第3回「地球を止めるな!〜みんなのSDGs会議〜」参加者募集!

これからSDGsの学習に取り組もうと思っている、子どもたち、保護者、教育関係者向けのイベントです。
新型コロナの問題で学校に通えていない今、こうした課題にも取り組みたいと思っている方々、ぜひ参加してください。
Zoomでの開催になります。先着50名まで。

開催日時:2020年5月4日(月)午後1時スタート 1時間程度
開催方法:zoom会議形式
講師:柳沢富夫、木村京子

第3回は、「ゴミのない社会へ〜忍野村の子どもたちの取り組み」。忍野村でゼロ・ウェイスト・ビレッジ×SDGsを推進する日向治子さんと、こどもエコクラブ「キッズカレッジSAKUYA」の子どもたちをゲスト講師にお迎えします。

忍野村の子どもたちから取り組みについてお話を聴いて、自分たちもできることを考えてみませんか?

(SDGsは国連が全会一致で決議した2030年までに達成する17の目標で、近年多くの中・高入試問題でも採り上げられています。)

参加お申し込みはこちらからお願いします。

親御さんとお子さんご一緒の参加も大歓迎です。

第2回「地球を止めるな!〜みんなのSDGs会議〜」参加者募集!

これからSDGsの学習に取り組もうと思っている、子どもたち、保護者、教育関係者向けのイベントです。
新型コロナの問題で学校に通えていない今、こうした課題にも取り組みたいと思っている方々、ぜひ参加してください。
Zoomでの開催になります。先着50名まで。

開催日時:2020年4月23日(木)午後1時スタート 1時間程度
開催方法:zoom会議形式

第2回は、「学校と私とSDGs」
1. みんなで挑戦!SDGsクイズ(ウォーミングアップ)
2. 学校とSDGs(取り組み紹介)
3. 自分とSDGs(今日からできることを考えよう)
4. 話し合い(みんなのプロジェクト・テーマを大募集!)
講師:柳沢富夫、木村京子

(SDGsは国連が全会一致で決議した2030年までに達成する17の目標で、近年多くの中・高入試問題でも採り上げられています。)

参加お申し込みはこちらからお願いします。

親御さんとお子さんご一緒の参加も大歓迎です。

第1回「地球を止めるな!〜みんなのSDGs会議〜」参加者募集!

第一回目のプロジェクトとして提供するのは、「地球を止めるな!〜みんなのSDGs会議〜」。これからSDGsの学習に取り組もうと思っている人、子供達向け、保護者向け、教育関係者向けのイベントになります。新型コロナの問題で学校に通えていない今、こうした課題にも取り組みたいと思っている方々、是非参加してください。Zoomでの開催になります。先着50名まで。

プロジェクト:「地球を止めるな!〜みんなのSDGs会議〜」No.1
開催日時:2020年4月14日(火)午後1時スタート 1時間程度
開催方法:zoom会議形式
参加方法:下記の申し込みフォームからご参加ください。
主催:有志PTA連合

プログラム:第1回テーマ「なぜ今SDGs?」

  • 地球からのSOS!(SDGsとは)
  • 日本の国・企業・地域・学校とSDGs(取り組み紹介)
  • 自分とSDGs(グッドライフ目標に挑戦しよう!)
  • 話し合い(みんなのプロジェクト・テーマを大募集!)

講師:柳沢富夫、木村京子

参加お申し込みはこちらからお願いします。

親御さんとお子さんご一緒の参加も大歓迎です。

品川区立冨士見台中学校の1年生にSDGsワークショップを提供

有限会社ラウンドテーブルコム SDGsポイント研究所@ジャパンでは、教育現場と地域、企業、自治体を繋ぎ、「知る」「考える」「行動する」の3ステップを子供達が自ら体験できる環境としての地域づくりを目指して様々な活動を続けています。

品川区「五反田バレー魅力発信事業」に採択された STI for SDGs @Gotanda-Valley(持続的開発目標のための科学技術イノベーション@五反田バレー)の一環として、2020年2月21日(金)の午前から午後にかけて3コマ、馬込の冨士見台中学校を訪問して、中学1年生の全3クラス計75名の生徒にSDGsのワークショップを提供してきました。

まずは、同じく品川区「五反田バレー魅力発信事業」で五反田バレーのIT企業等の全12社を訪問インタビューした記事(全文はウェブ掲載)の要点を抜粋、各ページに課題をつけた冊子を全員に1冊ずつ配布。この冊子を通して、生徒たちは五反田バレーで科学技術イノベーションに挑戦するIT企業等について学びました。(さらに詳しくSDGsを知ってもらうための参考資料として、三井住友フィナンシャルグループや朝日新聞社のSDGs冊子も配布しました)

続いて、国際的なメディアであるAFP通信社の教育用データベース AFP World Academic Archiveから「SDGs目標9 産業と技術革新の基盤を作ろう」というテーマに沿った写真を選び、日本語タイトルをつけ、なぜその写真を選んだのか200〜400字程度の文章にまとめるワークショップに挑戦しました。

最後に、時間内に文章が完成した生徒たちは、五反田バレーの魅力発信のために特設したオンラインのコンテスト「五反田バレー賞」の対象となる、AFPWAA Student Workshop @Gotanda-Valleyに応募しました。(応募作品はこちらに掲載)

短い時間でしたが、生徒たちは資料で「知る」ところから始めて「考える」そして考えたことを自分の言葉で伝える=「行動する」ところまでを一通り体験できたと思います。

次年度はぜひ、年間のSDGsカリキュラムに計画的に組み込んで、より効果的に資料を活用できるとよいでしょう。

文:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

イベント開催報告「共に創ろう 持続可能な社会 第2弾〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」

プログラム

2020年2月16日(日)立正大学品川キャンパス9号館B2階の9B23教室をお借りして、STI for SDGs(持続可能な開発目標のための科学技術イノベーション)を地域のベンチャー&中小企業、大企業、教育機関、その他の方々と共に考えるイベントを開催しました。主催:(有)ラウンドテーブルコム、共催:立正大学、後援:品川区。

テーマは「共に創ろう 持続可能な社会 第2弾〜STI for SDGs@Gotanda Valley〜」。国連の設定したSDGs(持続可能な開発目標)を達成するために、ものづくり・ITの果たす役割は大きいです。五反田バレーの企業の技術とビジョンをどう生かすか、一緒に考えましょう!というイベントでした。新型コロナウイルスの感染拡大が報道される不穏な情勢の中で、参加者・登壇者・スタッフ合わせて43名が集いました。

今回は、五反田バレーで活躍中の企業「CAMI& Co.」「アイ-コンポロジー」、品川区の企業「東洋製罐グループホールディングス」、その他の企業「近畿日本ツーリスト首都圏」「野村総合研究所」、品川区内の教育機関「品川区立冨士見台中学校」「品川エトワール女子高等学校」、国連傘下組織「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」、資料提供で「朝日新聞社」「三井住友フィナンシャルグループ」「AFP World Academic Archive」、そして「積才房」「国際的学習プログラム研究委員会」「SDGsポイント研究所@ジャパン」による協力のもとで、企画が実現いたしました。

告知には品川区もご協力いただき、商業・ものづくり課の方には大変お世話になりました。五反田バレー地区でSDGs等の社会課題に取り組む企業の認知度向上と、彼ら企業と教育等の多様なステークホルダーとの具体的な連携を促進することができました。

以下、登壇者からご許可いただいた資料については、画像をクリックするとPDFファイルが開きます。

一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)事務局長 大場恒雄氏

オープニングでは、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)事務局長 大場恒雄氏よりご挨拶をいただきました。GCNJは国連グローバル・コンパクトの日本支部です。多くの日本の企業、(教育も含む)団体が参画し、マーケットを動かしながら持続可能な世界を構築していこうとしています。

立正大学心理学部 小澤康司教授

立正大学心理学部 小澤康司教授による基調講演では、「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」を振り返り、日本のSDGs教育の遅れを指摘、ドイツをはじめ世界の実践事例を挙げて、これからのSDGsと教育のあるべき姿を熱く語っていただきました。

(株)CAMI&Co.代表取締役 神谷雅史氏

企業プレゼンのトップバッターは、五反田バレーでIoT(モノのインターネット)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)で新たな価値を創出する(株)CAMI&Co.代表取締役 神谷雅史氏。IoT×SDGsビジネス戦略、しかけ作りのための着眼点のお話はとても勉強になりました。

アイ-コンポロジー(株)代表取締役 三宅仁氏

同じく五反田バレーで、バイオプラスチック複合材の活用によるSDGsの推進に取り組み、第1回「STI for SDGs」アワード優秀賞に輝いた、アイ-コンポロジー(株)代表取締役 三宅仁氏からは、プレゼンの最後に宿題をいただきました。「さぁ何の商品を作ればいいでしょうか?柔らか頭で考えてみてください」アイ−コンポロジーが手がける燃やしてもCO2排出ゼロのプラスチックや海洋で生分解するプラスチックで、素敵な商品を五反田バレーから生み出しましょう!

東洋製罐グループホールディングス(株)イノベーション推進室リーダー 三木逸平氏

品川区に本社を置き、金属、プラスチック、紙やガラスなどの素材を活かした様々な包装容器の製造を通じて持続可能な社会の実現を牽引する、東洋製罐グループホールディングス(株)イノベーション推進室リーダー 三木逸平氏のプレゼンでは、エクストリームユーザーから一般消費者に展開されたプロダクトの歴史から始まり、「ドローン×スプレー缶」「大人の塗り絵×ガラス瓶」「お祭り×日本酒缶」と目からウロコの連発、そして「資源の使い切りか生活の退化かという二択から抜け出し、技術とイノベーションですべての一人が笑顔になる、次の100年をOPEN UPしよう!」というメッセージをいただきました。

(株)近畿日本ツーリスト首都圏団体旅行部 金井隆行氏

企業プレゼンのしめくくり、(株)近畿日本ツーリスト首都圏団体旅行部 金井隆行氏からは、文房具メーカーのコクヨが2007年から取り組む琵琶湖のヨシ(葦)活用の好循環を蘇らせる「リエデンプロジェクト」と東京の私立正則学園の高校生による、「SDGs学習旅行」を主軸に置いたコラボレーションの事例を発表していただきました。五反田バレーなど品川区の企業と学校でも、ぜひそのようなコラボレーションを実現しましょう!

