社による企業プレゼン。

企業プレゼン:森善隆氏(コグラフ株式会社CEO)
資料:コグラフ株式会社(1)
資料:コグラフ株式会社(2)
資料:コグラフ株式会社(3)

まず、コグラフ(株)からCEOの森善隆様に、エンジニアの90%が海外国籍、ほぼ全員がバイリンガル、というダイバーシティ環境の職場を運営する秘訣をうかがいました。やはり大切なのは「ドアをオープンにする」ことだと納得が行きました。また、五反田の有志企業による「五反田ウェルネスコミュニティ(ゴタウェル)」をはじめ、地域と連携しながら取り組んでいらっしゃる活動をご紹介いただきました。

企業プレゼン:池田諭史史(株式会社CAMI & Co. CFO兼CHRO)
資料:株式会社CAMI & Co.

続いて、(株)CAMI & CO.からCFO兼CHROの池田諭史様が、これまで経験した職場から、文化も言語も違うメンバーがダイバーシティを認め合い、チームが大きく成長した話、一方で法改正や業界の景気悪化のあおりを受けて、モチベーションが下がりチームが崩壊した苦い経験と、両面の体験談を語ってくださいました。結論として、フルリモートでもプロジェクトを前進させるには、「ビジョンの共有」が不可欠ということでした。

その後、限られた時間でアンケート記入と同時進行になってしまいましたが、参加者どうし、参加者と登壇者で、交流の時間を持ちました。

クロージング:柳沢富夫(有限会社ラウンドテーブルコム)

最後に、(有)ラウンドテーブルコム代表取締役の柳沢富夫より、当日のまとめと、「五反田バレー × SDGs × 教育の輪をつなごう!」という提言をいたしました。「五反田バレーの企業と地域の教育現場、自治体を繋ぎ、『知る』『考える』『行動する』の3ステップを子どもたちが自ら体験できる環境としての地域づくりを目指しています。年が明けて2月16日には立正大学品川キャンパスでもSTI for SDGs@Gotanda-Valleyのイベントを開催します。五反田発で全国にこのような活動を広めていきたいと願っています。」

企業が半数強、残りがその他団体と教育機関(教員・学生)半々、といった当日の参加者からは、「色々な話が聞け、時間が短く感じました」「登壇者の話が非常に興味深かった」「ダイバーシティの対応にも色々な事例があると実感しました」と好評をいただきました。「(もっと)テーブルディスカッションしたかった」「もう少し時間がほしかった」との課題もあり、今後に活かしたいと思います。

文:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(4) ソーシャルアクションカンパニー株式会社様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第四弾は、ブロックチェーンなどの技術を使い、これまで証明できなかった1人1人の社会貢献を見える化し、より多くの人の活動(ソーシャルアクション)を定量化、「愛と勇気とお金の等価交換」を実現するプラットフォーム「アクトコイン」を提供する、ソーシャルアクションカンパニー株式会社様です。

2019年10月4日、西五反田のアイオス五反田駅前ビル5階にあるソーシャルアクションカンパニー株式会社様におじゃまして、CEO佐藤正隆様にお話をうかがいました。今回も「次世代レポーター」として立正大学品川キャンパスの学生、そして撮影スタッフとして関東学院大学人間共生学部の学生も取材に参加しました!

ソーシャルアクションカンパニー株式会社 代表取締役 佐藤 正隆 氏

ーーソーシャルアクションカンパニーのオフィスに入ると、インターン学生を含む若い方々とCEOがテーブルを囲んで侃々諤々、企画会議の真っ最中でした!

愛と勇気とお金の等価交換

ーーさっそくですが、佐藤さん、ソーシャルアクションカンパニーとは、どんな会社なのでしょうか?

ソーシャルアクションカンパニーは、2018年5月設立の会社です。設立前から、NPO業界やソーシャルビジネスに5年ぐらい関わってきました。経済的な価値が労働対価(給料など)になり、それが指標になっている今の社会と、一方でボランティアや寄付といった社会貢献が可視化されていないことに、疑問を感じていたというのが、アクトコインというビジネスを創るきっかけでした。2017年末ぐらいから構想を始め、2018年1月から春にかけてアクトコインという名前ができました。その時に、世界を少し良くする力として、「愛と勇気とお金の等価交換を実現する」というビジョンを立てました。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。ソーシャルアクションカンパニーが重視するグローバルな課題とは?

SDGsには17の目標がありますが、さらにその下にたくさんのターゲットがあって、我々ができるところも、たくさんありますよね。まず今よりも少しだけ良くするためには、そこで活動する個人たちがアクターになっていかないといけないということで、アクトコインでは「ソーシャルアクター」と呼んでいるのですが、そのアクターをいかに増やすかというところを、今やっています。SDGsの目標でいうと、17番にあたるパートナーシップと協働を強く推進していくプラットフォームがアクトコインです。もともとは、アクトコインを企業や公的な機関に使ってもらいたいというよりも、個人というところから始まっています。例えば日本でも、地方で人知れずボランティアをやって課題解決に向かっている人たちもいるのですが、そういった人たちが見える化していないがゆえに、社会課題を知らない大人もたくさんいる、というのが現状だと思うのです。1つの問題でも、いろいろな切り口で取り組んでいかないと、なかなか解決に向かわないので、そういったことをまず大人が知るという意味で、このアクトコインでソーシャルアクターをたくさん創り、実際に知ったことで行動に移っていく、そういったアプリケーションを実現したいと思っています。

ユーザーフレンドリーな「アクトコイン」のアプリケーション

ーーそういった社会課題に挑戦するソーシャルアクションカンパニーの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

テクノロジーに関しては、2つあります。1つ目は、IT技術、例えばスマートフォンのアプリケーションにおいても、使いやすくて楽しい形を実現していきたいなと思っています。ですからデザインも、非常にフレンドリーかなと思います。これまでの、社会貢献というと少し違う世界のもの、というようなイメージではなく、学生から大人まで、みんなが参加して楽しくやれる、という雰囲気作りをしていまして、そういった意味では、アプリケーションの開発にも非常にこだわっています。

2つ目は、ブロックチェーンの活用です。私が2017年頃に構想していた頃、ちょうど仮想通貨にブロックチェーンが使われて、いろいろな事件もあったかと思いますが、その時に私がやろうと決めたのは、社会貢献を可視化しよう、そこにブロックチェーンが役に立つのではないかということでした。ブロックチェーンは匿名性があって透明性が高い技術なのですが、社会貢献を可視化していくという意味でブロックチェーンのデータベースに個人のアクションが記録されていくというものはそれまで全然なかったので、社会貢献を可視化するブロックチェーンのデータベースをアクトコインで作ったわけです。今はアクトコインの中での社会貢献だけしかブロックチェーンに書かれないようになっていますが、アクトコインの理想としては、これからいろいろなサービスとどんどん繋がっていって、アクトコイン以外のサービスにおいても社会貢献活動がブロックチェーンに書かれるようになり、社会貢献を記録するスタンダードなデータベースが1つできればと思います。APIという、いろいろなシステムどうしが繋がってデータが行き来する技術があるので、どこで社会貢献をしてもアクトコインと繋がっているというイメージで、2025年ぐらいまでには、社会貢献のスタンダードなブロックチェーン・システムにまで発展させていけたらなと思っています。

社会貢献を可視化、新しい価値に

ーーアクトコインは、仮想通貨なのですか?

アクトコインは仮想通貨に類似していますが、仮想通貨ではありません。売ることも買うこともできません。電子トークン、ポイントと言ってもいいですが。

ポイントというのは、日本人には馴染みがありますが、でも、もしこれがアクトポイントだったら、イノベーティブな感じが伝わらないと思うのです。これまでの延長かと思われてしまう。私がやろうとしているのは、社会貢献を可視化して、社会貢献に価値を与えようということで、将来的には日本円を出さなくても、このコインで何かできるようにしていこうとしています。ポイントも今、それに近いことにはなっていますが、これまでの概念を超えてアクトコインというのを広げていきたいと思っているので、アクトコインという名前をつける時に、いろいろな人から「コインってつけて大丈夫?」と言われたのですが、「いや、コインで行く。新しい価値にしていくので、ポイントという名前は使いません」と、そこはけっこうこだわっています。それでよかったと思っています。学生などは、「これって仮想通貨なのかな?」というところから興味関心を抱いて、「あれ?ブロックチェーンというのを使っているらしいよ。仮想通貨なのかな?これ何なのだろう?え、買えないし売れないってどういうこと?」みたいなところから入ってきてくれても、全然いいかなと思っています。

「アクトコイン」とブロックチェーンの関係の概念図

ーー実際に、どういうことが起きるのでしょうか?

まず、「プロジェクトオーナー」という言い方をしていますが、企業や自治体や任意団体の方が、何かイベントに参加してください、もしくは、こういうアクションをしてください、といったことをプロジェクトとして立てます。そこに参加などのアクションをするのは個人ユーザーです。プロジェクトオーナーには専用の管理画面を渡していまして、そこでプロジェクトも作れるし、プロジェクトに参加した人にコインの付与も簡単にできるようになっています。

3つの方法でコインを獲得

コインをもらう方法は3つあります。まず、プロジェクトオーナーが作ったプロジェクトに参加すると、1時間あたり1000アクトコイン。参加はできないけど、SNS(Facebook、Twitter)でシェアすると、100アクトコイン。もう1つは、その団体に寄付をする。これはアクトコインの中で寄付をするのではなく、普通にどこかの団体に寄付をした時に、その団体から領収書、寄付証明書をもらえるのですが、その証明書を写真に撮って、アプリからアップロードすると、寄附金額の10%(例えば1000円寄付すると100アクトコイン)のコインがたまります。

ーー社会貢献の内容によって、評価基準はどのようになっているのですか?

