イベント開催報告「ダイバーシティから生まれるイノベーション〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」

プログラム
2019年12月6日(金)SHIP品川産業支援交流施設4階の多目的ルーム

2019年12月6日(金)SHIP品川産業支援交流施設4階の多目的ルームをお借りして、STI for SDGs(持続可能な開発目標のための科学技術イノベーション)を地域のベンチャー&中小企業の方々と共に考えるイベントを開催しました。主催は(有)ラウンドテーブルコム(後援:品川区)。

テーマは「ダイバーシティから生まれるイノベーション〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」。SDGs等のグローバル課題解決には、さまざまな価値観や文化をイノベーションに活かすためのダイバーシティ推進が不可欠です。五反田バレーでどう取り組んでいくか、一緒に考えましょう!というイベントでした。参加者・登壇者・スタッフ合わせて26名のアットホームな雰囲気の中で行われました。

今回は、五反田バレーで活躍中の企業「コグラフ」「CAMI & CO.」、地域のサポーター「積才房」「国際的学習プログラム研究委員会」「SDGsポイント研究所@ジャパン」による協力のもとで、企画が実現いたしました。

告知には品川区もご協力いただき、商業・ものづくり課の方には大変お世話になりました。五反田バレー地区でSDGs等の社会課題に取り組む企業の認知度向上と、彼ら企業と教育等の多様なステークホルダーとの連携の布石を打つことができました。

また、このイベントには品川区内外から、ダイバーシティの理解と実践の啓蒙活動を通じて持続可能な世界の構築に取り組んでいらっしゃる方々にお越しいただき、前半はパネルディスカッション形式で日本や世界の現状と課題を学びました。

以下、登壇者ご提供資料は、画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

モデレーター:田中裕実子氏(未来技術推進協会)
資料:シンギュラリティ・ラボ発〜TECH女子〜

まずはじめに、モデレーターの田中裕実子様から、AI、XR、ブロックチェーンなど未来技術の社会浸透を推進する(一社)未来技術推進協会、その中でもテクノロジーを使って社会課題(特にSDGs)の解決を目指すシンギュラリティ・ラボから生まれた女性のコミュニティTECH女子の活動のご紹介があり、社会で活躍する女性を応援し、テクノロジーを通して活躍の場が広がるコミュニティーづくりを進めることで、個人も企業も地域ももっとハッピーになれるのでは?という示唆をいただきました。

パネリスト:田中沙弥果氏(一般社団法人Waffle 代表理事)
資料:一般社団法人Waffle団体概要

続いて、お一人目のパネリスト、テクノロジー業界やコンピュータ・サイエンス領域のジェンダーギャップを埋めることをミッションとする(一社)Waffle代表理事の田中沙弥果様から、主に日本全国の女子中高生をターゲットにしたコンピュータ・サイエンスの楽しさを感じてもらうためのイベント、世界的女子中高生限定アプリコンテスト、そして女子学生100名を集めてSDGsの課題をプログラミングで解決するハッカソンなどの活動報告をいただきました。我が国の6〜12歳では女子の66%がコンピュータ・サイエンスに興味を持っているのに、13〜17歳では32%、大学入学時には4%と、大幅に減少してしまうという数字はショッキングでした。

パネリスト:安田クリスティーナ氏(Forbes 30 U 30 in Politics、InternetBar.org理事、マイクロソフト
資料:BLTS(Business, Law, Technology, Society)の交差点に立つ

そして、お二人目のパネリスト、Forbes 30 U 30受賞者、InternetBar.org理事、マイクロソフトCorp. DevRel クラウド&AI プログラム・マネージャーである安田クリスティーナ様。「私の中にダイバーシティが流れている」という言葉そのままの経歴を活かし、大手企業勤務の傍ら、NGOで理事を務め、ブロックチェーン技術による難民支援を通じて「世界をよりよくしたい」というパッションを追求する生き方は参加者の心に響いたようでした。

「日本社会の全般や企業の採用現場でのダイバーシティの現状と課題」に関するディスカッションでは、「ダイバーシティというと女性ばかりがクローズアップされるのはおかしい。高齢者・障がい者など、もっといろいろあるはず。(安田氏)」「日本企業は本気で意識を変えないと、優秀な人材がどんどん離れていってしまう。(田中沙弥果氏)」といった熱い議論に、会場では大きくうなずく方々が見受けられました。

後半は、地元の五反田から2社による企業プレゼン。

企業プレゼン:森善隆氏(コグラフ株式会社CEO)
資料:コグラフ株式会社(1)
資料:コグラフ株式会社(2)
資料:コグラフ株式会社(3)

まず、コグラフ(株)からCEOの森善隆様に、エンジニアの90%が海外国籍、ほぼ全員がバイリンガル、というダイバーシティ環境の職場を運営する秘訣をうかがいました。やはり大切なのは「ドアをオープンにする」ことだと納得が行きました。また、五反田の有志企業による「五反田ウェルネスコミュニティ(ゴタウェル)」をはじめ、地域と連携しながら取り組んでいらっしゃる活動をご紹介いただきました。

企業プレゼン:池田諭史史(株式会社CAMI & Co. CFO兼CHRO)
資料:株式会社CAMI & Co.