後半はパネルディスカッション形式で「五反田バレー×ものづくりとIT×SDGs」を、産業界と教育界それぞれの立場からパネリストたちに登壇いただき、皆で考えました。

司会:桑原りさ氏(フリーキャスター)

まずは、イベントの総合司会およびパネルディスカッションのモデレーター、桑原りさ氏(フリーキャスター)より、前半の企業プレゼンの振り返り。

(株)野村総合研究所 未来創発センター主席研究員(財務省より官民交流)御友重希氏

続いて、後半パネルディスカッションからの登壇者の紹介と話題提供。まずは、(株)野村総合研究所 未来創発センター主席研究員(財務省より官民交流)御友重希氏から、SDGsプロジェクトのテーマ発見、チーム結成、国際ハッカソン参加等に活用できるワークシートのご紹介。

品川区立冨士見台中学校 山本修史校長

教育界からは、市民科(道徳、特別活動、総合的な学習の時間を統合・再構築した品川区の独自教科)の授業時間を使って次年度から全学年でSDGs学習カリキュラムを導入する、品川区立冨士見台中学校の山本修史校長。

品川エトワール女子高等学校 曽原健一郎先生
品川エトワール女子高等学校2年 船谷楓さん

そして、品川区内の私立品川エトワール女子高等学校の曽原健一郎先生と2年生の船谷楓さん。船谷さんからは、今回の「五反田バレー魅力発信事業」の一環として特設したAFPWAA Student Workshop @Gotanda-Valleyで、国際的なメディアであるAFP通信社のコンテンツを活用するSDGs学習に取り組んだ感想も発表していただきました。(船谷さんの応募作品は、こちらです)

その後のディスカッションでは、企業側から「教育の場に期待すること」、教育側から「企業や地域に応援してもらいたいこと」、そして最後は全員から一言ずつ「SDGsにおいて今皆さんに伝えたいこと」をアピールしていただきました。高校生からの真摯な発言に大人たちの心も動かされました。

客席からの質疑応答タイムでも、熱心な参加者からの発言があり、会場が一体となったひとときでした。

(有)ラウンドテーブルコム代表取締役 柳沢富夫

最後は、主催者を代表して(有)ラウンドテーブルコム代表取締役 柳沢富夫より、提言「五反田バレーで企業と教育をつなぎ、SDGsアクションを!」で幕を閉じました。(※プレゼン内で告知しました次回イベント「SDGs Chance 2」は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の状況を鑑み、延期いたしました。新たな日時・場所が決定しましたら告知させていただきます)

企業・団体と教育機関(教員・学生)がほぼ半々となった当日の参加者アンケート結果は、イベント全体として「とても満足(61.9%)」「満足(38.1%)」合わせると100%という高満足度で、「勉強になりました。これをきっかけに具体的に取り組んでいきたいと考えています」「企業と学校の繋がりの重要性を実感しました」「子どもたちに何を伝えるか、どう伝えるか?を考えるヒントがたくさんありました」などのコメントをいただきました。

文:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(12) freee株式会社様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第十二弾は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」を提供する、freee株式会社様です。

2020年1月30日、西五反田の五反田ファーストビル9階にあるfreee株式会社様におじゃまして、経営管理本部カルチャー推進部部長の辻本祐佳様にお話をうかがいました。今回は「次世代レポーター」として立正大学品川キャンパスの大学院生も取材に参加しました!

freee株式会社 経営管理本部カルチャー推進部部長 辻本 祐佳 氏

ーー2019年12月17日に東証マザーズに新規上場したばかりのfreeeのオフィスは、活気に満ちていました!

スモールビジネスを強く、スマートに

ーーさっそくですが、辻本さん、freeeとは、どんな会社なのでしょうか?

「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションとして掲げ、スモールビジネスの会計業務、人事労務業務などバックオフィス業務の課題を、テクノロジーで解決するサービスを提供しています。「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」というビジョンを目指しています。会計や人事労務は、ビジネスをやっていく上では必要不可欠な業務ですが、専門知識も必要で、リソースを割かないとできない、スモールビジネスにとっては、かなり荷が重いというのが従来でした。そこをサービスで手助けすることによって、例えば、「アクセサリー屋さんをやりたい!」と思った時に、やりたいと思うパッション、作るというスキル、こうしたらもっとみんなに楽しんでもらえるのではないかというアイデアがあるだけで、やりたいことを形にしていけるようなサービスを提供する会社です。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。freeeが重視するグローバルな課題とは?

feeeはもともと、国内企業の90%以上を占めるスモールビジネスと言われる中小企業が、もっとテクノロジーを活用して生産性を上げていくことができれば、日本全体の国力、経済力がもっと上がっていくはずだし、そこに対して、今まだ日本全体でテクノロジーを充分活用しきれていないという課題意識から、2012年に設立されました。経済力向上と格差改善のためのテクノロジー活用が、freeeとしては関心の強い分野だと思います。

テクノロジー活用でスモールビジネスの生産性アップ

ーーそういった社会課題に挑戦するfreeeの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

大きいプロダクトは会計業務の「会計freee」、人事労務関連業務の「人事労務freee」などがありますが、「会計freee」を例に説明します。従来の会計ソフトだと、バックオフィス業務というのは絶対にやらないといけないという前提があり、負担を減らすには、その入力を楽にしよう、というような発想だったのです。「会計freee」には、「実際、それは本当にやらなくてはいけないことなのか。本業のビジネスを営むことと別にやらなくてはいけないことなのか。あるいは、本業のビジネスをやっていく中で自然にそこもこなしていけるようになれば、そのために使っていた時間も、もっと本業のために使えるのではないか」という発想があります。限られた時間の中で、配分を変えられる、ということです。パン屋さんはパンを作りたかったのであって、会計をやりたかったのではないですよね。もしパン屋さんで日々、販売を入力するだけで、それがそのまま記帳や会計情報になっていくとなれば、別個にレジ締めなどをやらなくていいわけです。そうなったら、その分、早く寝て翌日の仕事に備えるなり、新しい製品を考えるなり、そういったことに時間をもっと使ってもらえる、それが基本的なコンセプトです。

freee株式会社の「マジ価値2原則」と「マジ価値指針」

弊社には創業の時からずっと強く浸透している「マジ価値」という概念があります。「マジ価値」とは、「ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えること」です。パン屋さんにとっての本質的な価値は、記帳業務が楽になることではなく、そのために使っていた時間を、もっと自分が本当にやりたかったことに使えることであるはずで、それをどうやって実現すればいいのだろうか、という考え方です。社員は皆、「マジ価値」という言葉が大好きで、社内でもいろいろなミーティングで使っています。社内に「マジ価値KPI」というのがあって、例えば、プロダクトを使ってくださるお客様が、手作業をどれぐらいしているか、というのをKPI化しています。手作業が減ると、それだけ間違いも減るし、その人たちが使える時間も増えるので、そういうことをKPIで追って、マジ価値を「届けきる」ために役立てています。

「マジ価値」を届けきるために

「届ける」ではなくて「届けきる」。マジ価値というのは、ともすればただの独善的な考え方になってしまいます。これがマジ価値だと考えていても、それが誰にも届いていなかったら、ただの独りよがりです。だから、「マジ価値というのは、届いて初めてマジ価値なんだよ」というのを社内でも言っています。一人ひとりがマジ価値に対して向き合い、組織として、作っているマジ価値、売っているマジ価値、売った後にユーザーが使いこなせるようになるマジ価値、というのをちゃんとつないでいかないと、どこかで切れてしまって、作ったけど知られていない、買ってもらったけど使われていない、となってしまったら意味がありません。だから会社の中でリリース情報をちゃんと共有したり、使ってもらえるための説明をお互いに協力してやっていこう、という想いを込めて、「届けきる」なのです。

「マジ価値」を熱く語る、辻本氏

ーーfreeeでは、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?辻本さんの率いる「カルチャー推進部」とは、どういう部署なのでしょうか?

カルチャー推進部は、立ち上がって1年半ぐらいになる部署ですが、一般的な会社で言うと人事と総務の機能を持っているチームだと思います。まさに人財育成のための制度やトレーニングや、新しい人が早く成果を出せるためのオンボーディングなどもします。そういう人事的機能もあれば、オフィスのマネジメントや、社内でのコミュニケーションの企画、福利厚生なども考えている部署です。なぜそれでカルチャー推進部かというと、まさに「マジ価値」を中心に置く考え方をする人たちが集まることによって、freeeという会社のカルチャーができていくのですが、そのカルチャーの構築に大きく関わる仕事を集約して、あえて人事総務部という名前ではなく、カルチャー推進部という名前にしています。

コミュニケーションに投資

オフィスづくりでも、コミュニケーションを意識しています。プロダクトのところでお伝えしたように、弊社は生産性向上や効率化を目指しているのですが、効率化した結果、というか、プロダクトで効率化するからこそ、その分の時間というのを、より実りあるところに投資してほしいという発想があります。それは社員との関係についても同じで、効率を求める会社だと思われがちですが、人とのコミュニケーションにはかなり投資をしています。オフィスのつくりとしても、例えば、全部の階にカウンターがあって、そこに飲み物を取りに行ったり、9階には軽食があって、そこに取りに行く。そこで誰かと会って、「あ、そういえばこの間どうでした?」という会話が生まれたり、コミュニケーションができるような仕掛けになっています。

freeeは今、500人ぐらいの規模ですが、週1回の全社会議をしています。情報を伝えるという観点だけなら、ドキュメントをシェアする方が効率的ですが、弊社には「あえ共」(あえて共有)という、大事な考え方があります。必要なことを伝えるのは当然で、その上でいろいろなことを伝えていくことによって、よりお互いにオープンにフィードバックし合うことで、ビジネスのスピードも上がり、他部署との連携も進む、という考え方なのです。ですから週に1回みんなで集まって、例えば「プロダクトを最近こういう方向で進化させようとしています」とか、「どこどこ部署の誰々さんってこういうことをしてすごいんです」とか、そういうことを共有し合っています。規模が大きくなったから遠くなるのではなく、お互いが何をやっているかわかるように、コミュニケーションにはかなり会社として投資していると思います。お客様から、freeeのそういう雰囲気が好きだ、と言っていただくこともあります。

freee株式会社 経営管理本部カルチャー推進部部長 辻本 祐佳 氏

世界を変える若い人たちへ

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

大人が若い人たちに「これはやったほうがいい」と言うことは、その人たちの制約になってしまいそうな気がします。若い人たちの方が世界をどんどん変えていって、十年前と今では全然違うように、ここからの十年間はもっと変わると思っています。だから今の中高生、大学生には、今あるものが当然だとか、それを前提に考えないでほしい、ということだけを伝えたいですね。「これをやっておいた方がいいよ」なんて大人が言うより、そんなことをもっと軽々と越えていった方がいいと思います。

自分が高校生ぐらいの時に先生に言われていたのですが、自分が勉強していることというのは、過去のいろいろな偉い人たちの叡智の頂点であると。だからその最新情報を吸収できるというのは、私の世代より今の世代の方が、たぶんより効率的だし、より最先端だし、間違いも正されているはずで、それはそれですごく価値あるものとして享受したらいいのではないかとも思います。

弊社には新卒の社員もいますが、若い人から教えられることばかりですね。単純な知識より、ものの考え方の方がずっと大事だと思いますが、その点では、新しい人たちから刺激を受けることばかりだと思っています。

そういう若い人のアイデアがプロダクトにも反映されています。弊社は、マジ価値を「届けきる」というのが本当に会社の中心にあるので、だからフラットでオープンなのが当然なのです。社長が言っているからとか、マネージャーが言っているから、それを鵜呑みにしてやりました、というのは全然推奨されず、社長であっても、新卒であっても、マジ価値というものに対して一人と一人として、本当にガチで向き合ってください、というメッセージも「届けきる」に込められています。だから先輩と後輩でも、それぞれの視点が違うというだけで、先輩ならではの視点と、後輩ならではの視点、どちらが本当にマジ価値かというのを同じ土俵で戦わせています。

freee株式会社 ロゴマーク

社名・ロゴに込められた思い

freee の社名には、まず、スモールビジネスをより自由にするという意味があります。e が3つあるのは、最初にfreeeを作った人が3人だからです。そしてツバメなのですが、滑空ではなくて羽ばたきで飛ぶ鳥では、ヒメアマツバメが最速らしいのです。「最速でスモールビジネスを自由にしていく」ということを意味して、この社名になりました。社員は皆、このツバメが大好きで、ぬいぐるみを作ったりしている人もいます。

ーーfreeeをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

私自身も実は五反田にもう4年ぐらい住んでいるのですが、弊社には、この地域に住んでいる人がたくさんいます。近隣に住んだ人には一定の手当を出しているのですが、職住近接によって、例えば、電車通勤によるストレスが軽減する等のメリットはかなり大きいと思います。最初は麻布で創業したのですが、社員数が増えるにつれて、家族で近くに住んでもらえるということを考えたら、近くに住めるような地域で、かつ、コミュニケーションのために、できれば会社周辺でみんなでご飯を食べられるような地域を探しました。五反田にはいろいろな飲食店があって、昼にランチに出かけたり、夜ちょっと飲んだり、選択の幅が広い街だと思います。みんな大好きですね、五反田。

ーー地域貢献ということでは、子どものためのプログラミング道場「CoderDojo 五反田@freee」に、会場提供をしていますね?

