企業インタビュー(4) ソーシャルアクションカンパニー株式会社様

通称「五反田バレー」地区をベースに、STI(科学技術イノベーション)の力でSDGs(2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)などの社会課題に挑戦する、素敵な企業をご紹介するシリーズ。

第四弾は、ブロックチェーンなどの技術を使い、これまで証明できなかった1人1人の社会貢献を見える化し、より多くの人の活動(ソーシャルアクション)を定量化、「愛と勇気とお金の等価交換」を実現するプラットフォーム「アクトコイン」を提供する、ソーシャルアクションカンパニー株式会社様です。

2019年10月4日、西五反田のアイオス五反田駅前ビル5階にあるソーシャルアクションカンパニー株式会社様におじゃまして、CEO佐藤正隆様にお話をうかがいました。今回も「次世代レポーター」として立正大学品川キャンパスの学生、そして撮影スタッフとして関東学院大学人間共生学部の学生も取材に参加しました!

ソーシャルアクションカンパニー株式会社 代表取締役 佐藤 正隆 氏

ーーソーシャルアクションカンパニーのオフィスに入ると、インターン学生を含む若い方々とCEOがテーブルを囲んで侃々諤々、企画会議の真っ最中でした!

愛と勇気とお金の等価交換

ーーさっそくですが、佐藤さん、ソーシャルアクションカンパニーとは、どんな会社なのでしょうか?

ソーシャルアクションカンパニーは、2018年5月設立の会社です。設立前から、NPO業界やソーシャルビジネスに5年ぐらい関わってきました。経済的な価値が労働対価(給料など)になり、それが指標になっている今の社会と、一方でボランティアや寄付といった社会貢献が可視化されていないことに、疑問を感じていたというのが、アクトコインというビジネスを創るきっかけでした。2017年末ぐらいから構想を始め、2018年1月から春にかけてアクトコインという名前ができました。その時に、世界を少し良くする力として、「愛と勇気とお金の等価交換を実現する」というビジョンを立てました。

ーー今、世界には、SDGsに掲げられているような様々な課題があります。ソーシャルアクションカンパニーが重視するグローバルな課題とは?

SDGsには17の目標がありますが、さらにその下にたくさんのターゲットがあって、我々ができるところも、たくさんありますよね。まず今よりも少しだけ良くするためには、そこで活動する個人たちがアクターになっていかないといけないということで、アクトコインでは「ソーシャルアクター」と呼んでいるのですが、そのアクターをいかに増やすかというところを、今やっています。SDGsの目標でいうと、17番にあたるパートナーシップと協働を強く推進していくプラットフォームがアクトコインです。もともとは、アクトコインを企業や公的な機関に使ってもらいたいというよりも、個人というところから始まっています。例えば日本でも、地方で人知れずボランティアをやって課題解決に向かっている人たちもいるのですが、そういった人たちが見える化していないがゆえに、社会課題を知らない大人もたくさんいる、というのが現状だと思うのです。1つの問題でも、いろいろな切り口で取り組んでいかないと、なかなか解決に向かわないので、そういったことをまず大人が知るという意味で、このアクトコインでソーシャルアクターをたくさん創り、実際に知ったことで行動に移っていく、そういったアプリケーションを実現したいと思っています。

ユーザーフレンドリーな「アクトコイン」のアプリケーション

ーーそういった社会課題に挑戦するソーシャルアクションカンパニーの取り組みや、課題解決につながる技術についてお聞かせください。

テクノロジーに関しては、2つあります。1つ目は、IT技術、例えばスマートフォンのアプリケーションにおいても、使いやすくて楽しい形を実現していきたいなと思っています。ですからデザインも、非常にフレンドリーかなと思います。これまでの、社会貢献というと少し違う世界のもの、というようなイメージではなく、学生から大人まで、みんなが参加して楽しくやれる、という雰囲気作りをしていまして、そういった意味では、アプリケーションの開発にも非常にこだわっています。

