Gotanda-Valleyとは

デジタル9ch「TOKYO MX」公式YouTubeチャンネルより

先日、「強く美しく自立した女性」をテーマに、プログラマー、エンジニアを中心に、薬剤師、営業など様々な経歴を持った女性が集う「Tech女子」というグループの、渋谷でのイベントに出席してみました。

最初の自己紹介で「五反田のIT企業」と言ったら、イベント後の懇親会でTech女子たちに囲まれ、「五反田というと、〇〇社さんや、●●社さんがありますよね!」「CTCのDejimaもあって、いいですね!」と、人気者(?)になってしまいました。

IT企業やベンチャー企業、スタートアップ企業等が集積する品川区の五反田・大崎地域が、最近、アメリカのシリコンバレーにならって「五反田バレー」と呼ばれているのは知っていましたが、ここまで注目されているとは!

シリコンバレーとSDGs

元祖・シリコンバレーこと、カリフォルニア州サンフランシスコベイエリア南部には、Apple社、Facebook社、Google社など多くの新興企業や技術系グローバル企業が密集していますが、さすがシリコンバレーは未来を見ている!と感じさせるニュースがありました。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-04-30/in-silicon-valley-the-quest-to-make-gasoline-out-of-thin-air

カリフォルニア州マウンテンビューでスタートアップ企業を支援するシードアクセラレータのYコンビネータ社が、昨秋の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第48回総会」で発表された「1.5℃特別報告書」に素早く反応、大気中から炭素を除去するテクノロジーの開発に関する事業アイデアを募集し、応募した30社から、空気からガソリンを抽出する、プロメテウスというスタートアップに投資を決めたというのです。

この「気候変動に具体的な対策を」(SDG 13)のように、国連が提唱するSDGsに掲げられたテーマはすべて、グローバルに解決されるべき社会課題であり、すなわち、グローバルに資金や人財が集まってくる分野である可能性が高いとも言えます。

これまでの傾向を見ると、シリコンバレーのトレンドは数年遅れで日本で起きてくるようです。

ここ「五反田バレー」が、STI for SDGs(SDGs達成のための科学技術イノベーション)の発信地となりますように!

木村京子(エシカルコンシェルジュ)

写真提供:SDGsポイント研究所@ジャパン

STI for SDGsとは(3)今後の展望

STI for SDGs(持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション)の背景、現況、そして未来について、解説します。

⇒STI for SDGsとは(1)国際的動向
⇒STI for SDGsとは(2)国内の取組

文部科学省公式YouTubeチャンネルより

今後の展望

文部科学省では、「持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション (STI for SDGs)に関する基本方針【概要】」の中で、その役割と取組方針を、

・多様な研究機関等を所管し、主要な科学技術施策を実施していることから、政府全体の取組に積極的に参画し、主体的に貢献。
・既に各種施策を通じてSDGs課題の解決に寄与してきた実績等も踏まえつつ、さらに施策を充実。
・STI for SDGsの取組が、STIのあり方自身に変革を迫る契機であることを踏まえ、創造的・革新的技術シーズの創出とバックキャスト・デザイン思考の効果的な組み合わせ、多様な専門家が分野等を越えて結集して新たなアイデアの創出を促進する仕組み、各セクターを越境し繋ぐ人材の育成等が必要であるという視点を持って具体的取組を推進。

http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/kokusai/sdgs/__icsFiles/afieldfile/2018/12/21/1408737_001.pdf

と述べています。

そして、それに基づいて策定されたものが「STI for SDGs 文部科学省施策パッケージ」となっています。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/12/21/1408738_001_2.pdf

「STI for SDGs」アワード

さらに、施策パッケージに基づくSTI for SDGsの推進を目指し、「STI for SDGs」アワードが今年度からスタートしました。

https://www.jst.go.jp/sis/co-creation/sdgs-award/

科学技術イノベーションを用いて社会課題を解決することによりSDGsの達成を目指す、地域における優れた取組を対象に、

・文部科学大臣賞(最優秀賞、1点)
・科学技術振興機構理事長賞(1点)
・優秀賞(3点程度)
・次世代賞(高校生以下の団体による取組を対象)(3点程度)
※賞の名称、点数などは変更になる場合があります。

の表彰が予定されています。

どんな取組が出てくるか、楽しみですね!