CoderDojo 五反田@freeeには、近隣に限らず社員の子どもたちも来ています。子どもたちがfreeeのエンジニアにプログラミングを教えてもらったりして、CoderDojoというイベントを通して、社員どうしも知り合いになれるし、会社でふだんの業務とは違う関係性を深められるというのも、いいなと思います。

ーーお話をうかがって、freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」することを目指す、ムーブメント(社会運動)だ、という思いを抱きました。

freeeが目指す世界の方向性に共感する仲間が集まってきて、自律的にアクションを起こす、それが原動力となって、世界は変わるのではないか、と。

ありがたいことに、freeeがやろうとしていることを理解していただき、従来にはなかった発想に共鳴して、使ってくださるユーザーもいます。会計士さん・税理士さんのコミュニティもあって、それをまさに「マジ価値コミュニティ」と呼んでいるのですが、皆さん顧問の先を持っていらっしゃるので、その人たちが、より自分たちが本当にやりたかったことに注力できるために、freeeの発想がとても大事だと考えて広めてくださっています。ですから、まだまだ届ける先はたくさんあるのですが、ありがたいことにそうやって共感してくださっている方々もたくさんいるので、少しずつがんばっています。

ーーSDGsで起きていることと、シンクロしている気がします。大企業は昨今、ESG投資の観点から、SDGsに取り組まざるを得なくなっています。一方、日本企業の90%以上を占めるスモールビジネスが本気で取り組まなければ、実現は不可能だし、ベンチャーだからこそ起こせるイノベーションがあります。

そういう全国の中小企業やスタートアップが産官学民の国際連携できて、金融支援も受けられる、SDGs Innovation HUBを構築する動きが出てきています。

今回のシリーズでインタビューさせていただいた、五反田バレーの中小企業・IT企業の方々と、ぜひこれから連携していけたらと思います。

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

freee株式会社様へ
「次世代レポーター」からの取材感想

「マジ価値」という言葉を大切にしている姿が印象的でした。“何が本質的で価値があるのか”とことん追求し、今(従来)の考え方に囚われず、学生から教わることが多いといった謙虚な姿勢を持ち合わせているからこそ、ここまで会社として成長を遂げているのだと思いました。この「マジ価値」という考えが日本に広まった場合、大きなムーブメントが起きるのではないでしょうか。それはSDGsにおいても言えることで、何が本質的で価値があるのかを追求していけば、必然的にSDGsの目標に辿り着くと思います。freee株式会社のような会社が増えていけば日本も変わるのでは?と思わないわけにはいきませんでした。(立正大学大学院臨床心理学専攻修士課程1年 田崎 正和)

企業インタビュー(11) 株式会社XSHELL様

株式会社XSHELL 取締役 Chief Product Officer 杉田 知至 氏

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第十一弾は、日経新聞にも紹介された「IoTエンジニア養成キット」を提供し、テクノロジーの力で、人をより自由にする、株式会社XSHELL様です。

2020年1月21日、西五反田の五反田サンハイツ3階にある株式会社XSHELL様におじゃまして、取締役Chief Product Officerの杉田知至様にお話をうかがいました。

株式会社XSHELL 取締役 Chief Product Officer 杉田 知至 氏

ーーXSHELLのオフィスに一歩入ると、様々なパーツや工具が目に入り、ものづくりファンにはワクワクする空間です!

ものを生み出す本物の技術、学ぶ喜び

ーーさっそくですが、杉田さん、XSHELLとは、どんな会社なのでしょうか?

本質的な知識を得る喜びを感じる人々に対して、ものを生み出す本物の技術を与える事業を行っています。本来、人は誰でも学ぶことが大好きです。新しいことを身につけて、それが使えるようになるということに対して、知的な喜びを得る生き物なのです。でも、だんだん大人になるにつれて、仕事が忙しくなったり、仕事に関係ないことはあまりやらなくなったりすることが多くあります。学ぶって、けっこう時間がかかって大変なので。それに対して弊社が提供するのは、世の中にある新しいものを大人でも楽しく学べる教材とサービスです。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。XSHELLが重視するグローバルな課題とは?

急激なテクノロジーの進化によって、すべての仕事のやり方が変わりつつあります。具体例を一つ挙げると、AIです。AIの登場で、旧来のシステムの作り方、進め方ががらっと変わり、また一から覚えないといけないというのが、今、世の中で起きている状況です。

ーーそういった社会課題に挑戦するXSHELLの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

弊社が提供する「IoTエンジニア養成キット」と、もう一つ、2020年1月、toC向けにリリースして、2020年2月、toBにリリースする、「作って学ぶ人工知能」という、2つの商品がメインです。教材が届いて、自宅やオフィスにいながら、組み立て、開発を行い、実際にシステムをどうやって作るかを学べる、という商品です。日本全国、場所を選ばずに、どこかに来て学ぶのではなく、自分の好きな環境で、好きな時間に、IoTやAIの最新技術を勉強できる、というソリューションを提供しています。英語にしていけば世界にも展開できるものです。

AI、IoTの最先端技術を誰でも、いつでも、どこでも学べる

「IoTエンジニア養成キット」は2018年8月にスタートして、最初は企業のエンジニア向けに出したのですが、実はこれが一般の方にもすごくニーズがあるというのがわかり、デアゴスティーニと提携してtoCに出したところ、思いの外、反響があり、仕事でなくても、一般の人も最近こういう最新のものを、どういうものか学びたいという欲求がたくさんあるということがわかりました。

教材キットの説明をする株式会社XSHELL 取締役 Chief Product Officer 杉田 知至 氏

ーーどのような方が学んでいるのですか?

現状では、40〜50代の男性がボリューム層です。IoTという名前は聞くけれども中身はどんなものかよくわからないし、スマートフォンもどうやって作ったらいいかわからない。それで、子どもも大きくなってきて時間もできたし、また新しいことを学びたいという、そういう欲求の高い方たちなのかなと思います。生涯現役の世界になってきたので、その人たちが次のキャリアとして、確実に活かせます。若い世代は、どちらかというと企業の方ですね。すでに現場で働いている方が多いので、企業の研修として受けられています。

AIの方は出たばかりで、こちらは最初にデアゴスティーニと提携して一般向けに出したので、企業研修としての活用事例をこれから作ろうとしているところです。

ーー具体的に、どういったことが学べるのでしょうか?

例えば、IoTでは、いわゆるスマート・ホームを作りましょう、ということができるようになるための知識を教えています。ポイントは、物やサービスを作れる本物の技術を教えるというところです。何か一領域をやったらできるのではなく、サービスを作るために必要なことを全部やるので、電子回路、デバイス的なところもあり、プログラミングもあり、サービスを作るというところではクラウドも使い、本当にたくさんの領域を学ぶのです。まだ入り口ですが、奥は深いですね。まずはスタートラインに立つために、最低限必要なことというのが、本当にたくさんあります。

ーー受講者の地域的な分布はどうでしょうか?

東京と愛知が多いですね。東京はIT関係、愛知は製造業が多いです。今まで学ぶ機会があまりなかった過疎地域などにも広めていきたいですね。今はインターネットさえつながっていれば、どこでも仕事できますので。

出たばかりですが、AIはかなりニーズがあるだろうと思っています。日本のIT企業の75%が、AIの人財が足りないと言っている状況で、AIの学習を自分で行って、私もこれを実際に使ったのでわかるのですが、本当にAIを作れるようになるのですよ。ですから、地方であまり仕事のない人も、これでスキルを身につけて、リモートでAIの開発をします、と言ったら、その人は東京並みの単価で仕事ができるわけです。子育て中の女性などにもぜひ勧めたいですね。

大学生向けパッケージも、まだ先の構想ですが出していきたいと思っています。大学生がこれから社会に入っていく上で、絶対にAIの知識が必要になるので、そこに提供したいという思いがあります。今あるコンテンツでも、大学生が充分できます。自分で作りたいものを作るというものなので、公教育の中でもアクティブ・ラーニングをやっている学校なら可能性あるかもしれません。中学生・高校生でも起業してしまうような方もいますので、そういう方々には、いいと思います。

ただ、今はビジネスの現場で圧倒的に困っているので、まずそこからです。次のステップとして、将来の人財を育てるところへ、です。

IoTコースで30万円/6ヶ月、AIコースで32万円/4ヶ月。意外と高いと思うかもしれませんが、実は、この金額って英会話と一緒なのですよね。6ヶ月かけて英会話をやるという選択肢の中に、6ヶ月かけてIoTを学ぶとか、AIを学ぶ、というのが普通に並ぶ時代になってきたのだな、と考えています。

個人のレベルに合わせた学習環境を目指す

eラーニングに関して、今、構想としては、個人のレベルに合わせて自動的にコンテンツを出して、ちゃんとレベルアップするというところを目指して、システム開発しているところです。現在は、その部分を、弊社のエンジニアがテクニカルサポートをして、受講者のレベルに合ったサポートを行っています。

通信モジュールはwi-fiです。どんな通信環境であれ、どういうふうにシステムを作るというのは大きくは変わらないので、まずはベースのところですね。

ーーXSHELLでは、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

弊社は、経営陣のほ全員が元エンジニアという組織で、ものを作れることが当たり前の人たちなのです。ですから、「AIなんて、やったらできるよね」「IoTだって、やったらできるじゃん」とみんな思っていたのですが、どうやら世の中はそうではない、とわかってきました。そこで、私たちが考える、ものを作る時、どうやって本質的な技術を見抜いたらいいのか、というようなことをエッセンスにして、キット化して出していったら、これが社会のニーズに合ったのです。私たちは当たり前だと思ってしまっているのですが、あらためて言語化すると、とにかく作ることですね。実践あるのみです。作って初めて理解するので。弊社のエンジニアですと、営業に行く前に、先にプロトタイプを作ってしまうのです。それで、「こんなのがあるから、欲しいでしょ」と。

まず作る、作りながら学ぶ

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

ことテクノロジーに関して、一つ言いたいのは、まず作ることを目的にしてほしいということです。先に作りたいものを決めて、さっさと作り始めることです。必要なことは、作りながら学べばいいと思います。プログラミングを学ぶというインプットもいいのですが、実はそれだけだと、ものは作れません。ものを作るという視点に立って必要なことを学ぶ、というのをやっていくことで、初めて、社会で通用する本物の技術が身につくので、先に作りたいものを、どんな突拍子もないものでもいいから、決めて、作り始めるというのを、やってほしいですね。