続いて、(株)CAMI & CO.からCFO兼CHROの池田諭史様が、これまで経験した職場から、文化も言語も違うメンバーがダイバーシティを認め合い、チームが大きく成長した話、一方で法改正や業界の景気悪化のあおりを受けて、モチベーションが下がりチームが崩壊した苦い経験と、両面の体験談を語ってくださいました。結論として、フルリモートでもプロジェクトを前進させるには、「ビジョンの共有」が不可欠ということでした。

その後、限られた時間でアンケート記入と同時進行になってしまいましたが、参加者どうし、参加者と登壇者で、交流の時間を持ちました。

クロージング:柳沢富夫(有限会社ラウンドテーブルコム)

最後に、(有)ラウンドテーブルコム代表取締役の柳沢富夫より、当日のまとめと、「五反田バレー × SDGs × 教育の輪をつなごう!」という提言をいたしました。「五反田バレーの企業と地域の教育現場、自治体を繋ぎ、『知る』『考える』『行動する』の3ステップを子どもたちが自ら体験できる環境としての地域づくりを目指しています。年が明けて2月16日には立正大学品川キャンパスでもSTI for SDGs@Gotanda-Valleyのイベントを開催します。五反田発で全国にこのような活動を広めていきたいと願っています。」

企業が半数強、残りがその他団体と教育機関(教員・学生)半々、といった当日の参加者からは、「色々な話が聞け、時間が短く感じました」「登壇者の話が非常に興味深かった」「ダイバーシティの対応にも色々な事例があると実感しました」と好評をいただきました。「(もっと)テーブルディスカッションしたかった」「もう少し時間がほしかった」との課題もあり、今後に活かしたいと思います。

文:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(1) コグラフ株式会社様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第一弾は、ソフトウェア開発とデータ分析力を活かしたトータルなソリューションをワンストップで提供、世界中から最先端の技術を習得したスタッフを揃え、AI関連の開発実績も豊富な、コグラフ株式会社様です。

2019年9月11日、西五反田の第2TOCビル6階にあるコグラフ株式会社様におじゃまして、CEO森善隆様にお話をうかがいました。

コグラフ株式会社 代表取締役 森 善隆 氏
五反田バレーの企業コグラフ株式会社のPaPeRo -iによる紹介。
2019年09月11日撮影。©︎(有)ラウンドテーブルコム。2019年度品川区五反田バレー魅力発信事業。

ーーコグラフのオフィスに入ると、真っ先に目に入るのがトランポリン(笑)と、働いている方々の国籍、人種、性別のダイバシティです。その方たちの間でマルチリンガルな会話が飛び交っている!

社員と家族を幸せにする会社

ーーさっそくですが、森さん、コグラフとは、どんな会社なのでしょうか?

コグラフの経営理念は、「社員と家族、すべての人を幸せにする」です。「データ活用とソフトウェア活用で世界を変える」というミッションを掲げるIT企業です。

コグラフ株式会社 受付

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。コグラフが重視するグローバルな課題とは?

やはり「持続可能性」が重要ですね。コグラフはITを活用して、より良い世界を作っていくことを目指していますが、ITでイノベーションを起こしても、ただの一発屋で作って終わりではなく、会社としても個人としても、経営理念にあるように、社員とその家族がハッピーな状態を持続できる、そういう製品・サービスを提供しながら成長していく会社でありたいと思っています。

ーーそういった社会課題に挑戦するコグラフの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

コグラフは2010年設立、10年目の会社です。当初から今まで、基本的にお客様向けの技術サービスの提供をしてきました。ソフトウェア開発、アプリケーション開発、データ活用、AI分析も含めて、いろいろな技術サービスをお客様に提供することで、いろいろな課題を解決してきました。

コグラフが今、取り組んでいるのは、主にセールス・テックという分野です。労働人口が減り続ける中で、海外市場もですが、特に日本市場では、働き方改革も含めて、人にまつわる課題が非常に多いです。セールスやマーケティングの領域でも、人が活躍する場面が多いですが、そこをAI等のITを活用しながら解決していこうと取り組んでいます。

「ドラえもん」の世界へ

ーー具体的には、どんな取り組みでしょうか?