2つ目は、ブロックチェーンの活用です。私が2017年頃に構想していた頃、ちょうど仮想通貨にブロックチェーンが使われて、いろいろな事件もあったかと思いますが、その時に私がやろうと決めたのは、社会貢献を可視化しよう、そこにブロックチェーンが役に立つのではないかということでした。ブロックチェーンは匿名性があって透明性が高い技術なのですが、社会貢献を可視化していくという意味でブロックチェーンのデータベースに個人のアクションが記録されていくというものはそれまで全然なかったので、社会貢献を可視化するブロックチェーンのデータベースをアクトコインで作ったわけです。今はアクトコインの中での社会貢献だけしかブロックチェーンに書かれないようになっていますが、アクトコインの理想としては、これからいろいろなサービスとどんどん繋がっていって、アクトコイン以外のサービスにおいても社会貢献活動がブロックチェーンに書かれるようになり、社会貢献を記録するスタンダードなデータベースが1つできればと思います。APIという、いろいろなシステムどうしが繋がってデータが行き来する技術があるので、どこで社会貢献をしてもアクトコインと繋がっているというイメージで、2025年ぐらいまでには、社会貢献のスタンダードなブロックチェーン・システムにまで発展させていけたらなと思っています。

社会貢献を可視化、新しい価値に

ーーアクトコインは、仮想通貨なのですか?

アクトコインは仮想通貨に類似していますが、仮想通貨ではありません。売ることも買うこともできません。電子トークン、ポイントと言ってもいいですが。

ポイントというのは、日本人には馴染みがありますが、でも、もしこれがアクトポイントだったら、イノベーティブな感じが伝わらないと思うのです。これまでの延長かと思われてしまう。私がやろうとしているのは、社会貢献を可視化して、社会貢献に価値を与えようということで、将来的には日本円を出さなくても、このコインで何かできるようにしていこうとしています。ポイントも今、それに近いことにはなっていますが、これまでの概念を超えてアクトコインというのを広げていきたいと思っているので、アクトコインという名前をつける時に、いろいろな人から「コインってつけて大丈夫?」と言われたのですが、「いや、コインで行く。新しい価値にしていくので、ポイントという名前は使いません」と、そこはけっこうこだわっています。それでよかったと思っています。学生などは、「これって仮想通貨なのかな?」というところから興味関心を抱いて、「あれ?ブロックチェーンというのを使っているらしいよ。仮想通貨なのかな?これ何なのだろう?え、買えないし売れないってどういうこと?」みたいなところから入ってきてくれても、全然いいかなと思っています。

「アクトコイン」とブロックチェーンの関係の概念図

ーー実際に、どういうことが起きるのでしょうか?

まず、「プロジェクトオーナー」という言い方をしていますが、企業や自治体や任意団体の方が、何かイベントに参加してください、もしくは、こういうアクションをしてください、といったことをプロジェクトとして立てます。そこに参加などのアクションをするのは個人ユーザーです。プロジェクトオーナーには専用の管理画面を渡していまして、そこでプロジェクトも作れるし、プロジェクトに参加した人にコインの付与も簡単にできるようになっています。

3つの方法でコインを獲得

コインをもらう方法は3つあります。まず、プロジェクトオーナーが作ったプロジェクトに参加すると、1時間あたり1000アクトコイン。参加はできないけど、SNS(Facebook、Twitter)でシェアすると、100アクトコイン。もう1つは、その団体に寄付をする。これはアクトコインの中で寄付をするのではなく、普通にどこかの団体に寄付をした時に、その団体から領収書、寄付証明書をもらえるのですが、その証明書を写真に撮って、アプリからアップロードすると、寄附金額の10%(例えば1000円寄付すると100アクトコイン)のコインがたまります。

ーー社会貢献の内容によって、評価基準はどのようになっているのですか?

寄付は金額なのでみな平等だし、シェアは1回あたり100アクトコインですが、参加だけは、学ぶ、勉強しに行くのと、例えば被災地にボランティアに行くのは、質が違うと思います。そこに関して、今は1時間1000アクトコインと同じ設定なのですが、これは近いうちに、3段階、もしくは5段階に分かれていきます。例えば、まだ社会課題のことをよくわからない、こういったことに興味があるので、まずは学んでいきたいという人に関しては、1時間あたりのコインが少なくて、例えばゴミ拾いの活動だったり、自らが汗をかいて行動するものに関してはこのレベル、さらに移動距離が長かったり、緊急性の高いものに参加すると、もらえるコインが割合として大きくなるとか、そういった形で、少し段階分けをしようと思っています。

ーーなるほど。最初に2030億アクトコインを発行したのは、SDGs達成目標の2030年に掛けたのでしょうか?