とにかく作ってください。私自身、小さい時から何か作って、問題を起こして、直して、というのをずっと繰り返してきました。だからこそ、今、最先端のITなど出てきても普通に使えるようになったので。最初は、中学生になる時に、ホームページを作りたいという欲求でPCを買ってもらって、プログラミングを覚えました。ホームページの作り方を一切知らずにスタートだったのですが、でも作りたい、どう作るんだ、最初はホームページ・ビルダーで作って、他の人のを見たら、なんか色が変わったりする、これどうやっているんだ、となってCSSを覚えて、掲示板ってどういう仕組みなんだ、というのでPerlを覚えて。とにかく、作りたいが先にあって、必要な技術をどんどん覚えてという形でした。今の子どもたちですと、アプリを作りたいとか、ゲームを作りたいとか、それで、どんなゲームを作りたいか、ではそれを作るのに必要な技術は、というとすぐ学べてしまう。例えばPythonが儲かるからPythonを覚えようというアプローチは、筋が悪いと思います。Pythonが終わったらどうなるのか。子どもたちが大人になるまでに、Pythonは廃れるかもしれません。だからこそ、「本質的な知識って何?」というところをちゃんとしないと。最初に作りたいものがあれば、これ作りたいからPerl使います、これ作りたいからPython使います、これ作りたいからGo使います、という選択ができるのです。かくいう私も、Perlやって、Perl JavaScriptやって、PHP JavaScriptやって、今、Pythonやって、という形で、どんどん言語は変遷しているので。でも結局、原理を知っていたらほぼ一緒なのですよね。得意なことが違うというだけで。ものづくりは、作りたいものがベースでテクノロジーを身につけていったら、その人はおそらく一生楽しいと思うのですよ。何歳になっても、作りたいものが作れる。

株式会社XSHELL 取締役 Chief Product Officer 杉田 知至 氏

ものづくりスタートアップに最適な「五反田バレー」

ーーXSHELLをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

なぜ五反田にいるのか、いくつか理由がありますが、弊社のような若いスタートアップが、まだ入りやすい場所なのです。地価が安かったのもありますが、もともとソニーがいて、ものづくり系の企業がたくさんいたので、ものづくりスタートアップが入っていくにはとても良い場所だったなと思っています。実際、五反田バレーが立ち上がって、それまで個々で活動していた人たちが、お互い集まって交流できるようになったのは、画期的だと思います。DEJIMAというスペースが、五反田バレーの本拠地です。そこから他の企業とコラボレーションして、新しいビジネスが始まったりしているので、ああいう場所があるのは非常に大きいですね。

一方、私自身、プライベートな活動でCoderDojo五反田という、子どもたちにプログラミングをできる場を提供するという活動をしています。この考えに、五反田にあるスタートアップのfeee株式会社にも共感していただき、会場を提供いただいて、品川区近辺のお子さんが集まる場所になっています。ただ、「地域貢献」ということはあまり意識せずに、どんな地域にも、学校でやっていないことを、「僕はプログラミングに興味あるんです」「私はものづくりに興味あるんです」という人たちがいるので、そういった人たちが、いざやろうと思った時に、相談できる仲間がいないとか、先輩がいないという状況に対して、ここに来れば相談できる場所があるよ、という場を提供しているだけです。

会社でも、私のプライベートな活動でも、やりたいと思っている人にチャンスを与えるというのが、基本の考え方でして、IT業界におけるジェンダー・バランスに関してもそうです。CoderDojoでは、実は半数が女の子です。プログラミングが好きな女の子が、「ここに来たら、私ずっとプログラミングしてていいんだ」という場所になれば、そういった女の子が大きくなってIT業界に女性が増えてくるだろうなと考えてやっています。昔のプログラマーは、夜遅くまで仕事するとか、激務であるとか、ブラックであるとかで、これも女性が家事をするという前提の社会だから、女性が働きにくい場所だったのですが、今、働き方改革でどんどん労働環境がよくなっていますので、そういうのが整っいてくると、初めて女性も活躍できるのかなと思います。女性が家事をするのが前提の社会構造が好ましくないと思いますね。

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(10) セーフィー株式会社様

セーフィー株式会社 代表取締役社長 佐渡島 隆平 氏

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第十弾は、「映像から未来をつくる」というビジョンのもと、防犯カメラ・監視カメラのクラウドサービスを通じて、映像配信はもちろん、映像からデータを取得することで、交通渋滞予測や来店分析といった「AI×映像データ活用」という未来をつくろうとしている、セーフィー株式会社様です。

2020年1月16日、西五反田の日幸五反田ビル6階にあるセーフィー株式会社様におじゃまして、代表取締役社長の佐渡島隆平様にお話をうかがいました。

セーフィー株式会社 代表取締役社長 佐渡島 隆平 氏

映像で、一人ひとりの未来が変わる!

ーーさっそくですが、佐渡島さん、セーフィーとは、どんな会社なのでしょうか?

「映像から未来をつくる。」というビジョンのもと、防犯カメラなどの映像をプラットフォーム化し、防犯のみならず、大量の動画データを活用して、マーケティング、業務のオペレーション、街の都市効率化といったことに、幅広く活用できるサービスを運営している会社です。映像から未来をつくるというのは、映像を活用して、一人ひとりの生活が良くなるように、例えば五反田駅で今、電車が止まっているということであれば、ここで一杯お茶を飲んで行こうとか、自分の未来というのが映像を介して、どんどん開けてわかってくるので、それを一人ひとりの意思決定に役立つような形で提供していく、ということです。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。セーフィーが重視するグローバルな課題とは?

特に日本では、人手不足の問題というのがあります。皆さん、労働効率を上げて、働き方を良くして、自分らしい生活ができるように、という願いがあると思います。従来は、すべてのものごとはそこの場所に行かなければ解決できませんでしたが、映像で事前に見てチェックしたり、映像から自動的に指示が出て、自分が見えない世界を簡単に解決できるというところで、人の今までしきれなかったことができるようにというところが、弊社が解決しようとしている、いちばん大きな課題です。

働き方改革、街の安心安全など、社会課題をテクノロジーで解決目指す

ーーそういった社会課題に挑戦するセーフィーの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

弊社のクラウドサービスは、大手飲食チェーン、アパレルチェーン、建設会社など、様々な企業にカメラが7万台以上、流通しているサービスです。その中でも、わかりやすい事例を挙げると、五反田にもあるのですが、焼き肉ライクという、一人で焼き肉が楽しめるお店があります。そういうお店で、従業員が注文を受けてから3分以内にお肉を出すことで、このビジネスがスケーラブルなビジネスになっていると考えていらっしゃるので、それを3分以内にお客様にちゃんとお届けできているのかというのを、本社でスーパーバイザーなど様々な方が映像で確認して、その店の教育をもっと上げていく、お客様サービスのレベルを上げていく、そういったことに活用されています。

建設現場の事例では、今、大阪で建設中のビルで、現在の進捗状況を瞬時に確認して、しっかりとその工程ができているかというエビデンスを取っていくのに動画を活用しています。例えば4月から6月の状況、7月の状況と、ビルがどんどん建っていくにつれて外から中が見えなくなってくるのを、動画を活用することで、エビデンスとして保証していくのです。いろいろなカメラがありますので、従来は広い現場をトランシーバを使って声でしか管理できなかったのが、映像と声のセットで管理できるものや、映像を使って入退場を管理できるものなど、いろいろなものを、映像を核にしたイノベーションをベースに取り扱っています。

セーフィー株式会社の受付

ーー対象は企業ですか?

個人のお客様にカメラを買っていただくケースもあります。前述の入退場を管理するものはオフィスで使われるケースが多いですが、最近はカメラを置いておくと自動的に顔認証して、この方はここに何回目の来訪ですよ、というのを自動的に教えてくれるサービスもあります。例えば、車を買いに来るお客様であれば、一回目は試乗してみよう、二回目は気に入ったからもう一回行こう、ということで、一回目よりも二回目の方が購買確率が上がるので、二回目の方に対して、より購入の意志を促進できるようなセールストークをしていくとか、そういったアプリケーションとして応用していくことができるようになってきています。

今までそういうVIPのお客様の情報というのは、特定の店長さんが昔からいたから知っているというような世界だったのが、こういうツールを使うことによって、以前どういう購買をされたのかとか、どういう方なのかというのを、簡単に見直すことができるようになっています。

映像を使えば、世の中のありとあらゆることがわかり、それが皆さんの意思決定をどんどん良くしていけるという、そこがポイントです。

ーーすばらしい!地域や自治体等で活用されるケースもありますか?

先日の台風の時も、街で川が氾濫するなど、そういったことがありましたが、例えば、こういう河川のカメラを弊社のサービスを使ってYouTubeにつなぎ配信したり、そういったこともやっています。もし川が溢れそうになってきたら、逃げるか逃げないかもわからないという、そんな世界があると思うので、「まず自分たちでYouTubeで見てください」というように役所のホームページに載せるなどしないと、広範囲な河川氾濫みたいな世界だとわからないですし、そういったものをさらに、AI分析により事前に通知していくというのも、今後、弊社がやっていかないといけないポイントだと思います。

クラウドサービスで、コストを押さえて、常に最先端の映像技術を

ーーセーフィーのサービスが他社と比較して突出しているのは、どのような点でしょうか?

すべての映像をクラウドで管理できることです。従来の防犯カメラは、カメラを買った時が最新、最先端という状況でしたが、クラウドの良さというのは、買った時からどんどん賢くなっていくということなのです。弊社は今、シェアNo.1になっていて、NTT、セコム、キヤノン、大手のいわゆる防犯カメラを販売している会社のクラウドシステムは当社がOEM提供していることが増えましたので、あらゆるところから買っていただいても弊社のプラットフォームにつながる可能性が高くなってきたというのが特徴です。

クラウドでの映像を活用していけるように、業界全体を大手のみなさんと一緒につくっていく取り組みをおこなっており、協調して投資していくことでさらなるアプリケーションの拡大が見込まれています。

ーー今後、どういうところを目指していくのでしょう?

先ほど事例として挙げた飲食店の業界では、QSCA=Quality(クオリティー) Service(サービス)Cleanliness(クレンリネス)Atmosphere (アトモスファー)という多くの企業が採用している経営指針を、すべて数字で管理していこうという傾向があります。例えば、何歩歩いたら社員が辞めてしまうか、交差しているオペレーションがあって「ごめんなさい」と何回言っているか、とか。前述の焼き肉ライクなど、伸びている飲食チェーンは、皆そういう定数管理化で、かつそれをリアルタイムで、という方向に、どんどんなってきているのですね。リアルタイムでないと、起きた後にしか改善できず、結局意味がなくなってしまうので、どんどんそれをリアルタイムにしていきたい、それによって働き方を良くしていきたいというのが社会のニーズだと思うので、それを弊社が映像を核にして支援していくというのをやっているところです。

同じような企業と共同で使えるパッケージという特徴を活かし、さらにAIで需給分析などもできるようになっています。日々の来店人数がわかると、今日の天気がこうで、去年のデータがこうで、来店人数がこうなので、と需給を分析できますが、それを今までは過去データからしかできなかったので、今日の、明日の、未来の、となると、まさにこの瞬間を見ないといけないので、映像を活用しない手はないという方向に、今どんどん社会がなりつつあるので、業界全体のルール作りが必要となってきていると考えており、大手と連携しながら、先陣をきって切り開いて、社会で求められる責任を果たしていきたいと考えています。

映像を活用してAIが人の仕事をアシスト

今後AIが社会を変えていくというのが非常に現実的になってきていると弊社は考えていて、AIを活用したあらゆるサービスを提供していこうとしています。例えば、飲食のチェーン店にたくさんのカメラが入っていると、その業務を店側が見るだけではなく、お客様が、今どこのお店が空いているのか知りたい時に、そういったことをAIで、今空いているお店はここですよというのを教えてもらえるとか、例えば、よくある状況かと思いますが、レジに人がたくさん並んでいるのに、他のパートの方はわからないのでずっと荷物の整理をしていて、「何番レジお願いします!」と言わないと来てくれないとか、そういった場面で、AIによって全自動で管理ができるとスムーズに行くと思うのです。パートの人の仕事をなくすのではなく、逆にアシストしてあげることで、より人間的な接客などに従事できたり、空いている時間に棚を整理できたり、そういった、今まで勘と経験でやってきたことが、カメラという第3、第4の目によってAIと連携していくことで、社会課題をどんどん解決できるということがポイントです。