寄付は金額なのでみな平等だし、シェアは1回あたり100アクトコインですが、参加だけは、学ぶ、勉強しに行くのと、例えば被災地にボランティアに行くのは、質が違うと思います。そこに関して、今は1時間1000アクトコインと同じ設定なのですが、これは近いうちに、3段階、もしくは5段階に分かれていきます。例えば、まだ社会課題のことをよくわからない、こういったことに興味があるので、まずは学んでいきたいという人に関しては、1時間あたりのコインが少なくて、例えばゴミ拾いの活動だったり、自らが汗をかいて行動するものに関してはこのレベル、さらに移動距離が長かったり、緊急性の高いものに参加すると、もらえるコインが割合として大きくなるとか、そういった形で、少し段階分けをしようと思っています。

ーーなるほど。最初に2030億アクトコインを発行したのは、SDGs達成目標の2030年に掛けたのでしょうか?

そうですね、2030年までに目標を達成しようというのがまず1つと、もう1つ、社会貢献を可視化していくというのは、2〜3年でできるわけではないだろうと思った時に、このサービス自体が、「働く」とか「幸せ」とかの要素は何か、社会に貢献することだ、という文化というか価値観を、2030年ぐらいまで10年あれば何かやれるな、というところで設定しています。数字は何でもよかったのですが、でもやはり2030億にしたのは、そういう意味付けです。2030億枚を配布していって、それを使えるようにしていき、使われたらまた戻りますので、2030億枚が付与されるのと使われるのとで、循環していく形になりますね。

2030億アクトコインが循環する世界をめざす

ーーその他に、今後の展望として考えていることはありますか?

まずは、このアクトコインというサービスにたくさんのユーザーが集って、社会貢献に参加したり寄付をしたり、そういったトランザクションが、やっていて楽しい、コインがもらえると嬉しい、みたいな形で、まずは進めています。現在3500ユーザーぐらいですが、東京オリンピックまでに3万ユーザーを目指しています。ユーザーをある程度の数に増やしていくことによって、アクトコインのインパクトを高めていくというところが、まず1つあります。

さらに社会実装として広く普及していくためには、企業や自治体との協働が必要になってきます。現在企画中ですが、自治体版、企業版のアクトコインというのを、これから準備を進めていって、2020年以降はそれをサービスとしていろいろな自治体や企業に使っていただき、そこで参加する人たちがすべてアクトコインのユーザーとなって、社会貢献をするとコインがもらえるという実体験をする人たちがどんどん増えていくような状態にしていきたいなと思っています。

ーーそれは、これまでのアクトコインと、どう違うのでしょう?

現在もプロジェクトオーナーとして企業や自治体はアクトコインの中にいますが、企業だとやはり自分たちの中だけでやりたいよねというのがあって、企業の中だけでアクトコインの機能が使える有償サービスに対するニーズがあるのです。アクトコイン自体は誰でも無料で使えるサービスとして継続しつつ、アクトコインのシステムを応用して、企業や自治体の中で活用できる有料サービスも、今後提供していこうと思っています。

アクターは個人で、企業はプロジェクトへの参加を促す役割です。企業の貢献度については、コインを付与したプロジェクト、付与した人数、付与したコインの数が指標になります。企業内の社員がどれだけ社会貢献しているかを、企業のくくりとして見れるのが、企業版のメリットです。今はアクトコインの中で、プロジェクトオーナーとして企業がページを作った時には、企業以外の人が参加してくるという良さもあります。でも、まずは企業の中で完全クローズで使いたい、社員教育の一環や、福利厚生でやりたい、という企業には、企業向けのプランをご利用いただき、アクトコインと同じ機能を使っていただく。そこでたまったコインはアクトコインと連携していく、というイメージです。企業は、社員が何人参加して、どういうプロジェクトにどれぐらいのコインが付与されたのか、可視化されることで、企業の社会貢献が見える化されるわけです。

ソーシャルアクションカンパニー株式会社 代表取締役 佐藤 正隆 氏

それ以降に関しては、まだ具体的ではありませんが、個人が社会貢献をするとコインがもらえるということでモチベーションが維持されるというのがサービスとして最もだいじな大前提として、では、たまったコインが何に使えるかというところに関しても、いろいろとお問い合わせいただいていまして、そこも今、企画しています。

アクトコイン活用イメージ

ーーそれは楽しみですね。具体的には、どういうところに使えそうだと思いますか?

使うというところに関しては、すべて企画ベースになると思います。例えばアクトコインのユーザーが3万人になった時に、1万アクトコイン以上持っている人たちに、こういう使い方をしてほしいという企業が出てきたら、そことタイアップして、その企業からいただくお金でその人が何かアクションできるとか。例えば、地方自治体が主催するイベントに、社会性の高い人を都心から呼びたいとします。そこで、アクトコインを持っている人たちはアクトコインを使って入場料が無料になるとか、もしくはその街で宿泊する宿代が無料になるとか、そういったこともすべて、自治体や企業の企画ベースですね。そこがアクトインのビジネスになっていくと思います。

ーー災害も、多様な人々が協働する機会かと思いますが・・・

もちろん災害も、アクターが活動する1つのタイミングだと思うので、そこのアプローチはしていきたいです。取締役の石川も災害関連のことをやっていますので。ただ、アクトコイン自体が、2019年2月1日に開始したばかりで、2〜3年やっているサービスではなく、やっと8ヶ月過ぎたところです。これからは、災害、気候変動、子どもや人に関すること、というように、もしかするとセグメントされて、アクトコインの使い方のレギュレーションがもっとカテゴリーごとにわかりやすくなっていくのが望ましいかもしれないですね。今は全方位で情報を伝えようとしているので、少しコミュニケーション・ロスがある部分はありますね。たしかに、災害が起きた時にすぐに情報を伝えていって使っていただけるような、もしくはつい先月に起きた災害に対して、アクトコインを付与しますというような、過去のものに対して証明していけるようなものも、あってもいいかもしれません。

その他、ボランティアに行く時のボランティア保険を、アクトコインを持っている人は免除されるとか、アクトコインが使えるとか、もしくはアクトコインの中からオンラインでボランティア保険に入れるとか、そういうこともやっていけたらいいなと思っています。保険会社とも組めるのではないかと思っています。

官公庁や企業から注目

いろいろな省庁でアクトコインを説明に行かせていただいていまして、そういった中でも、関心高い人がだいたい私と同じ世代なのです。今まで省庁で働いてきたり、もしくは大企業で働いていて省庁に出向している人とか、そういった30〜40代前半の方々がアクトコインをピックアップしていただいて、こういうのがこれから必要ですよ、みたいな話でどんどん繋がっていっているのです。

企業も同じです。実は昨日、大企業の社員と一緒に食事をしたのですが、私も大阪で会社を経営していますし、企業の経営者も課題を持っていて、社員もこれからどのように仕事に関わっていくか、働き方がだいぶ変化してきていると思います。今までの中小企業では、雇用しているのだから100〜120%貢献してもらわないと、みたいなところがけっこうあったのが、そういう会社には人が集まらないので、働く人が曜日や時間や場所を選べるような社会に、これからなっていくと思うのです。例えば、私は来期はボランティア活動をやりたいので、出勤を週5から週3に変えてください、というのが簡単に申請できて受理されるような日本に、たぶんなっていくと思うのです。大企業の一部はもうなっています。副業であれば、その副業で得た収入というのは定量化されているわけですが、そうではない場合、今は何も見えていないので、そこにアクトコインがどんどん使われていくといいかなと思っています。

ーーグローバル展開も視野に入れていますか?

東京オリンピックを目処に、英語版をリリースできたらいいなと思って今、進めています。英語版をリリースすることによって、アプリにおいては世界共通で、アジアや欧米でプロジェクトオーナーが増えていけば、その地域で広がっていくと思って、そういったところはやっていきたいなと思っています。

日本らしいボランティア文化をグローバルに可視化

ーー海外と日本で、ボランティアに対する意識は異なると思いますか?