そうですね、2030年までに目標を達成しようというのがまず1つと、もう1つ、社会貢献を可視化していくというのは、2〜3年でできるわけではないだろうと思った時に、このサービス自体が、「働く」とか「幸せ」とかの要素は何か、社会に貢献することだ、という文化というか価値観を、2030年ぐらいまで10年あれば何かやれるな、というところで設定しています。数字は何でもよかったのですが、でもやはり2030億にしたのは、そういう意味付けです。2030億枚を配布していって、それを使えるようにしていき、使われたらまた戻りますので、2030億枚が付与されるのと使われるのとで、循環していく形になりますね。

2030億アクトコインが循環する世界をめざす

ーーその他に、今後の展望として考えていることはありますか?

まずは、このアクトコインというサービスにたくさんのユーザーが集って、社会貢献に参加したり寄付をしたり、そういったトランザクションが、やっていて楽しい、コインがもらえると嬉しい、みたいな形で、まずは進めています。現在3500ユーザーぐらいですが、東京オリンピックまでに3万ユーザーを目指しています。ユーザーをある程度の数に増やしていくことによって、アクトコインのインパクトを高めていくというところが、まず1つあります。

さらに社会実装として広く普及していくためには、企業や自治体との協働が必要になってきます。現在企画中ですが、自治体版、企業版のアクトコインというのを、これから準備を進めていって、2020年以降はそれをサービスとしていろいろな自治体や企業に使っていただき、そこで参加する人たちがすべてアクトコインのユーザーとなって、社会貢献をするとコインがもらえるという実体験をする人たちがどんどん増えていくような状態にしていきたいなと思っています。

ーーそれは、これまでのアクトコインと、どう違うのでしょう?

現在もプロジェクトオーナーとして企業や自治体はアクトコインの中にいますが、企業だとやはり自分たちの中だけでやりたいよねというのがあって、企業の中だけでアクトコインの機能が使える有償サービスに対するニーズがあるのです。アクトコイン自体は誰でも無料で使えるサービスとして継続しつつ、アクトコインのシステムを応用して、企業や自治体の中で活用できる有料サービスも、今後提供していこうと思っています。

アクターは個人で、企業はプロジェクトへの参加を促す役割です。企業の貢献度については、コインを付与したプロジェクト、付与した人数、付与したコインの数が指標になります。企業内の社員がどれだけ社会貢献しているかを、企業のくくりとして見れるのが、企業版のメリットです。今はアクトコインの中で、プロジェクトオーナーとして企業がページを作った時には、企業以外の人が参加してくるという良さもあります。でも、まずは企業の中で完全クローズで使いたい、社員教育の一環や、福利厚生でやりたい、という企業には、企業向けのプランをご利用いただき、アクトコインと同じ機能を使っていただく。そこでたまったコインはアクトコインと連携していく、というイメージです。企業は、社員が何人参加して、どういうプロジェクトにどれぐらいのコインが付与されたのか、可視化されることで、企業の社会貢献が見える化されるわけです。

ソーシャルアクションカンパニー株式会社 代表取締役 佐藤 正隆 氏

それ以降に関しては、まだ具体的ではありませんが、個人が社会貢献をするとコインがもらえるということでモチベーションが維持されるというのがサービスとして最もだいじな大前提として、では、たまったコインが何に使えるかというところに関しても、いろいろとお問い合わせいただいていまして、そこも今、企画しています。

アクトコイン活用イメージ

ーーそれは楽しみですね。具体的には、どういうところに使えそうだと思いますか?

使うというところに関しては、すべて企画ベースになると思います。例えばアクトコインのユーザーが3万人になった時に、1万アクトコイン以上持っている人たちに、こういう使い方をしてほしいという企業が出てきたら、そことタイアップして、その企業からいただくお金でその人が何かアクションできるとか。例えば、地方自治体が主催するイベントに、社会性の高い人を都心から呼びたいとします。そこで、アクトコインを持っている人たちはアクトコインを使って入場料が無料になるとか、もしくはその街で宿泊する宿代が無料になるとか、そういったこともすべて、自治体や企業の企画ベースですね。そこがアクトインのビジネスになっていくと思います。