セーフィー株式会社 代表取締役社長 佐渡島 隆平 氏

ーーセーフィーの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

弊社のカルチャーの中に、「異才一体」という言葉があります。要するに、人は皆でこぼこです。多様な価値観を認め合って、異なる才能が一体になることで、一人ではできない大きな成果を生み出します、ということです。突出した才能がある人のアイデアを認め、周りが助けて一気にそれを成長させていこう、ということです。ソフトウェア産業では、一人のアイデアや夢が世界を変えていくということが、かなり現実的にあり得ます。そういった人たちが生き生きと働けるような環境を用意して、異才の人が、それぞれがバラバラではなく、皆が一体となるチームになってこそ、大きな成果が生み出せるという、そういうカルチャーを作って、皆がユニークなアイデアをどんどん出して行けるような会社にしています。

「好き」を追究、アイデアが世界を変える

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

まさに世界がフラット化して、かつ一つのアイデアをインターネットを介して自分から発信して、形にしていったり、チームを作ったり、ということが、非常に簡単にできる世の中になってきていると思います。自分がこれが好きだと思うことを徹底的に追究して、そういう才能は皆それぞれあると思うので、その才能を徹底的に磨いておくことが、とてもだいじなことだと思いますし、それを活かし合う組織やチームに自分たちが選んで所属することができると思うので、そういった人を見つけ合っていくこと、コミュニティを自分の中で持っていくということが、若い人たちにとっては非常に大切なのではないかと思います。

私自身の経験から言いますと、ここ品川区に以前は本社があったソニーグループの出身で、弊社は最初、ソニーグループ出身者だけで創業しました。日本の旧来の価値観では横並びの考え方というのが主流でしたが、ソニーという会社は、「自由闊達にして愉快なる理想工場」という中で、個性から生まれる面白さをだいじにして新しいプロダクトを世界に発信していくことを、まさにやっていた会社です。そこで長く育ったので、そういう価値観が身につきました。それ以前の若い頃も、自分で起業した経験もあります。新しいアイデアがあったらどんどん試してやってみるということで、学校や家族といったコミュニティだけでなく、インターネットを通じて、いろいろな人と幅広くコミュニケーションしながら、いろいろな活動をしてきたかなと思います。若い人は、自身の才能を生かす為にも、インターネットを通じたコミュニティを活用していくと、自分の未来を切り開いていけるのではないかと考えています。

セーフィー株式会社 代表取締役社長 佐渡島 隆平 氏と、鈴木 章子 氏(広報担当)

新しい息吹が集まる「五反田バレー」

ーーセーフィーをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

五反田の魅力は、住むこと、働くこと、遊ぶこと、飲みに行くとか(飲みニケーションを含めて)がすごく一体になっていて、そこに新しい息吹のある会社が集まってきていることだと思います。会社の枠を越えて、プライベートを含めて皆で飲みに行ったりできるような環境が魅力的ですし、しかもそれが、住んでいるところと近いところにギュッと詰まっているというのがいちばんの魅力かと思います。

弊社も理事企業になっている一般社団法人 五反田バレーを通じて、五反田のいわゆる若い会社の中で採用活動を一緒にやっていくとか、五反田を盛り上げるための区のイベントに一緒に共催して出てお話するとか、そういったことは積極的に取り組んでいます。

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(9) 株式会社マツリカ様

株式会社マツリカ 代表取締役Co-CEO 黒佐 英司 氏

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第九弾は、「世界を祭り化する。」をミッションに、 クラウド営業支援ツール「Senses」を運営する、株式会社マツリカ様です。

2020年1月14日、東五反田の五反田第三花谷ビル9階にある株式会社マツリカ様におじゃまして、代表取締役Co-CEOの黒佐英司様にお話をうかがいました。

株式会社マツリカ 代表取締役Co-CEO 黒佐 英司 氏

ーー黒佐さんは、一般社団法人 五反田バレーの代表理事でもあるので、そのお話をうかがうのも楽しみです!

営業支援ツールで「仕事自体の価値」、働き方を変える

ーーさっそくですが、黒佐さん、マツリカとは、どんな会社なのでしょうか?

弊社のミッションは「世界を祭り化する」です。「祭り化する」というのが造語なので、まず簡単に説明すると、人が何かに没頭したり熱中したりしている瞬間、スポーツで言うと「ゾーンに入る」、あれのもう少し時間軸が長いイメージです。「世界を祭り化する」というミッションをもとに、営業組織に対してSFAやCRMと呼ばれる営業支援ツールを提供しています。それがミッションからどうつながったのか。「祭り」という言葉がついているので、エンタメ事業やBtoCの事業かと思われがちなのですが、弊社はBtoB、法人向けにフォーカスしています。「人が祭り化する」ということを考えた時に、社会人って圧倒的に仕事に使う時間が長いのですよね。その時間をないがしろにして、それ以外の部分だけを祭り化していくのは難しいだろうなというのがあり、仕事自体の価値を変えていく、働き方を変えていく、というところから、BtoBの営業支援につながりました。営業って属人化しやすかったり、本来はクリエイティブで楽しい仕事のはずなのに、どうしても数字に追われて厳しい、苦しいというイメージがあったりするので、そこを変革していきたいという思いで、この事業をやっています。

株式会社マツリカのミッション「世界を祭り化する」

自由な風土・文化を支えるバリュー

組織に関しては、「マツリカってどんな会社?」と問われた時に、「すごく自由な会社です」と、中の人も外の人も言います。働く場所・時間や、裁量も含めて、非常に自由な風土・文化です。もちろん会社なので、労務管理など法律に関わるところはしっかりしていますが、業務を進める上での管理というのは一切ありません。その自由な風土・文化をどうやって支えているかというと、「Initiative」「Liberty」「Creativity」という3つのバリューを、マツリカではとてもだいじにしています。この3つのバリューだけは、共通の価値観として約束して、各々が責任を持ち、自由な裁量で働いています。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。マツリカが重視するグローバルな課題とは?

事業やミッションに直接つながるのは、「働きがいも経済成長も」ですね。「ジェンダー」とか、「平等」も関係します。働き方を改革しつつ、企業側の価値観も変えないと、制度ばかり先行しても、それらの課題の解決は、なかなか実現しません。そのあたりが、弊社の事業に直接つながる課題だと思います。

営業の現場、より豊かに、より楽しく、やりがいを

ーーそういった社会課題に挑戦するマツリカの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

SFA、CRMというのは、営業管理ツールとか、顧客管理システムとか呼ばれるのですが、基本的に会社SFA・CRMというのは、営業管理ツールや、顧客管理システムと呼ばれますが、基本的には会社の顧客データベース、売上、商品などを一括で管理するものです。SFA・CRMの業界は古く、20年以上前からある程度の市場も存在していた中で、弊社はだいぶ後発で入っていきました。「管理」という言葉が示唆するように、基本的には管理者に価値が届くツールなので、少し極端な言い方をすると、実は現場を無視したツールになってしまっていました。現場というのは、いわゆる営業パーソンですね。従来のSFA・CRMでは、営業パーソンが日々どういう行動をしているか、お客様にどんな話をしているか、という記録を情報として残すことで、管理側は組織として何が行われているかを把握できるということなのですが、実際に入力する現場の人からすると、「入力させられている、面倒だ」と感じたり、どう自分たちの役に立つのかというメリットを感じづらい、ということで、結局、運用に乗らない、入力されない、という問題が起きていました。もともと営業は属人化しやすく、個人商店になりがちな職種です。そうなると組織としてサステナブルでないので、知識や情報の蓄積が個人に留まらないように、管理ツールが必要となりますが、それが管理者側の意志だけで成り立ってしまうのではなく、現場にいる個人もちゃんと使いたい、自分たちにメリットがある、と思って使ってもらえることが非常に重要です。そこで、現場の営業パーソンにとっても、自分たちの営業活動をより豊かにするために、より楽しく、やりがいを持って使えるSFA・CRM、というところにフォーカスしているのが、弊社のプロダクトです。

弊社のプロダクトの強みは、主に2つあります。「使いやすい」ところと、「現場にメリットがあり使いたいと思う」ところです。

まず、使いやすさについては、UI、UXに非常に拘りを持って作っています。例えば、他社のツールで3クリック、4クリック必要な動作が、弊社の「Senses」では1クリックで済みますよ、というようなことが、あらゆる機能で実現されています。

次に、現場にメリットがあり使いたいと思う、というところですが、従来のツールには欠けていたその視点を、弊社ではとても大事にしています。現場目線の開発を重要視しており、それがいろいろな機能にあらわれています。例えば、営業の人が活動の先に求めているものは、ほとんどの場合、受注成約です。なので、受注成約に向けて、何かヒントを得られるとか、そこに近づける材料が得られるのならば、喜んでもらえるはず。弊社のプロダクトでは、それを機能化しています。もう少し具体的に言うと、例えばある会社、ある人に提案しに行く時に、どういう提案を持っていったら受注に近づけるか、自分で考えるには限界がありますし、属人的になっている今までの自分の知識・経験だと、必ずしも充分ではなかったりする。なので、過去の事例やデータをAIで解析して、このお客様の、この局面では、こういう提案書を持っていったらいいのではないかというヒントを出してくれる機能があります。そういう機能を使うことで、「あ、こうすればいいんだ」とか、考えが及ばなかったところまで気づきを得られて、営業活動に活かせて、結果的に受注率が上がる、というところにつなげていくのが狙いです。

「何を解析するか」がだいじ

AIについて近年よく言われていますが、マシンラーニング、ディープラーニングなどと、いろいろなAI技術を使うことや、その技術の高さや精度よりも、実は、何を解析するかがだいじです。つまり、重要なのはデータです。そのデータの残し方に、弊社の強みがあります。SFA・CRMが世の中に出始めたのは約20年前ですが、当時は今で言うクラウド・サーバ、AWS、GoogleのGCP、MicrosoftのAzureなどはありませんでした。クラウド・サーバがなく、サーバ代に非常にコストがかかっていたので、そもそも大量のデータを残して解析に使いましょうという発想がありませんでした。だから、その当時に作られたSFAのデータ・テーブルの設計は、すごく浅いものになっています。弊社は後発で、2015年に設立しているので、今の時代、これからの時代に合ったデータ・テーブルの設計ができています。ですから、同じように使ったつもりでも、溜まっていくデータの整理のされ方や、溜まるデータの量などに、圧倒的に差が出てきます。データの溜め方、整理のされ方は、データ解析においては非常に重要ですし、弊社が他社と差別化できるところかと思います。

弊社のプロダクトを使うと、データがあらゆる軸で非常にきれいに整理されます。すべての業種・業界がお客様です。業種も規模も設立年数も幅が広く、使い所によっていろいろですが、例えば、いわゆるスタートアップ企業、ベンチャー企業のようなな若い会社だとすると、最初は数人で始まりますよね。それが10人、20人になって、100人になって、500人になってと、成長していく中で、例えば営業が最初は2人いて月に4件の受注が出ていたとします。それが5倍の10人になると、受注も5倍の20件になるかというと、そうはいきません。生産性は落ちてくるのです。当然オペレーションを含まないといけないとか、いろいろ非効率な部分が出てくるからです。なので、生産性を落とさないように、2人ぐらいの時期で導入してオペレーションを確立したり、新しく3人目、4人目が入って来た時に、このSensesというツールが仕事の土台になっていれば、マンツーマンで手取り足取り教えなくてもSensesを見ると、こうやって進めていけばいいとか、この時にこういう提案書を送ればいいとか、全部蓄積されていて、自動的に教育してくれるようなシステムになっています。そういう意味で言うと、成長しても生産性が落ちない働き方、組織が作れる事例はたくさんあります。

他方では、設立50年以上の伝統ある会社が導入するケースもあります。昨今の働き方改革などで、ペーパーレスや生産性を高めようという意識で、今まで本当に属人的にやっていたものを、デジタルの力を使って何か改革しようという流れが来ている中で、従来の業務に非効率な面は少なくないので、導入した瞬間に効果が出るパターンも大いにあります。例えば、会議の頻度や時間が半分になるとか、報告業務や連絡業務が大幅に短縮されるとか、そういう効果は導入した瞬間に得られます。

劇的に変わる、営業の仕事

ーー未来の営業、どうなるでしょうか?