なんとなくですが、アメリカなどの方が、ビジネスは合理的に、そのビジネスで得たものやそのリソースの余力をボランティアに充てていく、みたいなところが、日本よりもはっきり分かれているかなと思いますね。日本人って、曖昧さを持った国民だと思うのです。日本語の言葉のニュアンスの細かさは、よく外国人に驚かれますが、日本語があれほど多様になっているのも、中国の文化、欧米の文化、いろいろなものを吸収して、それらがミックスされているからでしょう。ボランティアも、今は欧米起源のボランティアというものがありますが、実はお寺や神社という文化が昔からあって、ある意味ボランティア的なものが、日本人の生活、ライフスタイルの中にあったと思うのです。だから今さらそれを可視化するというのは、昔ながらの日本人的には、なくてもいいかもしれませんが、現代のグローバルな世界で、学生たちも留学など海外へ出ることが当たり前になっている中で、時代も変わってきたというのはありますよね。昔は村社会だったので、村の中に神社やお寺があって、地域自治、町内会などもある。それらもボランティア活動だったと思うし、今もあるのですが、今はインターネットやスマートフォンが普及したことで、村社会の中だけではとどまらなくなってしまった。世界にいつでもリーチできて、比べられるようになってきた、という中で、日本人は日本人で自発的にやればいいのかというと、でも私の経験として、課題がたくさんあって、そこに関わっている人もたくさんいるのに、そういうのを知らない日本人もたくさんいるのです。可視化することで、課題や、そこに関わってきた人たちのことを知ってもらって、少しモチベーションが上がったり、というのも必要なことだと思うので、アクトコインを使っていただいて、可視化できたら素晴らしいなと思っています。

ーーソーシャルアクションカンパニーの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

今はイノベーションというのも、どちらかというと、社会貢献をしたら嬉しい、楽しい、喜びに繋がる、究極的に言うと幸せに繋がる、というように思っていまして、であるならば、それがいいと思っている人たちは、すでにやっているはずです。そういう人たちを可視化してあげたいという思いがまずあって、同じく、社員に関しても、こういったサービス自体が新しいものなので、アクトコインを広げたい人は、大学生や社会人の中にたくさんいると思います。人材獲得と採用については、私たちのやっていることを知っていただいた時に、これを一緒にやりたいという方は日本全国にたくさんいるので、そういう人たちと一緒にアクトコインを広げていけたらなと思っています。

グリーンがあふれるソーシャルアクションカンパニー株式会社のディスカッションスペース

若い世代がアクトコインのアンバサダーに

今、大学生のアルバイトが5人、インターン(「ユースアンバサダープログラム」という大学生が参加できる枠)が15名以上になっています。ユースアンバサダープログラムは学生主導で作ったのですが、いきなりアルバイトで働くのではなく、学生が運営する中に、アクトコインに興味関心があるので私も関わりたいという人たちが気軽に関わってもらえるようなグループになっています。今後は、このユースアンバサダープログラムが主催するアクトコインのプロジェクトに、またさらに学生が来たり、社会人、企業とコラボレーションしてイベントをやったり、というような企画を考えています。

高校生に関しては、東京都内の高校でプロジェクトオーナーがすでに誕生して、高校の部活動で使われるようになっています。いわゆるボランティア部みたいな部活動です。それは大学でもありえると思いますが、今、中高大学生からの関心は非常に高いので、若い人にどんどん参加していただきたいと思います。

ーー逆に、上の世代の方々の反応はどうでしょう?

上の世代の反応は分かれます。例えば60代以上の方を想像した時に、当然いろいろな価値観の人たちがいるので、良いという人も悪いという人もいるのですが、これまでの60代の方々でボランティアイズムに優れた人は、ボランティアをわざわざ可視化するものではない、当然のことながらやっているのだという意識があるようです。たしかに、ボランティアは素晴らしいですが、そのボランティア自体が、やはりクローズドなのですよ。今、最重要なのは、ボランティアをオープンにして、それをやっている人たちをちゃんと評価して、価値にしていくということで、だからやっている本人が出したい、出したくない、ではないのです。今どんどん社会課題が複雑化していて、課題ではなくなってきているものもある一方で、新たな課題も出てきています。それらをみんなで一緒に、活動の量も測りながらアクションしていく、価値を増やす。可視化すればアクションする人たちも増えていくと思うのですが、そういう意味では、60代以上でボランティアをやっている人たちに関しては、アクトコインを説明するのに、すごく時間がかかります。説明しても、もらった1000アクトコインは、「何これ?」みたいな、「可視化ってどういうこと?」みたいな話になることが往々にしてあります。逆に、若者にはスッと入るようです。

ーーソーシャルアクションカンパニーをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

「五反田って大阪っぽい」

もともと渋谷で創業して、五反田に移ってきました。私自身がもともと大阪でIT企業を経営しているのですが、五反田ってすごく大阪っぽいなというところがあって、わりと駅、お店、人が近くて、コンパクトで、生活しやすい街だなという印象ですね。

今後は他のIT企業とのお付き合いの場もあるといいですね。アクトコインで2ヶ月に1回、アクトコインのユーザーやプロジェクトオーナー向けのミートアップ・イベントをやっています。ユーザーやプロジェクトオーナーが、お互い会う機会がないので、会う場があったらいいね、という話がありまして、それをアクトコイン側として2ヶ月に1回、やっていこうということで、勉強会をセットにした懇親会をやっています。9月に第1回をしたばかりで、20人ぐらいでしたが、徐々に広げていきたいと思います。これに参加するとコインがたまるように、ゲスト講師を招いて学ぶ場にもしつつ、プロジェクトオーナーになろうと思っている人たちにも来ていただいて、そこで直接ご説明したりしています。

ソーシャルアクションカンパニー株式会社のオフィスから眺める東急池上線

ーー最後にあらためて、小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

今の2019年から2030年までに、これまでのインターネットで起きてきたことの、さらに速いスピードで、いろいろなことが変わっていくと思うのですが、でも結局のところITは活用していかないといけないので、このアクトコインなどもそうですが、若い人にどんどんITを活用して、社会課題解決に興味関心を持っていただきたいです。まずは知らないといけないので、学生のうちに、SDGsや、気候変動や、再生可能エネルギーなど、学べることはたくさんあるので、そういったことをどんどん吸収して、ソーシャルアクターになってほしいですね。卒業する時にはアクトコインをすでにダウンロードしていて、ソーシャルアクターの学生がたくさん世の中に出てきてほしいなと思っています。

ソーシャルアクションカンパニー株式会社様へ
「次世代レポーター」からの取材感想

「ただボランティアに参加する以上に、深い意味を持たせたり、より広く社会的影響を与えることができることをソーシャルアクションカンパニー株式会社では行っていた。ボランティアは表立って行うものではないと、このインタビューをする前まで考えていたが、話を通じて可視化されることの重要性を認識した。可視化されない活動は、普段その活動に参加しない人にとっては知る由もないことであり、活動の縮小に少なからず影響してしまう。しかし、可視化されることによって多くの人が活動の存在自体を知ることができ、活動の拡大に影響を与えることができる。多くの人がボランティアに参加できるような環境を作るために、ボランティア活動を可視化していくことが重要なのだと理解した。また、ボランティア活動が周知されるだけでなく、誰が、どのくらい、社会貢献をしているかも見えるようになるため、人にも価値を与えることができる。人に見える価値がつくことはより先進的なことであると同時に少なからずの恐怖を感じるが、社会貢献という良い面を価値化していくことはとても魅力的に思った。」(立正大学心理学部3年 馬塲 孝佳)

ソーシャルアクションカンパニー株式会社 ロゴマーク

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(3) アイ-コンポロジー株式会社様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第三弾は、バイオプラスチック複合材の活用によるSDGs推進の取り組みで今年度、第1回「STI for SDGs」アワード優秀賞を受賞した、アイ-コンポロジー株式会社様です。(このインタビュー後の10月31日に受賞発表

2019年10月2日、北品川の大崎ブライトコア4F「SHIP 品川産業支援交流施設」にアイ-コンポロジー株式会社様を訪問して、代表取締役の三宅仁様と取締役の小出秀樹様にお話をうかがいました。前回に続いて今回も「次世代レポーター」として立正大学品川キャンパスの学生も取材に参加しました!

アイ-コンポロジー株式会社 代表取締役 三宅 仁 氏(写真左)と取締役 小出 秀樹 氏(写真右)

ーー大崎駅徒歩5分の「SHIP 品川産業支援交流施設」は、異分野の企業が交流できる会員制オープンラウンジとベンチャー企業が支援を受けられるシェアオフィス、貸し会議室、3Dプリンターもある工房エリア等から成る空間です。

バイオマスプラスチックの普及めざし起業

ーーさっそくですが、アイ-コンポロジーとは、どんな会社なのでしょうか?

三宅(敬称略、以下同じ):2016年にできたばかりの会社です。以前にいた石油会社では非常に大掛かりな仕事をしていたのですが、これからの社会で石油全盛時代は行き詰まると予感して、当時はまだあまりもてはやされていなかったバイオマスプラスチックを何とか世の中に根づかせるのが私たちの使命だと思いました。それでベンチャーを立ち上げたのです。皆さんが納得できる新しい材料を作り出そうという、技術指向型の企業です。一つは、木粉と従来のプラスチックの複合材。そして、今まさに生み出そうとしているのが、生分解性の複合材。海でも土の中でも生分解する、オールマイティーをめざして、都立産業技術研究センター(産技研)と共同開発をしているところです。その他にも、セルロースナノファイバーなど、いろいろな複合材でも成功しています。そういった、新しくて世の中の役に立つ材料を作っていこうという企業です。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。アイ-コンポロジーが重視するグローバルな課題とは?