ここ2〜3年、特に声を使ったAI領域において、大企業を含め、いろいろな会社とコラボレーションしてきました。声を使ったAI領域こそ、今後の世界を変える可能性を持った領域だと感じています。今までは人間と人間がを使って会話をして、いろいろな仕事をしたり課題を解決したりしたわけですが、その一部を機械に置き換えていくところを目指しています。

−−身近なところでは、どういう場面で使われるのですか?

セールスのみならず、身近なところで声を使った仕事がいろいろあるかと思います。そこをより効率化して、人がやるべき仕事をもっと特化していく、たとえば声によるルーティンワークのようなものは機械にやらせてしまって、非常にコアな部分、人間がやるべきところだけを人間が快適な労働環境の中でできるような、そういったところを目指して今、開発を進めています。

AIと言うと、人の仕事を奪うなんていう文脈で語られることが多いと思いますが、我々はそうは考えません。AIが人に置き換わる部分はあるのですが、それは人の仕事を奪うというより、労働人口も減り続ける中で、無理な仕事、不快な仕事、苦痛な仕事をどんどん取り除いていく必要があると考えています。ITを使って人を支援するところからもう一歩踏み込んで、人がやらなくてもいい領域を、声を使ったAIによって置き換えていこうというアプローチです。

声を使ったAIなんて最先端の技術を使って新しいことに取り組んでいるのですねと、よく言っていただくのですが、もともと声を使って人間とコンピュータが対話をするというのは、1960年代の映画「2001年宇宙の旅」のHALとか、同時期に出た日本が誇るアニメの傑作「ドラえもん」のイメージがわかりやすいでしょうか。ドラえもんとのび太くんは、キーボードもマウスも指も使わず会話をしていました。あのスタイルが、人間が本能的に求める人間とコンピュータの関わり方の自然なスタイルではないかなと思います。それが1970年代、80年代、90年代、2000年代と、PCやスマートフォンが発達するに従って、指と目で人間とコンピュータが会話することがあたりまえだと考えられてきていますが、もう一回原点に帰って、本来の、人間が自然な形でコンピュータと触れ合う、人間がコンピュータに何かを助けてもらったり、指示を出したり、情報を得たりというのを、自然な形、声を使ったインターフェースでするという世界を作っていきたいなと思っています。

世代やジェンダーを超えて

かと言ってコグラフはロボット、ドラえもんを作るわけではなくて、もっと現代のテクノロジーを活用して、まずは一つ一つ実現していきたいなと考えています。前述のセールス・テックでは、いろいろな分野で声を使ったマーケティングやセールスの活動をしていますので、人がやらなくていい領域をだんだんと機械に置き換えていくというところがありますし、その他、最近は「OK、グーグル、天気予報を聞かせて」なんていうAIスピーカーを、家の中のみならず、オフィス、車、学校、屋外などでも、使える場面が増えてきていますので、その次代に向けた準備を進めている最中です。

我々の世代はPCやスマートフォンを活用しながらいろいろなITの利便を受けてきましたが、声を使うことで高齢者がITを利用する可能性は広がると思います。逆に、まだPCに触れる前の段階の未就学児が、「OK、グーグル」とかアレクサとかに問いかけて、天気予報を聞いたり音楽をかけたりする時代が来ているのかなと思います。私の子どもも3歳の頃から、「OK、グーグル、パプリカ(好きな曲名)をかけて」と言ってカラオケをして一人で喜んでいたり、週末に外出する時に天気予報を聞いたり、もうすでにそういった時代が来ています。

一方で、特に日本のパソコンやスマホを使いこなすデジタルネイティブの男性には、声でコンピュータと話すことに恥ずかしさや抵抗があるとよく言われるのですが、そういったジェネレーションやジェンダーを超えて、もっといろいろな方々がコンピュータとうまくつきあえる時代を作っていきたいなと思っています。

この流れは不可逆で、料理をしながらレシピを聞いたり、出勤前に着替えながら天気予報、ニュース、音楽を聞いたり、何かをしながらできる世界というのを、今まであまり人類は経験して来なかったのかなと思いますが、一度そういった世界に行ってしまうと、わざわざ指でテレビをつけたりスマートフォンやPCを開いたりして情報を得るのではなく、声で自然な形で同じ情報が得られるという時代になっていくのかなと思います。