ある面では、すでに変わっていると思っています。10〜20年前まで、営業の仕事はほぼ情報屋でした。情報を与えることが勝ちでした。ですが、インターネット1.0から2.0の時代になって、誰でも平等に全世界の情報にアクセスできるようになった今、もう営業は情報の出し入れで勝負できなくなりました。昔は、然るべきタイミングで相手が欲しい情報を与えるということが勝ち負けを決めていましたが、今は本質的なソリューション営業が非常に求められています。「これが欲しいです」「ではこういう商品があります」というのは、世の中の情報を見ればわかるから必要ないんです。「これが欲しいです」の裏にある、なぜこれが欲しいのか、本当に欲しいものはこれで合っているのか、というところを掘り下げて、本質的な課題を見つけて、そこに対して提案をするという営業ができなければいけない時代になっています。これからもその流れがどんどん続いていくと思っています。

一方で、営業の数は減ると思います。ある程度の部分がマーケティングという領域でまかなえるようになったためです。昔は営業が情報屋となり、マーケティングの一部を担っていましたが、今はここをデジタルでかなりできるようになったので、営業の数は減るけど、質を上げなければいけない時代にますますなっていきます。

株式会社マツリカ 代表取締役Co-CEO 黒佐 英司 氏

「Liberty」と「Creativity」からイノベーションが生まれる

ーーマツリカの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

イノベーティブってすごく難しいのですが、ある日突然すごいアイデアが浮かんでくることってあまりなくて、ほとんどの場合、自身の知識経験と、その組合せによって生み出されるものです。ただ、アイデアに対する議論が交わしやすいとか、アイデアを出しやすい風土みたいなものを作るところで言うと、弊社には「Liberty」というバリューがあります。自由な発想、自由な環境、自由な方法で、誰に対しても胸を張って正しいと言える行動をしよう、という約束です。各自が責任をもち自由に行動することを大事にしているため、発言をする、アイデアを出す、というところにも、障壁がないようにはできていると思います。また、日々コツコツ積み上げることもだいじですが、「もっとこうしたら速くできるよね」という発想を忘れないことも重要です。常に今の目線ではなく、広い目線で考えて、創造性を発揮して行動しようというのが「Creativity」というバリューです。このLibertyとCreativityで、発言しやすく、かつそのアイデアも、今の目線に留まらずより中長期の目線で考え発信しようという風土が作れていると思います。

人生の本質的な意義

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

日本の新卒採用は特殊で、私個人としては今の一括採用のようなもの自体には意味がないと思っています。学生の時に業界研究、会社研究をして、その会社や業界の本質が見えるかと言うと、そんなことはありません。実際にやってみないとわからないことがたくさんありますし、もはや転職ありきだと思うのです。終身雇用なんてとっくの昔になくなっていますし、それは大企業でも中小企業でも関係なく、会社がいつどうなるかなんてわからないものです。だから、新卒でどこの会社に入るかという選択よりも、人生の本質的な意義を見つけてほしいと思います。自分が「何のために生きているか」「何に喜びを感じるか」など、自分自身の人生の本質的な意義を見つけることがずっと重要だと思います。これが学生の時にできると、もしかしたら就職ではない別の道があるかもしれないですし、起業でも、就職でもNPOなどに行くでも、何でもいいのですが、選択がもっとはっきりすると思うのです。人生の意義が見つかると、何のためにどういう行動をするが紐づいてきます。難しいことですが、学生の時にそれを見つけ、自分を見つめ直して、どうしてその道へ行きたいのかを決めることができれば、とても良いと思います。

株式会社マツリカの受付

「五反田=スタートアップ」

ーーマツリカをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

五反田に限りませんが、スタートアップが集まってくる場所や、コミュニティの存在は必要だと思います。それが五反田になった理由は、もともとは家賃が安かったこと。スタートアップは最初は渋谷などに集まることが多かったのですが、渋谷はどんどん家賃が上がり、入れるところもなくなって、次に山手線で言うと恵比寿になり、恵比寿も結構もう高いし、いっぱいだし、目黒へ行くと、空いているのですが、まあまあ高いのです。五反田に行くとぐっと下がる、ということで山手線をずっと移動してきたようなスタートアップの歴史があるのです。今では五反田も家賃が上がっていて、目黒などとそんなに変わらない。一般社団法人五反田バレーを設立して、スタートアップも増えてきて、上がってしまいました(笑)

もともと自然に集まっていた理由はなくなっているかなと思いますが、今は「五反田=スタートアップ」みたいになりつつあるおかげで、スタートアップが五反田に集まりやすくなっています。一般社団法人 五反田バレーが品川区と協定を結び、地域と一緒にスタートアップを支援していくような枠組みができているというのも、非常に意義のある良いことだと思っています。具体的に何かと言うと、やはり新しいものを始めるには、いろいろなハードルがあります。スタートアップは即ち、イノベーティブな、世の中に新しい価値を提供して課題解決をしていくことなので、いろいろなハードルがあるのですが、例えば採用でたくさん人が必要だとか、あるいはお金が必要だとかいう時に、一社だけでやるには限界があるし、無駄も多いです。集まった組織で、例えば採用イベントなどをすると、「五反田のスタートアップに行こう」ということで、かなり多くの人数を集められたりします。

お金に関しても、銀行とかベンチャーキャピタルとか一社ごとにあたっていくのは大変ですが、まとまっていると、その銀行やVCに合った会社はこれとこれですよ、みたいにピックアップできるので、かなり非効率が解消されたりします。また、シリコンバレーの例でいくと、地域住民の理解がすごく高いのです。これは何かというと、新しいサービスを何か始める時、日本だと法規制などがあって難しいのですが、例えばシリコンバレーなどだと、かなり前から自動運転車の試験運転がいろいろなところで行われていて、法規制もそうですし、地域住民の反対があったら絶対できないですよね。人が移動する時の電動スクーター、BirdやLimeのような、電動走行で好きなように乗って好きなところでポイ捨てしてみたいなものも、やはり日本でやると、法規制だけではなくて、地域住民の反対などすごいと思うのですが、あるエリアに特化して、区の支援もいただきながらだと、地域住民の理解も得やすくなります。新しいサービスなどを展開していく時に試験は絶対に必要なので、そこのハードルを取り除くという意味で、どこかに特化しているというのはすごく重要なのかなと思います。

一般社団法人 五反田バレーのメンバーは、基本的にはスタートアップですが、正会員だけではなく賛助会員もあります。なので、特にスタートアップでないと会員になれないということはありません。本来はスタートアップが世の中の社会課題をより解決しやすくするとか、成長しやすくするとかを目的として作られた団体になります。

品川区との連携を活かして

弊社はBtoB事業なので、地域住民との接点は多くはありませんが、それを必要とする企業はたくさんいますし、品川区との連携を活かして、もっと地域住民と一緒に街を作っていくようなことをやれたら面白いなと思います。例えば、コワーキングオフィスのようなものが、ここ数年で日本に広がり、五反田にも「Innovation Space DEJIMA」などがあります。でも、もう数年前からシリコンバレーなどだと、コワーキングでなくコセリングオフィスみたいなのが流行っています。何かというと、たまたま一緒にコワーキングスペースを借り合って仕事をするだけではなく、お互いにプロダクトを紹介し合う、売り合うようなスペースなのです。お互いの成長のためにお互いのサービスを使ったり、購買したりするんですが、五反田だからこそそれができると思います。最初の数人で始めて、どことも何のつながりもないのではなく、始めた瞬間から試験導入してもらったり、アドバイスやフィードバックをもらったりという土壌が、五反田で作れるといいと思います。

資金流入も、だいぶ増えましたが、まだまだこれからだと思います。これまでのVCには金融畑の人が多く、アントレプレナーシップを持っている人、事業をゼロイチで立ち上げた人が、ほとんどいませんでした。起業家たちが新しくどういう未来を作ろうとしているのか、理解するのはただでさえ難しいのに、経験がないと一層ハードルが高いと思います。アメリカの場合、起業して、売却やIPOをして、その後、投資家側に回るということが、だいぶ前から起きているので、結構エコサイクルができていますが、日本では、ようやく最近、エグジットしてそれなりに富を形成してそのお金でエンジェル投資をするというのが始まってきたので、もう少し増えてエコサイクルができていくと、もっとレベルが上ってくると思っています。

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

企業インタビュー(8) アスプローバ株式会社様

アスプローバ株式会社取締役社長田中 智宏 氏

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第八弾は、ひと・モノ・資源をつなぐ生産スケジューラで、「計画通りに、無駄なく、効率よく」という現場のニーズに応える、アスプローバ株式会社様です。

2019年11月7日、西五反田のKDX五反田ビル3階にあるアスプローバ株式会社様におじゃまして、取締役社長の田中智宏様にお話をうかがいました。今回は「次世代レポーター」として立正大学品川キャンパスの大学院生、そして撮影スタッフとして関東学院大学人間共生学部の学生も取材に参加しました!

アスプローバ株式会社 取締役社長 田中 智宏

世界の工場に、計画をすばやく立てる生産スケジューラを

ーーさっそくですが、田中さん、アスプローバとは、どんな会社なのでしょうか?