三宅:人類はずっと石油中心の時代に生きてきたのですが、今、環境問題が世界中で叫ばれています。CO2、温暖化ガスの問題は欧米では喫緊の課題と捉えられています。日本は海洋国家で、海の問題もあります。いろいろな環境問題に対して、何か世の中に残したいものを残していこう、ということを目指しています。

環境問題に3ステップの挑戦

ーーそういった社会課題に挑戦するアイ-コンポロジーの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

小出(敬称略、以下同じ):弊社が開発している製品は、バイオマスのフィラー(直訳すると「満たすもの」という意味で、プラスチックに混ぜ込む粉のこと)といろいろなプラスチックを複合化させたものです。木粉などバイオマス粉を入れることで、石油由来の樹脂の使用分量を減らし、最終的に焼却処分する時にカーボンニュートラルで、CO2の削減を図ろうというのがまず1つです。さらに今後は、プラスチック成分についても、とうもろこしやサトウキビの残渣などから作られるプラスチックとバイオマスフィラーとの複合材で、最終的に燃やす時に発生するCO2が理論的にはゼロに近くなる、というのが次の段階かと思います。そしてその先には、もう一つの課題である海洋プラスチック問題ですが、これについては、バイオマスフィラーと海洋生分解性のポリマーを組み合わせることで、海に万が一流れ出しても一年以内に分解する、というものを作り出すことが可能になります。

ポリマーや樹脂自体は大手のケミカルメーカーが作っているので、それにバイオマス成分を複合化することで、ボトルネックの緩和や、コストダウンなどにも貢献できるのではと思います。

バイオマスプラスチック複合材の製造スキームと様々な成形方法

ーー具体的には、どんなところが画期的なのでしょうか?

小出:これまで木粉とプラスチックの複合材 (ウッドプラスチック材、WPC)を使った製品は、家庭や公園にあるウッドデッキなど、「押出成形」といって熱で溶かした樹脂を金太郎飴のように同じ断面に押し出して長尺のものを作る方法で製造されていました。これは樹脂の流動性などにあまり影響なく、比較的簡単な技術で作ることができました。一方、バケツやオモチャなど形のあるものだと、熱で溶かした樹脂をたい焼きのように金型に押し込み冷やして固める「射出成形」という量産に適した方法になります。私たちのウッドプラスチック材は、この射出成形など、いろいろな既存の成形方法に対応できるようにする必要がありました。まず、水と油のように相容れない関係にある、バイオマスフィラーとプラスチックを、うまく分散させてやらなければいけません。そこで、新たな分散剤の開発や探索をして、流動性向上剤などの検討も行いました。これにより、今まで非常に流れにくかった樹脂をきれいに流すことができるようになりました。なぜこれが難しいかというと、通常は樹脂の流れを良くしようとすると、温度を上げなければいけないのですが、バイオマスフィラーは200度ぐらいで熱分解が始まってしまうので、あまり上げることができない。200度以下でうまく流れるようにしなければいけない、というのが大きな課題でした。そこを解決したのが、私たちの技術です。

三宅:私たちはもうだいぶ前から、従来のウッドプラスチックでは不可能だった、例えばトレーなども、射出成形できるようになっています。着色もでき塗装も可能で、形も多様なものができます。プラスチックの世界では、革新的な技術でした。

「射出成形」の解説をするアイ-コンポロジー株式会社 代表取締役 三宅 仁 氏

アイ-コンポロジーが世に問う環境・経済サイクル

ーーメリットは?

三宅:今、特にヨーロッパでは、バイオエコノミー、サーキュラーエコノミーと呼ばれる、原材料として木などの天然物を使う動きが、ものすごく盛んなのです。2011年にはもうヨーロッパ全土に指令が出ていました。日本はそれがずいぶん立ち遅れているのが実情です。弊社の素材はまさにバイオエコノミーにそのまま当てはまり、当時は世界に照らし合わせても最先端の技術でした。今はヨーロッパではもう当たり前に作れるようになっています。

それなら、私たちのはもっと成形性がよくならないかと、ボトルだとかを、日本の技術をいろいろ寄せ集めて作っています。

さらに重要なメリットとしては、未利用のバイオマスを使うことで、SDGs的に見た場合に、中山間地域での支援にも繋がることです。未利用資源の有効活用を通じて新たな産業の発展森林の保全、そういったことにも貢献できるのが、有機フィラーを使うメリット、特徴です。ここまでが、第一段階。

小出:第二段階は前述の、カーボンニュートラルによる脱カーボンですね。そちらを進めるために、今はバイオマスからできたポリエチレンなどと混ぜ合わせることで、ある程度の技術が確立できています。さらに、第三段階の生分解についても、ほぼ目処が立ってきていますので、今年度中には、ある形にしていきたいと考えています。

三宅:海でも生分解が可能な、ペレットのような小さい成形品も弊社は作っています。もう少し強度を上げようとしているところです。本来、海に流してはいけないのですが、万が一流れてしまっても、試験条件では90〜100日ぐらいで、通常の条件下で生分解、つまりCO2と水に分解します。もともと植物性のものが原料になっていますので、これもカーボンニュートラルと言えるでしょう。安倍総理が6月のG20で大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けた意思表明をしましたが、そういう動きにマッチする素材を、弊社のようなベンチャーでも少しずつ研究開発しているという状況を皆さんに知っていただきたいと思います。直近では、こういう素材でスプーンやフォークを実験的に作ろうというのも、東京都の産技研と一緒に進めています。

「環境性能」優れた製品、日本から発信を!

小出:生分解性ポリマーは、まだ非常にコストが高いです。通常のプラスチック(ポリプロピレンなど)の3〜4倍します。供給量もまだ非常に少ないです。弊社のように半分バイオマスを混ぜれば樹脂は半分で済むので、加工賃を入れても、ポリマー単体よりは安く*できて、使いやすくなるはずです。(*汎用プラスチックと呼ばれるポリプロピレンやポリエチレンなどに混ぜるケースではまだコストアップになるが、例えばキロあたり700〜800円単価の樹脂に100円の木粉を混ぜれば平均してコストダウンになる)

三宅:もともと私たちはプラスチック業界にいたので、コストを下げることと性能を上げることを両立させたいと思っています。どの業界でも、価格がまず問われます。それから性能。使用する時の強度や物性が問われます。それに加えて、これからは必ず、環境性能、これも性能の大きな要因の一つに数えられる、ひょっとしたら一番目か二番目に上がるかもしれません。プラスチックを今すぐゼロにしなさい、明治時代に戻りなさい、と言われても、無理だと思います。では、いかに環境に負荷をかけないような使い方をするか、メリットのところは残しながらエコフレンドリー(エコノミーではなくエコロジー)に、というのが、人間の、日本人の知恵だと思います。これを日本からどんどん発信していけたら素晴らしいなと思います。

小出:基本的には、3Rと言われる、リユース、リデュース、リサイクル。これをやらなければいけないです。そこでどうしても削減できないものは、CO2の発生を抑制するとか、万が一流出した時にどうするとか、といったところを考えること、プラスRのリニューアブルということが必要になってくるかと思います。あと、樹脂を削減するということでは、もう一つ昔からあるのは、無機フィラーを入れるという方法です。鉱物を入れてプラスチックの量を減らそういう試みが、ゴミ袋などにはあったのですが、無機物だと燃やした時に重量の半分は灰として出てくるので、今度はその灰をどうするかという問題があります。有機フィラーを使えば、そういった面でもメリットになるのではないかなと考えています。

3Rプラス「リニューアブル」の必要性を力説するアイ-コンポロジー株式会社 取締役 小出 秀樹 氏

ーー消費者、企業等、マーケットの反応はどうでしょうか?

小出:ヨーロッパでは、環境に良い高い製品と、環境にそれほど配慮していない安い製品があれば、一般消費者も環境に良い高い製品を買ってくれるのですよ。日本の場合は、まだ「安いほうがいいよ」ですよね。個人個人の認識を変えていかないといけないかなと思っています。

三宅:環境に関する政府の方針もあると思いますが、ドイツなどで清涼飲料水やビールを飲んでも、ボトルはプラスチックのものもありますが、空きボトルを洗浄して持っていくと、お金を戻してくれます。「循環して使いましょう」というのが徹底していますね。レジ袋なども、日本では有料化にはなっても皆さん平気で使っていますが、海外、特にフランスやドイツなどのヨーロッパへ行くと、レジ袋はくれません。皆さんエコバッグをちゃんと持っているのです。エコバッグも安いです。150円ぐらい出せば、いろいろなデザインの立派なエコバッグを売っているのです。エコマークも随分いろいろなものに付いていて、そういうのを皆さん買おうとしています。何よりもEU自体の姿勢が、植物由来のものを循環して使おうと、あるいはエネルギーでも循環した風力発電やソーラーも今進んでいるのは、どちらかと言うとヨーロッパです。行政はそれをそのまま日本へ持ってくるから大失敗することも多いのですが、実情を見れば、やはりスタートはあちらの方が随分進んでいますので、大学の先生に言わせると、日本は周回遅れもいいところです。それをどうやって取り返すのかというのですが、必ず頑張れば取り返せます。それにはまず消費者からの啓蒙が必要で、そこはやはり行政に頑張っていただかなければと思いますね。教育ですよ、やはり。

グローバルに生き残るには環境意識が不可欠

小出:マーケットの反応ですが、大きく分けて、グローバルに展開している企業は環境意識が高いです。というのは、こうした包材にしても何にしても、環境に良いものを使わないと、欧米に輸出できないのです。国内はまだどんどん使い放題ですから、国内だけでやっている企業は「高いね。値段が上がるならいいや」と。全般的に見て、今のところまだ日本はコスト優先という感じがします。いくら表向きには良いことを言っていても、結局コストが上がるなら、そのコストアップマージンは誰が負担するのという感じはまだ否めないですね。欧米に進出している企業は、独自にそういった動きを捉えています。