木村京子(エシカルコンシェルジュ)

写真提供:国際的学習プログラム研究委員会

STI for SDGsとは(2)国内の取組

STI for SDGs(持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション)の背景、現況、そして未来について、解説します。

⇒STI for SDGsとは(1)国際的動向

JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)公式YouTubeチャンネルより

日本政府の取組

2015年9月に国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(「2030アジェンダ」)を採択後、日本政府は、2016年5月に「SDGs推進本部」を設置し、同年12月に「SDGs実施指針」、2017年12月に「SDGsアクションプラン2018」、2018年6月に「拡大版SDGsアクションプラン2018」、同年12月に「SDGsアクションプラン2019」、そして2019年6月に「拡大版SDGsアクションプラン2019」を策定してきました。

最新の「拡大版SDGsアクションプラン2019」において、様々な分野での課題の解決に横断的に関わる科学技術イノベーション(STI)は、3つの重点項目の1番目「SDGsと連動する『Society 5.0』の推進」の中に含まれています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai7/siryou1.pdf

こうした我が国のSDGs取り組み指針に呼応し、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の司令に従い、科学技術基本計画に基づいて、毎年度「科学技術イノベーション総合戦略」が策定され、SDGs推進体制の整備、ロードマップの作成等が着々と実施されてきました。

政府外の取組

経団連では、SDGs特設サイトを開設し、Society 5.0 for SDGsの推進を図っています。

同Webサイトには、「Innovation for SDGs —Road to Society 5.0—」(SDGsに資するイノベーション事例集)や、経団連が目指す未来社会「Society 5.0」の説明などが掲載されています。

https://www.keidanrensdgs.com

また、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)では、「持続可能な開発目標 (SDGs) の達成に向けた産学官NGO等の取組事例 科学技術・ビジネス・社会イノベーション による共通価値の創造 (2030年に向けて:2018年春版)」と題した冊子を発行し、SDGsの目標ごとに取組事例を紹介しています。

https://www.jst.go.jp/sdgs/pdf/sdgs_book_jp_2018.pdf

⇒STI for SDGsとは(3)今後の展望

木村京子(エシカルコンシェルジュ)

写真提供:CoderDojo品川御殿山

STI for SDGsとは(1)国際的動向

STI for SDGs(持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション)の背景、現況、そして未来について、解説します。

UN DESA(国際連合経済社会局)公式YouTubeチャンネルより

国際的動向

持続可能な開発目標(SDGs)とは、「誰一人取り残さない」社会を実現するために、経済・社会・環境に関わるさまざまな課題を統合的に解決していこうと、2030 年までに世界が一丸となって取り組むべき目標として、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」(「2030アジェンダ」)に掲げられたものです。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf

その「2030アジェンダ」の本文中で、STI(科学技術イノベーション)は、

ICTと地球規模の接続性は人間の進歩を加速化させ、デジタルデバイドを埋め、知識社会を発展させる大きな潜在力があり、医学やエネルギーのように多様な幅広い分野において科学技術イノベーションが持つ潜在力もまた同様である。(パラグラフ15より、強調筆者)

と、その重要性が述べられている他、

我々は、持続可能な開発目標を支持するために、アディスアベバ行動目標で合意された技術促進メカニズム(TFM)を立ち上げる。TFM は、加盟国や市民社会、民間セクター、科学団体、国連やその他のマルチ・ステークホルダー間の協力に基づいている。また、その構成は、SDGs のための科学技術イノベーションに関する国連機関間タスクチーム(以下、国連機関間タスクチーム)、オンライン・プラットフォーム、SDGs のための科学技術イノベーションに関するマルチ・ステークホルダー・フォーラム(以下、 マルチ・ステークホルダー・フォーラム)から成っている。(パラグラフ70より、強調筆者)

と、技術促進メカニズムについても記述されています。

また、ゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」において、17.6、17.8の2つのターゲットが「科学技術イノベーション(STI)」に言及したものとなっています。

https://sustainabledevelopment.un.org/TFM/STIForum2019

2016 年以降、SDGs に関する国連STIフォーラムが毎年開催されています。

STI は、SDGsの諸課題に「横串」として関わり、限りあるリソースを最適化し、解決へと導く「切り札」として、広く国際社会全体から注目されているのです。

⇒STI for SDGsとは(2)国内の取組
⇒STI for SDGsとは(3)今後の展望

木村京子(エシカル・コンシェルジュ)

写真提供:国際的学習プログラム研究委員会CoderDojo品川御殿山