弊社は1994年創業、以来25年間、世界の工場向けの汎用生産スケジューラというソフトウェアの研究・開発・販売に特化してきました。一般の方には、生産スケジューラは馴染みがないと思います。例えば、あるメーカーが工場で原料から削ったり、組み立てたり、塗装したりという工程を経てものを作るとします。それには削る機械、組み立てる機械、塗装する機械や、それらを準備する人などが要るのですが、そのために、今日何時何分何秒からどれだけものを作りますよ、という計画を、秒単位で全部きれいに立てます。そうすると、その人は今日何時何分何秒から何をすればいい、次に何をすればいい、そしてその今日3時に来るものは、前の工程が1時に終わっているからとか、そういうのを全部見られるようなガントチャートというのがあります。要は、生産スケジューラとは、計画をすばやく立てて見える化するソフトウェアです。工場の未来がわかるので、来月の頭までにこの部品を何個用意しておかなければいけないのだなというのがわかって発注をかけることができます。

注文は突然キャンセルになったり、人は突然休んだり、機械は突然トラブルで故障したりするのですが、それを見込んだ計画を立てたり、素早く計画を立て直したりすることもできます。あるいは、例えば半導体の工場などでは、何億円もする機械を入れるべきか入れざるべきかシミュレーションしてみて決めたりもします。

生産スケジューリングは非常に難しい問題で、最近、話題の「組合せ最適化」の現実問題です。これをコンピュータで解くことを面白いと思える人たちが世界中から集まってきて、プログラムを書いて開発をしています。工場の人たちは最適でなくとも少しでも現実的な生産計画を手早く作りたいが、それが結構難しいという切実な悩みを持っています。難しくてどうしていいかわからない、簡単に解決することができない問題に対して、私たちは少しでもお客様の困っていること、悩んでいることを解決し、貢献できるように、皆が協力して、誰も思いついたことがないようなアイデアを出し合い、世界に驚きをもたらせるような、そういう仕事をしていきたいと思っています。

しかし、生産スケジューリング問題は一朝一夕で解決できる問題ではなく、25年やってきてまだ全然解決していません。それでも一定のお客様から、これで工場がうまく回るようになりましたとか、改善しましたとか、喜びの声をいただくようになったのですが、今度はこのソフトウェアを理解したり、使いこなしたり、運用したり、そういうところがどんどん難しくなっているという問題が如実に出てきました。昔よりも工場の中が複雑になったり、工場の規模が大きくなったりして、問題自体も難しくなっていくので、まだまだ取り組まないといけない課題がたくさんあります。では今後どうしていったらいいのかというと、問題が難しいが故にソフトウェア自体も難しいという雰囲気があるので、それを難しいままにしておくのではなく、ユーザーに少しでもストレスなく、業務に専念していただく必要があります。お客様がほしいのは生産スケジューラそのものではなく、最適な計画です。最適でなくても現実的でも良いかもしれない。それを元に先手を打てるようになり、「工場が主体的に生産に専念できること」が重要です。それが本来のあるべき姿なのだと思います。そのためには、より最適に近い計画を素早く出力できるソフトウェアをこの先、開発していきたいのです。そして、ソフトウェア自体をどれだけ高性能にするかだけを意識するのではなく、すべては人の幸せのために、そのような仕事をするのだという意識を持ち続けたいと思っています。

2018年4月、第7回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞受賞

ものづくりが生活や人生を左右する

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。アスプローバが重視するグローバルな課題とは?

人類が地球上に現れてから、700万年が経っていると言われていますが、その間に、いろいろな革命が次々と起きました。途中、火を扱う方法を覚えたり、狩猟から農耕へ移っていったりというのがあったのですが、産業革命、情報革命と、加速度的に世の中が変化して、環境問題などは、人類の700万年の歴史からすると、最近の話だと思います。そんな時代に私たちがいるのですが、人間がいろいろな革命を経て身につけてきた知識やノウハウというのは、不可逆的に進化していくものだと思うのです。今から急に農耕の時代に戻ることは考えづらい。ですから、やはり産業革命や情報革命が起きて以降、ものづくりが人間の生活や人生に大きく影響している、そういう世の中に変わってきています。昔はものづくりがそこまで発達していなかったので、日々の生活の中でテクノロジーに触れることは少なかったのですが、今はほとんどの人が朝起きてから24時間ずっと、ものと接し、ものを使う、そういう世の中になって、どんどん新しいものができています。いわば、ものづくりで人生が左右される、そういうことが今後もずっと起き続けると思うのです。

ものづくりのマイナス面で、工場から出る二酸化炭素や有害物質などで大気汚染や環境汚染の問題が出てきて、SDGsのような持続可能な改善をしていかないと、この数十年の劇的な変化に耐えられないと思うのです。ものづくりは今後も私たちの重大なテーマだと思います。工場は、日本だけではなく、中国も東南アジアにもインドにもヨーロッパにもアメリカにもありますが、皆、組み合わせ最適化の問題には苛まれていて、工場の中をいかに効率よく動かしていくかというところは、実は今のコンピュータでも容易に解決できなくて、そこに手間暇を取られたり、無駄が発生したりしています。本当はもっと環境や未来のことを考えるのに時間を費やした方がいいと思うのですが、それよりも今日どうする、明日どうする、来週どうするという問題が難しいが故に、人が煩わされています。私たちは生産スケジューラを作っているわけで、より効率の良い計画によって、工場のパフォーマンスがよくなり、無駄な資源、ゴミ、二酸化炭素排出量が減る、無駄な電気量を使わなくてすむ、ということで未来の工場の問題の解決に貢献できるかもしれません。

いちばん切実な問題は、無駄にものを作りすぎてしまうことかもしれません。人の頭で計画すると、どんぶり勘定で無駄にものを作りすぎて、売り逃しをしてしまうと、世の中に出ることなくそれを廃棄しなければいけなくなります。誰にとってもハッピーなことではないので、まず未来の計画を、より効率よく、しかも無駄なく、工場の生産活動を改善することによって、間接的に環境面にも良い影響が出るのではないかと思います。

その他、効率よくものづくりをする上で、例えば残業を少なくしたり、無駄に人を多く費やしてしまうところを削減したり、最近は「働き方改革」という言葉を日本でよく耳にしますが、無理のない計画を作ってあげることが、国内だけでなく海外からも最近は求められています。無理のない計画は、人にとって働く環境の改善にもつながるのかなと思います。

未来を計画して、関係者すべてをハッピーに

ーーそういった社会課題に挑戦するアスプローバの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

やはり直接的にハッピーになるのは、工場の人たち。工場では、注文を受けて生産していくのですが、注文についてくる納期がバラバラだったりします。工場としては極力、お客様の希望する納期通りに出荷してあげたい、という気持ちがあるのですが、設備の数、作業員の数や能力は有限なので、やはりそこで効率性が求められてしまいます。ではどうすればすべてのお客様に対して、希望する納期に間に合うように、生産して出荷できるかというところに、すごく頭を使わなければできないし、使ったとしても解決できないほど難しい問題です。これをコンピュータ上で解決のお手伝いをしてあげますよ、というのが、アスプローバの生産スケジューラなのです。

生産スケジューラの効果的な活用のわかりやすい解説書『Asprova 解体新書-生産スケジューラ使いこなし再入門-』

ーーどういった業種で、導入されているのですか?

業種は問わないというのが当初から思想としてありました。25年ほど前、まだ生産スケジューラというのが確立していない時は、お客様のために何億円で生産スケジューラを作ってあげる、といった市場だったのですが、弊社の製品は、お客様や業種を問わず、パッケージとしての低価格な汎用生産スケジューラという方針のもとに、ずっと販売し続けてきました。ですから、自動車部品や電子部品といったディスクリート製造でも、化学薬品などのプロセス製造でも、全部扱えるような、そういう設計なので、最初からわりとまんべんなく、業種を限定することなく、お客様に使ってもらえてきました。現在も、特定の業種を念頭に置くことはしていません。

工場というのは基本的に、原料を用意して、工程を経て、出荷されていくものなので、極力、問題を一般化し、本質まで落とし込んで考えることによって、究極的なモデルというのを作って、それに基づいたソフトウェアを提供することにしています。

地域ごとに特徴ある世界の工場

ーーアスプローバの生産スケジューラは、グローバルに使われていますね。

日本の製造業は、世界的に見てかなり突出した、ユニークな存在だと思います。現場の人たちの、改善に対する意識や、仕事に対する意識が高い。日本人は基本的に真面目で勤勉なので、指示や課題に対し、とても一生懸命に取り組むのです。ともすると自分の時間を犠牲にしてでも、うまく行かないことがあれば、それに対する改善を自らしていき、「それは上の人の問題だ」とか、他人ごとではなく自分ごとと捉えて、現場の人たちが解決していく、そういう力が非常に強いです。海外にも、そういう人たちもいますが、日本のようには行かないかなと思います。

先々週、ドイツのフランクフルトに行って、ヨーロッパとアメリカのお客様の、ユーザー会というのに参加してきたのですが、いろいろな国から集まっていただき、アスプローバに対する成果の発表や、アスプローバに対する要望や意見を言ってもらう場がありました。やはりアスプローバの生産スケジューラを、皆さん素晴らしいと言ってくださるのですね。ただ、ここまでの機能は、そんなに要らないよ、みたいな、そういう声を何人かから聞きました。日本は例えば電車が2分遅れたぐらいで謝罪や告知が出たりするような国ですが、ヨーロッパはそうではなくて、そこまで細かな制約や要求はありません。アスプローバの機能は使い切れないと言うのです。欧米の人たちは、自分たちの時間をだいじにして、定時になったらきちんと帰るし、ここからここまでは自分の役割、ここからは他人の仕事、という切り分けが日本よりもきっちりしています。どちらが良い悪いではないですが、日本は、自分たちで何とかしようという習慣の結果、労働時間が長くなってしまったり、仕事に対する独特のプレッシャーみたいなものが出てきてしまうのかもしれません。ヨーロッパの人たちにとって、いちばんだいじなのは、自分自身、自分の時間、周りの人たちとの関係。そういう視点に立った仕事のしかたなので、スケジューラに対する要求も少し違うかなと思います。

ーーアジアの国々では、どうでしょうか?

中国、東南アジア、インドに関しては、それぞれで違う背景があると思います。中国は、世界中から企業が集まって工場を作りました。今は、メイド・イン・チャイナの品質がかなり上がって、人件費も上がっていますが、工場のレベルがすごく高くなっているなと感じます。それに応じて工場の中のシステムも、より高度になってきて、分野によっては日本を追い越すレベルになっていて、10〜15年前とは全然違う状況です。

対して東南アジアは、少し前の中国のように、これからというところだと思います。東南アジアに今、工場がどんどん新設されていますが、工場の中の人のスキルや考え方、社内のインフラなどは、まだこれからというところと思います。生産スケジューラのようなものが必要とされる状況は、もう少し後なのかなと感じています。徐々に、こういうソフトウェアを使うと何とかなるんだねと、今はまだ人手でまかなっているのだけど、将来的にはこういうソフトウェアを使いたいね、という過渡期にあるのかなと。東南アジアは今後すごく成長していく、伸びていく、そういう場になると思います。

私たちのお客様は、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどにいますが、でもそれらの国々はそれぞれ違うのです。東南アジアとひとくくりで見てはダメで、それぞれ宗教も、発展度合いも、国の成り立ちや主義も違うので、一カ国だけ見ても東南アジアを本当に知ることにはなりません。

インドはインドでまた独特で、非常に意欲的だと思います。工場もどんどん設立され、生産量も上がっています。インドの人たちは生産スケジューラを見て、これはいいね、どんどんやろうよと言ってくれることが多いです。意欲的なのですが、では生産スケジューラを使ってみましょうという準備や手順が、あまりうまく進む感じでもなく、まず、いいね、やってみようという、意欲が先行しているようです。だんだん理解と準備が進んできて、インドでもアスプローバの知名度が上がってきて、徐々にユーザーが増えてきている段階です。

ーー工場が日本に戻ってくる、という話もありますが…

私は詳しくはわかりませんが、日本に戻ってきた工場でも、人件費の問題がありますし、さらに高い生産性や効率性を求めて、人を使わないでという方向に持っていくかもしれないですね。例えばドイツがインダストリー4.0という言葉を何年も前に言い始めたのですが、工場自体を改善しよう、オートメーションで、人がいなくてもものが作れる、そういう工場を作ろうというのがあります。ニュースなどでも、例えばユニクロで無人の工場を作るみたいな話があります。でも皆が皆そうはなれなくて、よほど投資ができるところでないと難しいと思います。

アスプローバ株式会社のオフィス

難しい問題をよりシンプルに解くこと

ーーアスプローバの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

まず、非常に問題が難しいのですが、難しい問題をよりシンプルに解かなければいけない。当然、ソフトウェアとしても、かなり難度が高く、また、25年の蓄積があり、書き溜めてきたソースコードの量もかなり膨大になっています。C++で書かれていますが、求められるプログラマーのスキルはかなり高くならざるを得ない。データ構造、アルゴリズム、プログラムの読み書きのスピード、ノウハウ、能力、かなり高いものが求められます。どちらかというと、今流行りのプログラミングやソフトウェアのスタイルと違うかもしれませんが、20〜25年かけて一つのプログラムを延々と研究して作り続ける、そういう環境です。それは誰にでもできることではないので、本当に腕に自信があるプログラマーが各国から集まってきています。別に国を選んでいるわけではないのですが、別け隔てなく募集をかけていると、様々な国から来てくれます。基本的にプログラミング能力が高く、プログラミングが大好きでしょうがない人たちであれば、どこにいる人でも採用します。そういう人たちは、すごく優秀で、入社してから日本語を学ぶなども、苦もなくやり遂げてしまうような人たちです。その人たちに対して、特別に教えないといけないことはそれほどなくて、それより、弊社の理念を共有して、チームで仕事をすることを、日々積み重ねていきます。あとは、お客様とより多く接して、お客様がどういうことに困っていて、どういう課題を解決したいのかを、間違いなく理解することが重要です。

ーー海外から来ている人たちと日本の若者の違いはありますか?