PCやパッドを使えないような方にも、声で注文できたり、逆にその声の注文を、わざわざシステムを作らなくても受け付けることができて、コンピュータから人に伝えることができる世界を作っていきたいと思っています。

あらゆる業界で「声の会話」が持つ可能性

製造業界でも、製造ラインに人がどれぐらい残るかということがあり、発注から倉庫、製造、発送、といった過程で、今までの発想ですとコンピュータどうしが会話する、もしくは人間が操作することをコンピュータの言葉に置き換えてシステムを繋いでいったわけですが、これを逆に人間の声に乗せてしまう取り組みをしています。人間の声をコンピュータが理解できれば、システムの連携が非常に容易になるのです。人間とコンピュータのやり取りも、コンピュータとコンピュータのやり取りも、全部が声でできてしまうと、一気通貫でシームレスに繋がります。今までは、コンピュータの場合、全てを定義していないと会話できないという時代が続いたのですが、AI、機械学習、深層学習の時代になって、多少の新しい会話が入って来ても、いろいろな周辺の会話の分析から理解ができるようになり、今後、人とコンピュータ、コンピュータとコンピュータがどうやって「会話」をしていくかというところが変わっていくのではないかなと思います。

情報の整理という意味では、一回人の手を介して後は機械に学習させていくという流れは今後もっと増えるのではないかなと思います。機械自身もまさに学習を自分でできるようなテクノロジーがもう生まれ始めていますので、そのあたり、人間の雇用を生み出しながら、機械としっかり共存していくという世界が望ましいのではないかと思います。

今はマイクロソフトと組んで、いろいろコグニティブ(自然言語を理解・学習・予測するコンピュータ・システム及びその技術)のサービスを日本で広める活動をしています。そのテーマの一つが、強化学習という領域です。それ以前の機械学習、深層学習ですと、モデルを作るところ、タグをつけるところや、継続的にそのモデルを成長させたいというところに、ある程度、人の目や力が必要だったわけですが、強化学習の世界になると、機械が自律的に、自分で自分をバージョンアップしていける、こういう時代が来たということです。アメリカでは昨年発表された技術を日本で今、広めようということでマイクロソフトと一緒にやっています。

「声」で持続的な社会課題解決

テクノロジーによる社会貢献というところでは、たとえばオレオレ詐欺のような、声を使った、人間ではなかなか識別がつかないようなところまで、いろいろなテクノロジーを活用すると、それが本当に人間に繋いでいいものかどうかみたいなところも判別して、しっかりと高齢者を守ったり、そういった分野でも、声を理解して人間を理解するという活動は将来性があるのではと考えています。

電話がかかってきて高齢者が出て、相手の声色が少し違っていても、話の内容がおかしくても、人間が判断すると間違えることもある、それを、たとえば声の音質、話す内容の具体性など、しっかり機械によって判断させることで、これは嘘の電話だと見抜けるのですよね。たとえば「口座に振り込んでほしい」などのキーワードは、それだけでおそらくルールベースでもはじけるはずですね。また、たとえば誰かからの電話ということであれば、機械が一回そこの登録された番号に確認の電話を入れるとか。テクノロジーを使うと、アクションを含めていろいろなことをした上で、これが本当に人に繋ぐ電話かどうかというのを判定できる。

声が持つポテンシャル、声だけでわかることもいろいろあると思いますし、声で成立している会話というものが非常に人間の社会にとって重要な役割を果たしていて、会話を理解・分析することで、より人間がわかるようになってくると思います。たとえば前述の、嘘か本当かみたいなところもそうですし、次世代には、たとえば、この人は今何をほしいと思っているか、そういうことまでわかるような世界が来ると思います。

少しSFチックですが、人間はたぶんそれを本能的にやっているのだと思います。声質、仕草、状況などから、相手が何を考えているかをある程度理解しながら会話を成り立たせる、AIもそこまで行けると思っています。声と会話ひとつをとっても人間の理解のためには非常に大きな示唆を得られる可能性を感じます。

第三者的な評価も、もちろんできますし、逆に人間的な評価をしているところを受け止めた上での対話というのができるとも思います。

AIによるカウンセリングなども将来的には可能だと思います。ただ、現時点ではまだまだそれ以前のところでできることは非常に多いなと感じます。たとえば、学校の教室で先生との会話、友達との会話、授業の内容、それをどうやって覚えるか、そういったところでもいろいろ声の活用ができるだろうと思っていて、非常に身近なところにいろいろなテクノロジーが、もっともっと広まるといいなと。