グローバルに展開している企業の中でも、特に環境意識が高いというイメージを重視する化粧品や日用品関係などの企業からの問い合わせが多いです。

三宅:ドメスティックなところを市場にしているメーカーの反応は、鈍いと思います。こういった分野も、私たちは創立以来やっているのですが、注目されだしたのはここ1年です。去年のカナダのG7で海洋プラスチック問題を大きく打ち出した、それ以降です。環境という方に向いてもらえる日本の機関はまだ少なすぎる。SDGsも、本格的に肩組んでやりましょうと言い出したのは昨年ですよ。2015年に国連で決議されて、内閣での旗振りはありましたが、それにしても世間は鈍感でしたね。

小出:今年のG20でようやく、バイオマス系のプラスチックを2030年には200万トン市場に導入すると発表しましたが、相当な量です。今の日本では代表的なポリプロピレンが年間250万トンぐらい使われているので、それに匹敵する量にしようとすると、生半可ではないです。

三宅:生半可な努力では目標は達成できない。あと10年後ですから、30歳の人は40歳、40歳の人は50歳。今から急いでやらなければ間に合わないと思います。私たちもがんばりますが、若い人たちに期待したいと思います。

オリパラでも環境に配慮した製品を率先して使おうという動きも、ないわけではありません。

小出:柔らかいのは作りにくいのですが、例えばデンプンなどを使えば、フィルムなども一応できます。

三宅:ビニールシートなどにも、使えるかもしれません。

小出:デンプンもタピオカだけでなく(笑)、未利用の部分を使ってあげれば、途上国でまだ収入のない人たちが開梱して、芋を作って売って生活が豊かになることもあるので、できれば私たちもそういったところまでやりたいですね。

アイ-コンポロジーのSDGs貢献内容

ーーイノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成という観点で、小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージは?

三宅:若い人たちに足りないものは、経験と学習。学校だけでは難しいと思います。実際の世の中の役に立つものを学んでいくには、会社でしばらく研究をするとか、会社で事業を開発してみるとか、そういう経験に基づいたものが必要だと思います。あと絶対に必要なのは好奇心。疑問に思ったらそれを考えてみる、そういったことがないと、次に繋がることが出てこないと思います。私たちは二人とも好奇心の塊みたいな性格を持っていますので、だからアイデアが出てくるのかなという気がしています。

好奇心から「無限の広がり」

三宅:好奇心があれば、次の素材、これから必要とされる工業材料も含めて、私たちのやっている複合材料というのは、組み合わせ次第で無限とも言える広がりが、まだまだ先にあるので、これから社会の中心になっていく若い人にとっても、夢がある分野かなと思います。

小出:具体的にこういったものがあるというのも知っていただかなければいけないと思いますので、私たちも、展示会などに出展してプレゼンさせてもらうとか、環境に関する講演会などで少しでも発言の機会を与えてもらうとか、社会課題にこういう対処方法があるということを、広範囲の人たちに啓蒙しているというのが現況ですね。

三宅:調べられる環境が、インターネットを含めていろいろありますから、自分の専攻分野以外にも、好奇心を持って広げていただきたい。それから、今の若い人たちは体をあまり鍛えていないように見えます。体が資本というのは私たちも身にしみてわかりますので、ぜひ、できるだけ体力をつけていただいた方が、この先、長持ちするのではないかと思います。ですから体力、知力、ですね。

小出:そして、日本の中のことを見るだけではなく、海外の動きも見て、環境先進国と言われるヨーロッパや、逆に今そういった対策が遅れている地域のことも、どうしてそれが遅れているのかといったところも考えながら、いろいろ調べていくといいのではないかと思います。

「人と人との接点」と引き継がれる「モノづくりの伝統」

ーーアイ-コンポロジーをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

三宅:品川区には非常にお世話になっています。ベンチャー企業で人もお金もない中で場所を提供していただける。ここに来る前は西大井の創業支援施設に2年半ほどいましたが、そこでも非常にお世話になりました。その後、ここ大崎の施設SHIPに引っ越してきましたが、品川区は日本の中心である東京駅、丸の内、新宿にも近く、交通の便が良いので、お客様も来やすい。お客様との接点、人と人との接点が、何をするにも大切なので、そういう意味では、立地、そして、小さな企業や起業している人への支援、それが品川区は他の市区町村に比べ、優れていると思います。「五反田バレー」と今は言われていますが、昔からモノづくりをやってきたのが品川区ですので、その伝統を形を変えながら引き継いでいるというのが、この場所の魅力だと思います。

アイ-コンポロジー株式会社様へ
「次世代レポーター」からの取材感想

「バイオマスプラスチックを世の中に根づかせることを使命と感じ、会社を立ち上げた三宅社長らの話が、あらためて私に環境問題について考えるきっかけを与えてくれたように感じる。
 この企業ではどのようなものが作られているのか、実物を見せてもらったが、通常のプラスチック製品以上に私たちの生活になじむデザインをしていた。また、性能も向上しているので使い勝手もよいのではないか。
 日本と海外の環境問題の取り組みの違いについての話が、とても興味深いものであった。両者の違いは、一般消費者の意識の問題だという話を聞いた。海外ではエコバックの利用が当たり前であるが、日本においてはまだ多くの人がレジ袋を利用している。実際、私もレジ袋をよく利用している。自分の意識が環境問題から遠い所にあることを実感した。このような問題に対してどのように解決方法を見つけていくか、好奇心を忘れずにアイデアを生み出していくことが必要である。」(立正大学心理学部3年 馬塲 孝佳)

アイ-コンポロジー株式会社 ロゴマーク

「STI for SDGs」アワード表彰式 – 2019年11月15日(金)日本科学未来館 7階未来館ホール

アイ-コンポロジー株式会社は、第1回「STI for SDGs」アワードにおいて、バイオプラスチック複合材の活用によるSDGsの推進が評価され、優秀賞を受賞しました。「STI for SDGs」アワードは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)未来共創推進事業の一環として、科学技術イノベーション(Science, Technology and Innovation: STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取組を表彰する制度です。

表彰式は2019年11月15日(金)にサイエンスアゴラ2019内で開催され、受賞した各取り組みの代表者に賞状が授与されました。

優秀賞を授与されるアイ-コンポロジー株式会社 取締役 小出 秀樹 氏

「STI for SDGs」~地域の社会課題の解決に向けたピッチトーク~ – 2019年11月17日(日)テレコムセンタービル 1階アゴラステージ
科学技術イノベーションによる地域の社会課題の解決に向けた取組事例の紹介 – 2019年11月16日(土)、17日(日)テレコムセンタービル 5階ブース

また、サイエンスアゴラ2019内では、受賞団体の代表者による取り組み概要の紹介(ピッチトーク)、パネルディスカッションおよびブース展示も行われました。

アイ-コンポロジー株式会社からは、取締役の小出秀樹氏がピッチトークに登壇、その後のパネルディスカッションでは、自治体、企業、大学、高校と多彩な受賞者たちと有意義な議論を繰り広げました。

サイエンスアゴラ2019期間中、5階ブースでは、受賞団体すべての取組事例の展示も行われていました。

エコプロ2019 – 2019年12月5日(木)〜7日(土)東京ビッグサイト

「持続可能な社会の実現に向けて」をテーマに地球環境課題の解決に向けて数多くの取り組みを紹介するエコプロ科学技術振興機構(JST)のブースに、アイ-コンポロジーも出展しました!

エコプロ2019 科学技術振興機構(JST)ブースで説明をするアイ−コンポロジー(株)三宅氏(右)と小出氏(左)

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(2) 株式会社CAMI&Co.様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第二弾は、IoTでデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する、株式会社CAMI&Co.様です。

2019年9月20日、東五反田の五反田S&Lビル7階にある株式会社CAMI&Co.(キャミーアンドコー)様におじゃまして、CEO神谷雅史様にお話をうかがいました。今回は「次世代レポーター」として立正大学品川キャンパスの学生も取材に参加しました!

また、株式会社CAMI&Co.は、この取材から10日後の2019年10月2日、新サービス 「IoT-DX-Kit」をリリース、同時にRPAホールディングス株式会社との資本業務提携を発表しました。当日、博報堂ラーニングスタジオで開催された発表会も取材させていただきましたので、記事の最後にはその様子も併せてお伝えします。

株式会社CAMI&Co. 代表取締役 神谷 雅史 氏

ーー2019年3月に神谷さんが出版された『最新 図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本』にサインをいただいた後、早速インタビューに入り、専門的なお話をわかりやすくかみくだいて教えていただきました。

五反田バレーの企業株式会社Cami & Co.のPaPeRo iによる紹介。
2019年09月20日撮影。©︎(有)ラウンドテーブルコム。2019年度品川区五反田バレー魅力発信事業。

IoT+DX→新たな価値創出

ーーCAMI&Co.とは、どんな会社ですか?