一つは、海外から来る人は、まず何よりも日本が好き、日本で働きたいというのが念頭にあります。日本の文化が好きというのがあって、日本のアニメや漫画が好きという人もいるし、そういうサブカルチャーでなく、日本の禅、囲碁、寺などがいいという人もいます。マインドも日本人的な人が多いのです。そういう人たちは、日本に行くこと、日本で働くこと自体に喜びを感じますので、そこでプログラミングの力を発揮できる環境ですよ、というだけで結構満足で、会社の知名度などではあまり判断しません。世界的な大企業でもなく、人数も十数人の会社ですが、日本でプログラミングしていろいろな国から来ている楽しそうな会社で、しかも業績も良いので給料もいいというと、祖国の親御さんなどから「早く帰ってきなさい」ではなく、逆に「もっと日本で働きなさい」と言われるらしい。

日本の人たちは、自分の知っている会社、ふだん目にする企業に、どうしても親近感を覚えるので、うちのように知名度も高くない、十数人の会社に入って仕事をするということに、障害、障壁を感じてしまう人が多いのかなと思います。最終的にうちと、ある大企業との間で悩んで、そっちの大企業に行くというパターンが多いです。知名度、その人の持つ親近感、憧れ、オフィスの華やかさ、そういうところを見ているのかな。それでも、あえてうちがいいと言ってくれる人も、もちろんいます。

実社会の問題を解くアスプローバのプログラミング・コンテスト

アスプローバでは、プログラミング・コンテストを去年の夏から連続して4回開催しています。世間一般の人たちには、生産スケジューラや工場の中の難しい最適化の問題は馴染みがなく、それはプログラミング好きの人でも同じです。でも、プログラミング・コンテストをやると、アルゴリズムやデータ構造などにすごく興味のある、腕に自信のある人が集まってきます。また、これからプログラムを勉強してみたいという人も、最近はプログラミング・コンテストとか、競技プログラミングという世界からプログラムを学んでいくことが多くなっています。私が若い頃とずいぶん違うようです。そういう人たちに、私たち社員が取り組んでいるような課題を、そのままに近い形で解いてもらう。すると、競技プログラミングなどをやっている人たちに、世の中にはこういう問題があるというのを、実際に知ってもらう機会となり、そういうのがわかるアスプローバ社のプログラミング・コンテストっていいよね、と言ってもらえます。そういう実際の問題に対して、自分たちが得意としているアルゴリズムでどういうことができるのか、実際に挑戦してもらう。もしかすると、教科書に載っているような問題を解くよりも、実際に世界中の誰かが困っているような問題を解く、そういう機会に触れることが、けっこう貴重なのかもしれません。

参加している人たちに、基本的には楽しんでもらうことが、いちばんの目的なので、プログラミング・コンテストが終わると一度オフ会を開いて集まっていただいています。コンテストの開催期間は1〜2週間ぐらいですが、そこでやりあった仲間たちと集まり、食事も一緒にしながら、ああだよね、こうだよねと交流を深める。そこには仕事とはまた違った、と言っても、力の入れようは趣味の範疇を越えているのですが、交流、切磋琢磨、新しい発見、そういったことができる、参加者にとっても、私たち社員にとっても、学びの多い場となっています。

アスプローバ株式会社取締役社長田中 智宏 氏

ーー小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

特に日本などの先進国にいると、飢餓などで苦しむような状況ではないと思います。日本にも貧困問題はあるので一概には言えませんが、わりとモノ的には豊かで、食事とか衣料とか物量としてはかなりあるし、環境としては整っていると思います。すると若い人たちは、目標というか、なんのために勉強や仕事をするのか、モヤッとしてわからなくなってしまうこともあるかと思うのですが、自分が楽しいと思ったことは、どんどんやっていいと思います。他人の目を気にする必要は無いと思うのです。楽しいことを、どんどん突き詰めてください。世の中いろいろなことがやり尽くされてしまっていたり、外国からいろいろなものが来て、自分の力を発揮する場がないみたいな印象が、もしかするとあるのかもしれませんが、そんなことはなくて、とにかく楽しいと思ったことを普通に楽しんでいいのです。社会課題のところでも言いましたが、この豊かさもほんの数十年のできごとなのです。ちょっと前まで戦争が多かったり、その前は産業革命が起きる前の、科学のあまり発達していない段階で、感染病で若いうちに死んでしまう人も多かった。科学が発達していないから、今なら簡単に解決できることが解決できなくて、人が苦しんで、パタリと命が終わってしまう。今は医療も発達して、例えば心理学なども発達している。昔はそこまで心理学が発達していないから、ものの考え方は生まれてから死ぬまでさほど変わったり勉強するようなことも、もしかするとなかったかもしれない。今はかなりいろいろな心理学が研究されていて、何か悪いことがあると、外に原因を探すかわりに、自分の内面に実は課題や反省点があり、性格を変えて善処するなど、そういう「幸せになり方」みたいなのができつつある。そういう意味では、この数十年を生きている私たちというのは、過去の700万年を生きてきた人たちからすると、ものすごく恵まれていると思います。それを忘れがちだと思うのです。今の状況しか目に入らないし、それが当たり前と思ってしまう。でもそれは人類の700万年という歴史から見たら全然当たり前のことではない。そういうのをどこかで思い出して、自覚するといいのではないかと思います。ちょっと前の戦争の時の話を見聞きするのでもいいし、もっと前の話でもいいと思います。そうすると、すごく恵まれた環境にあるのだなというのがわかり、旅行に行くとか、年取ってから孫と遊ぶとか、昔はそういうことができなかった人の方が多いと思いますが、今はできるので、苦しい状況があっても自分次第でより幸せになる要素が多いのではないでしょうか。昔は自分の力ではどうすることもできなかったことが、今は自分次第でできるということが少しずつ増えている。それがわかるといいのではないかなというのが一つ。

仕事とは、「将来のチャンスを掴むための準備」

もう一つ言わせてもらうと、最近読んだ本で、すごくいいなと思ったことがあります。ロス・ブラウンというイギリス人で、F-1で年間チャンピオンをたくさん取ったエンジニアやチーム監督をやった人で、もう高齢で競技からは引退していますが、過去を振り返る本の中で、こんなことを言っていました。若い人は、これから仕事をしますよね。何をしてもいいのですが、では仕事って何か、仕事の幸せって何かというと、「将来来るかもしれないチャンスを掴むための準備だ」と。準備をすることが仕事そのものだったり、仕事の幸せだったりするのだと。どんなチャンスが来るのか予測するのはとても難しいですが、でもチャンスが来た時にもし自分がその準備を何もしていなかったら、そのチャンスを掴めない。だから、将来来るかもしれないチャンスを掴むために、準備をする。そのためには、よりよいビジョンというか、人として正しい行いをして、見聞を広めて、あらゆる可能性を、目の前にあるのだけど目に入らない状況ではなく、ちゃんと関心を持って、自分の楽しいこと、自分だったらこれができるということを、できるだけ見つけて、準備をする。すると何年先、何十年先かわかりませんが、チャンスが来た時にその準備が報われて、自分自身はもちろん、世の中の他の人たちをも幸せにすることができる。それが仕事の幸せなんだ、ということをその本で読んで、最近とても気に入っているので、こういう機会に若い人に伝えたいと思います。

ーーアスプローバをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

弊社は大岡山から始まっています。私はまだ入社していませんが、創業者の高橋が東工大なので大学の近くに社を構えた。大岡山から戸越銀座に移り、会社も少しずつ大きくなり、戸越銀座も手狭になり、お客様に来てもらうのに少し不便なこともあり、ではということで、次は五反田に移ってきました。だんだん都心に近づいてきているのですが、戸越銀座から急に六本木ヒルズなどではなく、恵比寿でもなく、品川でもなく、五反田がいいよね、と。わりと庶民的なところがあるのと、懐にも優しいし、人的にも優しい、交通の便もよくて、私たちに合っているなという気がします。食べ物も美味しいし、活気もあるし。昼間もいいですが、夜お酒を飲むような時に、おしゃれなバーもあれば、ワイワイ楽しめる居酒屋もある。そういう面でも、すごく仕事がしやすい場所かなと。

新しい企業、若い人々との出会いが、新たな発展につながる「五反田バレー」

一般社団法人五反田バレーにも入会しました。私たちは工場の生産スケジューラを作るというかなりニッチなところにいて、いつも同じような方々と仕事をすることが多かったので、それ以外の業種や分野の人たちと触れ合う機会が実はあまりなかったのです。一般社団法人五反田バレーの存在を知って見てみると、会社の規模はさほど大きくないところから大きいところまでたくさんあって、すごく元気のいい若々しい企業が多いのですね。私たち、ベンチャーと言われることが多いのですが、もう創業25年経っている中で、そういった新しい企業、若々しい人たちと触れ合うことによって、また新しい発展があることを期待して入会しました。Slackで来る通知など見て、イベントに参加したりして交流を深めたいと思っています。

アスプローバ株式会社様へ
「次世代レポーター」からの取材感想

 「最善の良い計画を秒単位で立てる生産スケジューラによって、工場の無駄な生産とそれに伴う残業を減らすことは、今後益々持続可能な社会づくりに大きく貢献していくと思いました。お話から、最適な計画を立てること、それはつまり“人の幸せ”のために計画を立てることなのだと強く感じられました。「最善の良い計画」と聞くと、効率は良いが人は疲弊してしまうということを私ははじめ想像してしまいました。しかし決してそうではなく、効率的かつ無理のない生産活動を計画することで、人にも環境にも優しいモノづくりが可能になるのだと思いました。
また世界に拠点を持つ企業であるにも関わらず、「若々しい企業が多い五反田バレーに参加することで、新しい発見をこれからも見出していきたい」とおっしゃっており、その謙虚で学ぶことに貪欲な姿が強く印象に残りました。その姿勢は、若い人に期待していることとして「どんどん好きなことをチャレンジして、自分の内面に反省点を見つけてほしい」という趣旨のことをおっしゃったことと重なるように感じました。そんな社長の若い人への期待に応えられるように、私自身これからの学生生活を過ごしていきたいと思いました。」(立正大学大学院臨床心理学専攻修士課程1年 田崎 正和)

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)