今までは声を音声と見立てて、それをいかに理解するか、再現するか、そういった基礎技術を追求する場面が多かったと思いますが、いわゆるAIを絡めた、会話を理解することで人間を理解しようという動きが広まりつつあります。今はスマートフォンでAIと会話しても、片言で違和感のある会話だなあと思いながらも、もちろんその基礎技術も進化するのですが、それ以上に別のベクトルでいろいろなテクノロジー、プロダクト、サービスが今後出てくるのではないかなと思っています。

我々は本当に機械=コンピュータと会話することに、まだこの2019年とか2020年の段階ではあまり慣れていないと思うのですが、前述の私の子どものようなボイス・ユーザー・インターフェース(VUI)ネイティブの世代が生まれ始めているので、この子たちが将来どうなるかというのは、我々の世代からすると想像がつかないようなポテンシャルを持っているのではないかなと思います。

いろいろと社会は変わっていくと思います。いずれにしても、声を使ったテクノロジーを活用して、人類や社会が抱える課題を解決する、それも一過性のサービスやプロダクトではなくて、継続的に成長していけるようなモデルを作っていきたいなと思います。

コグラフ株式会社 代表取締役 森 善隆 氏

ダイバシティからイノベーションが生まれる

ーーコグラフの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

エンジニア集団コグラフの特徴として、まずグローバル性の高さがあります。世界各国から優秀なエンジニアが、ここ五反田に集まり、ボーダレスな環境で新たなイノベーションを起こそうと取り組んでいる、それが1つ目の特徴です。

10カ国ぐらいから、女性エンジニアもいます。ボーダレス、ダイバシティを追求したいと思っています。

技術的なバックグラウンドもそうですが、声を使った人と人とのコミュニケーションを追求するという側面でも、日本国内で日本人だけで作るよりも、将来の世界展開を踏まえて、今のうちから組織チームを作っていこうという取り組みをしています。

2つ目の特徴は、グローバルな視点の一方で、ローカルにも視点を置いていることです。五反田という地の利を生かして、地域と関わりを持ち、地域と共に持続可能なプロダクト、持続可能な会社を作り上げていくために、ローカルにしっかり目を向けて活動していくことが重要と考えています。

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージは?

世界を見てほしいと思います。年代を超えて、世界のいろいろな方々と多くのコミュニケーションを取る、そのためには英語が必須になってくるかと思いますが、英語をしっかり勉強した後でそういった環境に飛び込むというよりは、環境に飛び込んだ後でコミュニケーションを取りながら英語を学んでいくというスタイルがいいのではないかなと思います。

技術に関しても、テクノロジーの領域を志向するなら、そこは大学に行ってからとか、何か試験に受かってからではなくて、今できることをすぐに、今日からでも始めてほしいと思います。

ロゴに込められた想い

コグラフのロゴは、円を表しています。コンセプトとしては、いろいろな人たちや環境と結びつきながら成長していくということが、この円には現れています。ボーダレスで、グローバルに境目なく融合しながら成長していく、そういったコーポレートの特徴が、この円に込められているのです。

コグラフ株式会社 ロゴマーク

五反田は「コミュニケーションとコラボレーションが生まれる街」

ーーコグラフをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

五反田は、非常にバランスが良い街かなと思います。食、産官学、企業の規模感、土地の物理的な距離感、飲食業などの産業も含めコミュニケーションを取りやすい距離感で、みんなが壁をなくしてコラボレーションしようとしている街だと思います。いわゆるIT企業を中心に「五反田バレー」という活動もありますが、さらにもう一歩超えて、地域に住んでいらっしゃる皆さんも含めて、一緒に何かできる、そういったポテンシャルを持っている街ではないかなと思います。

非常に住みやすい街だとも思います。子育ても、品川区のいろいろな制度を活用しながら、快適に暮らせます。

職住近接も謳われて久しいですが、企業にとって、社員が近くに住める場所にオフィスを構えるのも非常に重要かなとも思います。五反田は、住環境としても商業環境としても非常に便利なので、我々としても社員に近くに住んでもらえるような場所を選んだつもりです。

IT企業なので、一般社団法人「五反田バレー」さんと一緒にいろいろなコミュニティを作る活動にも参加しています。さらに、IT企業だけではなく、地域の、たとえば大学、小中学校、不動産や製造業などいろいろな業種業界の方々とコラボレーションをしながら、次の新しい住みやすい五反田を作るために、僭越ながらご支援させていただいています。

五反田の有志企業により立ち上げられた五反田ウェルネスコミュニティ(通称:ゴタウェル)

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聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)