すべてのモノをIoT化し、インターネットに繋げて新たな価値を生む、というのが株式会社CAMI&Co.の大きなミッションです。創業当初からIoTに関するコンサルティング、ハード製作、ソフト開発、教育等に取り組んできました。もともと私は大学で、いつでもどこでも必要な情報に繋がるというユビキタスの研究をしていました。それが15年経っても全然進んでいないことがもどかしく、どうしたらもっと進むだろうかと、そのような環境の普及を促進する会社を始めました。

最近は、IoTを普及させた先にある「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」をキーワードに活動しています。IoTを使って全産業でDXを巻き起こすことが、豊かな世界を実現することだと考えています。

株式会社CAMI&Co. 受付

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題がありますが、CAMI&Co.が目指す「豊かな社会」とは?

我々が目指す「豊かな世界」とは、すべてのモノがIoT化され、DXが実現すると、人にとって、より便利な社会になる、時間を有効に使える、人と人がより繋がる、コミュニケーションが豊かになる、そういう世界ですね。

ーーそういった社会課題に挑戦するCAMI&Co.の取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

2019年10月2日に弊社からIoT-DX-Kitという格安IoT/DX環境構築ソリューションをリリースします。従来、IoTやDXを実現するには、技術的な課題があり、膨大なコスト・時間がかかっていました。そのため、IoT/DXの導入率がなかなか伸びませんでした。「IoT-DX-Kit」は、そのような技術・コスト・時間の問題を解決し、日本をはじめ世界中のIoT/DXを実現する、革新的なサービスです。

これまでは、すべてのモノをIoT化するとなると、近くにアンテナや基地局がないとできませんでした。ところが最近、その場から数十キロ、しかも超ローパワーで飛ぶ通信技術が開発されてきて、今までできなかった、すべてのモノをIoT化することができるようになりました。我々は第一弾として自社開発の基板を作り、月額1,000円*から1,000種**のIoT/DXソリューションが使えるサービスのラインアップをリリースします。それによって、IoTもDXも身近になり、人々の生活が今までより便利になっていくでしょうね。(*キャンペーン価格を含む、**随時開発中)

手軽に、シームレスに。技術を意識せずに、IoTを自然に使っている、そういう世界が来ると思っています。もともとユビキタスがそういう考え方に基づいていたのですが、IoTになるともう少し概念が広がったため、いつでもどこでもという感じではなくなっていたのが、再びユビキタスの概念に近いところに戻ってきたのかなという感じです。

手軽に、身近に

ーー新製品IoT-DX-Kitで、人々の生活が具体的にどう変わるのでしょうか?

将来的には、一般の人がIoTの恩恵を受けられるようになると思います。直近のビジネスとしてはBtoBですが、将来的にはBtoCもやっていこうと思っています。戦略的には、まず企業側から普及していって、BtoBtoCに展開していく。Bの企業さんから、さらにCに展開するまでのところをお手伝いできるというところが弊社サービスの強みだと思います。

IoT-DX-Kitの特徴は、パッケージ化された選べるソリューションです。選べる多数のソリューションキットごとに、「基板」「SIMカード」「センサー」「組み立て」「プログラムの書き込み」「通信」「可視化ツール」がパッケージ化されていて、設置して電源を入れるだけで、すぐにブラウザ上でデータが確認できます。

手のひらサイズの基板

スマートシティも実現可能

カテゴリーで言えば、たとえばオフィスIoT/DX、街つくりIoT/DX、農業IoT/DX、インフラIoT/DX、医療IoT/DX、位置情報IoT/DX、環境IoT/DX、モビリティIoT/DX、食品管理IoT/DX、工場IoT/DX、ヘルスケアIoT/DX、見守りIoT/DX…。その中に、さらにいろいろなIoTがあります。会議室の空室管理、オフィスの空調管理、農家向け環境計測キットなど。スマートシティなどは百個もあれば余裕でできてしまいますね。即、実運用できて、法律を遵守していて特区でなくても普通に使えるので、自治体もお客さんになり得ます。

これからの世の中、どの業界もIoT/DXを実現しないと生き残っていけないと思います。今までのITの世界は、いかにIT化された情報をデータにしてゴリゴリ書くか、整理するか、分析するか、みたいな話でしたが、そもそもデータがどうやって上がってくるの、というところがありませんでした。弊社の強みは、今までみんなが手を付けていなかった「データを取得するためのシステム」を低コストで提供できますよ、というところなんです。

ーーどれぐらい低コストなんですか?

従来であれば数十万〜数千万円かかるIoT/DX環境構築を、通信費込みで月額1,000円から*実現できます。様々なIoT製品開発のノウハウを活かし、デバイスを自社開発することによって低価格を実現しました。(*キャンペーン価格を含む)

単独で通信するのでWi-Fiなどのインターネット環境を新たに構築する必要がありません。コンパクトサイズで、様々な環境下での運用が可能です。

まだ日本でしか考えていないのですが、電波タイプとしてはグローバルで使えます。将来的にはアジアなどでもかなりニーズがありそうです。

IoT普及をめざして

ーーCAMI&Co.の経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

人材育成に関しては、我々自ら教育の事業もしているので、そういう教育ができる人を作るために、社内でも勉強会を開催したり、社外研修に行ってもらったりしています。IoTを教えるには、IoTの技術がわからないといけないので、技術と教育は密接に繋がっていると思います。あとはOJTで、できる人と一緒に仕事をしながら覚えてもらいます。

ーーIoT入門としては、神谷さんが最近お書きになった本が、大変わかりやすく、勉強になります。

IoTが広まればいいな、という想いを込めて出版をしました。
https://www.amazon.co.jp/最新-図解で早わかり-IoTビジネスがまるごとわかる本-神谷-雅史/dp/480071222X
そんなに難しいことは書いていなくて、一般的な内容を一通り書きましたので、これを見てIoTを始めようという人が増えればと思います。

株式会社CAMI&Co. 代表取締役 神谷 雅史 氏

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージは?

20代までは、仕事の量をこなす必要があると私は思います。その量が30代、40代になって、質に変わっていくのです。仕事に限らず、勉強することはたくさんあると思います。今まで日本が成長してきたのは、やはり量をやってきたから。大量の人が大量の量をやってきたからこれだけ成長したわけです。それが今は、人も少なくなっているし、量も減っているから、このままでは10年後、20年後、本当に使える人財がほとんどいないというような状況になるのではと危惧しています。そうなると、ハングリーな外国人たちが日本でどんどん活躍して、優しくておとなしい日本人は何も活躍できないというのが目に見えていると思います。

社会が若い人をあまり働かせない風潮も感じますが、「自分は活躍するぞ」と思って、若いうちはまず量をこなしたほうがいいというのが、最近すごく思うことです。

若い頃の仕事量がクオリティに

自分も20代は徹底的に仕事の量をこなしましたね。朝の9時から朝の4時まで平気で働いていたので、さすがに血を吐きそうでしたが、自分の限界に挑戦するのも貴重な体験です。人の2倍、3倍働いて、人の3倍、4倍成長する、というのを20代の頃に経験したから、今は30代になって、それが自然にクオリティに変わり、もはや量をこなさなくても一通りのことはわかる、という感じです。

学生時代もけっこうがんばりました。悔しいと思いましたね、できないことが。今の世の中、「できなくてもいいじゃん、いろんな価値観あるじゃん」みたいな感じに流れてしまう人が多いように見えますが、日本の将来が心配ですね。

ベンチャー企業と自治体が繋がる街、五反田

ーーCAMI&Co.をはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

五反田に来て2年経ちました。家賃が手頃でベンチャー企業には魅力的でした。この状態が変わらないでほしいですね(笑)。品川区自治体にもお世話になり、ことあるごとにコミュニケーションを取り合っています。

株式会社CAMI&Co.様へ
「次世代レポーター」からの取材感想

「今回、株式会社CAMI&COへインタビューするまで恥ずかしながらIoTという言葉を耳にしたことがなかったため、どこか自分とは遠い世界のものだと思っていた。しかし、実際に話を聞いてみるととても身近なものになりつつある技術であることがわかった。
 世の中を豊かにしていくという大きなミッションをどのように実現していくか、普段、私が考えることがないようなものをどのように考えているのかインタビューを通して感じることができた。また、大学生や高校生などの若い世代に何を求めているか聞いたところ、とにかく量をこなすことという回答をいただいた。神谷社長自身も20代の頃はとにかく量をこなしたという。それが今に繋がっていると考えるととても大切なことだと思える。自分自身が今なにをするべきか、そのヒントになったように感じた。
 インタビューを通じて、普段見ることのない世界を見ることができたことが非常によい体験になった。」(立正大学心理学部3年 馬塲 孝佳)

株式会社CAMI&Co. ロゴマーク

株式会社CAMI&Co.主催「IoT-DX-Kit」発表イベント – 2019年10月2日(水)博報堂ラーニングスタジオ

株式会社CAMI&Co.は 2019年10月2日(水)に新サービス 「IoT-DX-Kit」と RPAホールディングス株式会社との提携に伴い、発表会を開催しました。新サービスの説明のほか、 ゲストにオープンプラットフォーム戦略の第一人者である 慶應義塾常任理事の國領二郎教授を招き、 次の時代のIoT/DXを考えるクロストーク、 懇談会などが行われ、様々な業界の関係者、著名人、メディアが多数集い、参加者様同士が情報交換や交流を楽しみました。

CEATEC – 2019年10月15日(火)〜18日(金)幕張メッセ

あらゆる産業・業種による「つながる社会、共創する未来」をテーマとしたビジネス創出のための、人と技術・情報が一堂に会する場、経済発展と社会的課題の解決を両立する「超スマート社会(Society 5.0)」の実現を目指すCEATEC2019に、株式会社CAMI&Co.も出展しました!

CEATEC 2019(株)CAMI&Co.ブースで「IoT-DX-Kit」の説明をする広報担当:西川 安奈 氏

品川区のイベントに登壇!

株式会社CAMI&Co.が、企業プレゼンします!

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(1) コグラフ株式会社様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第一弾は、ソフトウェア開発とデータ分析力を活かしたトータルなソリューションをワンストップで提供、世界中から最先端の技術を習得したスタッフを揃え、AI関連の開発実績も豊富な、コグラフ株式会社様です。

2019年9月11日、西五反田の第2TOCビル6階にあるコグラフ株式会社様におじゃまして、CEO森善隆様にお話をうかがいました。

コグラフ株式会社 代表取締役 森 善隆 氏
五反田バレーの企業コグラフ株式会社のPaPeRo -iによる紹介。
2019年09月11日撮影。©︎(有)ラウンドテーブルコム。2019年度品川区五反田バレー魅力発信事業。

ーーコグラフのオフィスに入ると、真っ先に目に入るのがトランポリン(笑)と、働いている方々の国籍、人種、性別のダイバシティです。その方たちの間でマルチリンガルな会話が飛び交っている!

社員と家族を幸せにする会社

ーーさっそくですが、森さん、コグラフとは、どんな会社なのでしょうか?

コグラフの経営理念は、「社員と家族、すべての人を幸せにする」です。「データ活用とソフトウェア活用で世界を変える」というミッションを掲げるIT企業です。

コグラフ株式会社 受付

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。コグラフが重視するグローバルな課題とは?

やはり「持続可能性」が重要ですね。コグラフはITを活用して、より良い世界を作っていくことを目指していますが、ITでイノベーションを起こしても、ただの一発屋で作って終わりではなく、会社としても個人としても、経営理念にあるように、社員とその家族がハッピーな状態を持続できる、そういう製品・サービスを提供しながら成長していく会社でありたいと思っています。

ーーそういった社会課題に挑戦するコグラフの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

コグラフは2010年設立、10年目の会社です。当初から今まで、基本的にお客様向けの技術サービスの提供をしてきました。ソフトウェア開発、アプリケーション開発、データ活用、AI分析も含めて、いろいろな技術サービスをお客様に提供することで、いろいろな課題を解決してきました。

コグラフが今、取り組んでいるのは、主にセールス・テックという分野です。労働人口が減り続ける中で、海外市場もですが、特に日本市場では、働き方改革も含めて、人にまつわる課題が非常に多いです。セールスやマーケティングの領域でも、人が活躍する場面が多いですが、そこをAI等のITを活用しながら解決していこうと取り組んでいます。

「ドラえもん」の世界へ

ーー具体的には、どんな取り組みでしょうか?

ここ2〜3年、特に声を使ったAI領域において、大企業を含め、いろいろな会社とコラボレーションしてきました。声を使ったAI領域こそ、今後の世界を変える可能性を持った領域だと感じています。今までは人間と人間がを使って会話をして、いろいろな仕事をしたり課題を解決したりしたわけですが、その一部を機械に置き換えていくところを目指しています。

−−身近なところでは、どういう場面で使われるのですか?

セールスのみならず、身近なところで声を使った仕事がいろいろあるかと思います。そこをより効率化して、人がやるべき仕事をもっと特化していく、たとえば声によるルーティンワークのようなものは機械にやらせてしまって、非常にコアな部分、人間がやるべきところだけを人間が快適な労働環境の中でできるような、そういったところを目指して今、開発を進めています。

AIと言うと、人の仕事を奪うなんていう文脈で語られることが多いと思いますが、我々はそうは考えません。AIが人に置き換わる部分はあるのですが、それは人の仕事を奪うというより、労働人口も減り続ける中で、無理な仕事、不快な仕事、苦痛な仕事をどんどん取り除いていく必要があると考えています。ITを使って人を支援するところからもう一歩踏み込んで、人がやらなくてもいい領域を、声を使ったAIによって置き換えていこうというアプローチです。

声を使ったAIなんて最先端の技術を使って新しいことに取り組んでいるのですねと、よく言っていただくのですが、もともと声を使って人間とコンピュータが対話をするというのは、1960年代の映画「2001年宇宙の旅」のHALとか、同時期に出た日本が誇るアニメの傑作「ドラえもん」のイメージがわかりやすいでしょうか。ドラえもんとのび太くんは、キーボードもマウスも指も使わず会話をしていました。あのスタイルが、人間が本能的に求める人間とコンピュータの関わり方の自然なスタイルではないかなと思います。それが1970年代、80年代、90年代、2000年代と、PCやスマートフォンが発達するに従って、指と目で人間とコンピュータが会話することがあたりまえだと考えられてきていますが、もう一回原点に帰って、本来の、人間が自然な形でコンピュータと触れ合う、人間がコンピュータに何かを助けてもらったり、指示を出したり、情報を得たりというのを、自然な形、声を使ったインターフェースでするという世界を作っていきたいなと思っています。

世代やジェンダーを超えて

かと言ってコグラフはロボット、ドラえもんを作るわけではなくて、もっと現代のテクノロジーを活用して、まずは一つ一つ実現していきたいなと考えています。前述のセールス・テックでは、いろいろな分野で声を使ったマーケティングやセールスの活動をしていますので、人がやらなくていい領域をだんだんと機械に置き換えていくというところがありますし、その他、最近は「OK、グーグル、天気予報を聞かせて」なんていうAIスピーカーを、家の中のみならず、オフィス、車、学校、屋外などでも、使える場面が増えてきていますので、その次代に向けた準備を進めている最中です。

我々の世代はPCやスマートフォンを活用しながらいろいろなITの利便を受けてきましたが、声を使うことで高齢者がITを利用する可能性は広がると思います。逆に、まだPCに触れる前の段階の未就学児が、「OK、グーグル」とかアレクサとかに問いかけて、天気予報を聞いたり音楽をかけたりする時代が来ているのかなと思います。私の子どもも3歳の頃から、「OK、グーグル、パプリカ(好きな曲名)をかけて」と言ってカラオケをして一人で喜んでいたり、週末に外出する時に天気予報を聞いたり、もうすでにそういった時代が来ています。

一方で、特に日本のパソコンやスマホを使いこなすデジタルネイティブの男性には、声でコンピュータと話すことに恥ずかしさや抵抗があるとよく言われるのですが、そういったジェネレーションやジェンダーを超えて、もっといろいろな方々がコンピュータとうまくつきあえる時代を作っていきたいなと思っています。

この流れは不可逆で、料理をしながらレシピを聞いたり、出勤前に着替えながら天気予報、ニュース、音楽を聞いたり、何かをしながらできる世界というのを、今まであまり人類は経験して来なかったのかなと思いますが、一度そういった世界に行ってしまうと、わざわざ指でテレビをつけたりスマートフォンやPCを開いたりして情報を得るのではなく、声で自然な形で同じ情報が得られるという時代になっていくのかなと思います。

PCやパッドを使えないような方にも、声で注文できたり、逆にその声の注文を、わざわざシステムを作らなくても受け付けることができて、コンピュータから人に伝えることができる世界を作っていきたいと思っています。

あらゆる業界で「声の会話」が持つ可能性

製造業界でも、製造ラインに人がどれぐらい残るかということがあり、発注から倉庫、製造、発送、といった過程で、今までの発想ですとコンピュータどうしが会話する、もしくは人間が操作することをコンピュータの言葉に置き換えてシステムを繋いでいったわけですが、これを逆に人間の声に乗せてしまう取り組みをしています。人間の声をコンピュータが理解できれば、システムの連携が非常に容易になるのです。人間とコンピュータのやり取りも、コンピュータとコンピュータのやり取りも、全部が声でできてしまうと、一気通貫でシームレスに繋がります。今までは、コンピュータの場合、全てを定義していないと会話できないという時代が続いたのですが、AI、機械学習、深層学習の時代になって、多少の新しい会話が入って来ても、いろいろな周辺の会話の分析から理解ができるようになり、今後、人とコンピュータ、コンピュータとコンピュータがどうやって「会話」をしていくかというところが変わっていくのではないかなと思います。

情報の整理という意味では、一回人の手を介して後は機械に学習させていくという流れは今後もっと増えるのではないかなと思います。機械自身もまさに学習を自分でできるようなテクノロジーがもう生まれ始めていますので、そのあたり、人間の雇用を生み出しながら、機械としっかり共存していくという世界が望ましいのではないかと思います。

今はマイクロソフトと組んで、いろいろコグニティブ(自然言語を理解・学習・予測するコンピュータ・システム及びその技術)のサービスを日本で広める活動をしています。そのテーマの一つが、強化学習という領域です。それ以前の機械学習、深層学習ですと、モデルを作るところ、タグをつけるところや、継続的にそのモデルを成長させたいというところに、ある程度、人の目や力が必要だったわけですが、強化学習の世界になると、機械が自律的に、自分で自分をバージョンアップしていける、こういう時代が来たということです。アメリカでは昨年発表された技術を日本で今、広めようということでマイクロソフトと一緒にやっています。

「声」で持続的な社会課題解決

テクノロジーによる社会貢献というところでは、たとえばオレオレ詐欺のような、声を使った、人間ではなかなか識別がつかないようなところまで、いろいろなテクノロジーを活用すると、それが本当に人間に繋いでいいものかどうかみたいなところも判別して、しっかりと高齢者を守ったり、そういった分野でも、声を理解して人間を理解するという活動は将来性があるのではと考えています。

電話がかかってきて高齢者が出て、相手の声色が少し違っていても、話の内容がおかしくても、人間が判断すると間違えることもある、それを、たとえば声の音質、話す内容の具体性など、しっかり機械によって判断させることで、これは嘘の電話だと見抜けるのですよね。たとえば「口座に振り込んでほしい」などのキーワードは、それだけでおそらくルールベースでもはじけるはずですね。また、たとえば誰かからの電話ということであれば、機械が一回そこの登録された番号に確認の電話を入れるとか。テクノロジーを使うと、アクションを含めていろいろなことをした上で、これが本当に人に繋ぐ電話かどうかというのを判定できる。

声が持つポテンシャル、声だけでわかることもいろいろあると思いますし、声で成立している会話というものが非常に人間の社会にとって重要な役割を果たしていて、会話を理解・分析することで、より人間がわかるようになってくると思います。たとえば前述の、嘘か本当かみたいなところもそうですし、次世代には、たとえば、この人は今何をほしいと思っているか、そういうことまでわかるような世界が来ると思います。

少しSFチックですが、人間はたぶんそれを本能的にやっているのだと思います。声質、仕草、状況などから、相手が何を考えているかをある程度理解しながら会話を成り立たせる、AIもそこまで行けると思っています。声と会話ひとつをとっても人間の理解のためには非常に大きな示唆を得られる可能性を感じます。

第三者的な評価も、もちろんできますし、逆に人間的な評価をしているところを受け止めた上での対話というのができるとも思います。

AIによるカウンセリングなども将来的には可能だと思います。ただ、現時点ではまだまだそれ以前のところでできることは非常に多いなと感じます。たとえば、学校の教室で先生との会話、友達との会話、授業の内容、それをどうやって覚えるか、そういったところでもいろいろ声の活用ができるだろうと思っていて、非常に身近なところにいろいろなテクノロジーが、もっともっと広まるといいなと。

今までは声を音声と見立てて、それをいかに理解するか、再現するか、そういった基礎技術を追求する場面が多かったと思いますが、いわゆるAIを絡めた、会話を理解することで人間を理解しようという動きが広まりつつあります。今はスマートフォンでAIと会話しても、片言で違和感のある会話だなあと思いながらも、もちろんその基礎技術も進化するのですが、それ以上に別のベクトルでいろいろなテクノロジー、プロダクト、サービスが今後出てくるのではないかなと思っています。

我々は本当に機械=コンピュータと会話することに、まだこの2019年とか2020年の段階ではあまり慣れていないと思うのですが、前述の私の子どものようなボイス・ユーザー・インターフェース(VUI)ネイティブの世代が生まれ始めているので、この子たちが将来どうなるかというのは、我々の世代からすると想像がつかないようなポテンシャルを持っているのではないかなと思います。

いろいろと社会は変わっていくと思います。いずれにしても、声を使ったテクノロジーを活用して、人類や社会が抱える課題を解決する、それも一過性のサービスやプロダクトではなくて、継続的に成長していけるようなモデルを作っていきたいなと思います。

コグラフ株式会社 代表取締役 森 善隆 氏

ダイバシティからイノベーションが生まれる

ーーコグラフの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

エンジニア集団コグラフの特徴として、まずグローバル性の高さがあります。世界各国から優秀なエンジニアが、ここ五反田に集まり、ボーダレスな環境で新たなイノベーションを起こそうと取り組んでいる、それが1つ目の特徴です。

10カ国ぐらいから、女性エンジニアもいます。ボーダレス、ダイバシティを追求したいと思っています。

技術的なバックグラウンドもそうですが、声を使った人と人とのコミュニケーションを追求するという側面でも、日本国内で日本人だけで作るよりも、将来の世界展開を踏まえて、今のうちから組織チームを作っていこうという取り組みをしています。

2つ目の特徴は、グローバルな視点の一方で、ローカルにも視点を置いていることです。五反田という地の利を生かして、地域と関わりを持ち、地域と共に持続可能なプロダクト、持続可能な会社を作り上げていくために、ローカルにしっかり目を向けて活動していくことが重要と考えています。

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージは?

世界を見てほしいと思います。年代を超えて、世界のいろいろな方々と多くのコミュニケーションを取る、そのためには英語が必須になってくるかと思いますが、英語をしっかり勉強した後でそういった環境に飛び込むというよりは、環境に飛び込んだ後でコミュニケーションを取りながら英語を学んでいくというスタイルがいいのではないかなと思います。

技術に関しても、テクノロジーの領域を志向するなら、そこは大学に行ってからとか、何か試験に受かってからではなくて、今できることをすぐに、今日からでも始めてほしいと思います。

ロゴに込められた想い

コグラフのロゴは、円を表しています。コンセプトとしては、いろいろな人たちや環境と結びつきながら成長していくということが、この円には現れています。ボーダレスで、グローバルに境目なく融合しながら成長していく、そういったコーポレートの特徴が、この円に込められているのです。

コグラフ株式会社 ロゴマーク

五反田は「コミュニケーションとコラボレーションが生まれる街」

ーーコグラフをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

五反田は、非常にバランスが良い街かなと思います。食、産官学、企業の規模感、土地の物理的な距離感、飲食業などの産業も含めコミュニケーションを取りやすい距離感で、みんなが壁をなくしてコラボレーションしようとしている街だと思います。いわゆるIT企業を中心に「五反田バレー」という活動もありますが、さらにもう一歩超えて、地域に住んでいらっしゃる皆さんも含めて、一緒に何かできる、そういったポテンシャルを持っている街ではないかなと思います。

非常に住みやすい街だとも思います。子育ても、品川区のいろいろな制度を活用しながら、快適に暮らせます。

職住近接も謳われて久しいですが、企業にとって、社員が近くに住める場所にオフィスを構えるのも非常に重要かなとも思います。五反田は、住環境としても商業環境としても非常に便利なので、我々としても社員に近くに住んでもらえるような場所を選んだつもりです。

IT企業なので、一般社団法人「五反田バレー」さんと一緒にいろいろなコミュニティを作る活動にも参加しています。さらに、IT企業だけではなく、地域の、たとえば大学、小中学校、不動産や製造業などいろいろな業種業界の方々とコラボレーションをしながら、次の新しい住みやすい五反田を作るために、僭越ながらご支援させていただいています。

五反田の有志企業により立ち上げられた五反田ウェルネスコミュニティ(通称:ゴタウェル)

コグラフの本棚
コグラフおすすめの書籍リストです。

関連記事:
五反田・大崎地区@品川区でベンチャー&中小企業向けSDGSイベントを開催しました!(2019年3月6日)

品川区のイベントに登壇!

コグラフ株式会社が、企業プレゼンします!

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

Gotanda-Valleyとは

デジタル9ch「TOKYO MX」公式YouTubeチャンネルより

先日、「強く美しく自立した女性」をテーマに、プログラマー、エンジニアを中心に、薬剤師、営業など様々な経歴を持った女性が集う「Tech女子」というグループの、渋谷でのイベントに出席してみました。

最初の自己紹介で「五反田のIT企業」と言ったら、イベント後の懇親会でTech女子たちに囲まれ、「五反田というと、〇〇社さんや、●●社さんがありますよね!」「CTCのDejimaもあって、いいですね!」と、人気者(?)になってしまいました。

IT企業やベンチャー企業、スタートアップ企業等が集積する品川区の五反田・大崎地域が、最近、アメリカのシリコンバレーにならって「五反田バレー」と呼ばれているのは知っていましたが、ここまで注目されているとは!

シリコンバレーとSDGs

元祖・シリコンバレーこと、カリフォルニア州サンフランシスコベイエリア南部には、Apple社、Facebook社、Google社など多くの新興企業や技術系グローバル企業が密集していますが、さすがシリコンバレーは未来を見ている!と感じさせるニュースがありました。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-04-30/in-silicon-valley-the-quest-to-make-gasoline-out-of-thin-air

カリフォルニア州マウンテンビューでスタートアップ企業を支援するシードアクセラレータのYコンビネータ社が、昨秋の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第48回総会」で発表された「1.5℃特別報告書」に素早く反応、大気中から炭素を除去するテクノロジーの開発に関する事業アイデアを募集し、応募した30社から、空気からガソリンを抽出する、プロメテウスというスタートアップに投資を決めたというのです。

この「気候変動に具体的な対策を」(SDG 13)のように、国連が提唱するSDGsに掲げられたテーマはすべて、グローバルに解決されるべき社会課題であり、すなわち、グローバルに資金や人財が集まってくる分野である可能性が高いとも言えます。

これまでの傾向を見ると、シリコンバレーのトレンドは数年遅れで日本で起きてくるようです。

ここ「五反田バレー」が、STI for SDGs(SDGs達成のための科学技術イノベーション)の発信地となりますように!

木村京子(エシカルコンシェルジュ)

写真提供:SDGsポイント研究所@ジャパン