ーー災害も、多様な人々が協働する機会かと思いますが・・・

もちろん災害も、アクターが活動する1つのタイミングだと思うので、そこのアプローチはしていきたいです。取締役の石川も災害関連のことをやっていますので。ただ、アクトコイン自体が、2019年2月1日に開始したばかりで、2〜3年やっているサービスではなく、やっと8ヶ月過ぎたところです。これからは、災害、気候変動、子どもや人に関すること、というように、もしかするとセグメントされて、アクトコインの使い方のレギュレーションがもっとカテゴリーごとにわかりやすくなっていくのが望ましいかもしれないですね。今は全方位で情報を伝えようとしているので、少しコミュニケーション・ロスがある部分はありますね。たしかに、災害が起きた時にすぐに情報を伝えていって使っていただけるような、もしくはつい先月に起きた災害に対して、アクトコインを付与しますというような、過去のものに対して証明していけるようなものも、あってもいいかもしれません。

その他、ボランティアに行く時のボランティア保険を、アクトコインを持っている人は免除されるとか、アクトコインが使えるとか、もしくはアクトコインの中からオンラインでボランティア保険に入れるとか、そういうこともやっていけたらいいなと思っています。保険会社とも組めるのではないかと思っています。

官公庁や企業から注目

いろいろな省庁でアクトコインを説明に行かせていただいていまして、そういった中でも、関心高い人がだいたい私と同じ世代なのです。今まで省庁で働いてきたり、もしくは大企業で働いていて省庁に出向している人とか、そういった30〜40代前半の方々がアクトコインをピックアップしていただいて、こういうのがこれから必要ですよ、みたいな話でどんどん繋がっていっているのです。

企業も同じです。実は昨日、大企業の社員と一緒に食事をしたのですが、私も大阪で会社を経営していますし、企業の経営者も課題を持っていて、社員もこれからどのように仕事に関わっていくか、働き方がだいぶ変化してきていると思います。今までの中小企業では、雇用しているのだから100〜120%貢献してもらわないと、みたいなところがけっこうあったのが、そういう会社には人が集まらないので、働く人が曜日や時間や場所を選べるような社会に、これからなっていくと思うのです。例えば、私は来期はボランティア活動をやりたいので、出勤を週5から週3に変えてください、というのが簡単に申請できて受理されるような日本に、たぶんなっていくと思うのです。大企業の一部はもうなっています。副業であれば、その副業で得た収入というのは定量化されているわけですが、そうではない場合、今は何も見えていないので、そこにアクトコインがどんどん使われていくといいかなと思っています。

ーーグローバル展開も視野に入れていますか?

東京オリンピックを目処に、英語版をリリースできたらいいなと思って今、進めています。英語版をリリースすることによって、アプリにおいては世界共通で、アジアや欧米でプロジェクトオーナーが増えていけば、その地域で広がっていくと思って、そういったところはやっていきたいなと思っています。

日本らしいボランティア文化をグローバルに可視化

ーー海外と日本で、ボランティアに対する意識は異なると思いますか?

なんとなくですが、アメリカなどの方が、ビジネスは合理的に、そのビジネスで得たものやそのリソースの余力をボランティアに充てていく、みたいなところが、日本よりもはっきり分かれているかなと思いますね。日本人って、曖昧さを持った国民だと思うのです。日本語の言葉のニュアンスの細かさは、よく外国人に驚かれますが、日本語があれほど多様になっているのも、中国の文化、欧米の文化、いろいろなものを吸収して、それらがミックスされているからでしょう。ボランティアも、今は欧米起源のボランティアというものがありますが、実はお寺や神社という文化が昔からあって、ある意味ボランティア的なものが、日本人の生活、ライフスタイルの中にあったと思うのです。だから今さらそれを可視化するというのは、昔ながらの日本人的には、なくてもいいかもしれませんが、現代のグローバルな世界で、学生たちも留学など海外へ出ることが当たり前になっている中で、時代も変わってきたというのはありますよね。昔は村社会だったので、村の中に神社やお寺があって、地域自治、町内会などもある。それらもボランティア活動だったと思うし、今もあるのですが、今はインターネットやスマートフォンが普及したことで、村社会の中だけではとどまらなくなってしまった。世界にいつでもリーチできて、比べられるようになってきた、という中で、日本人は日本人で自発的にやればいいのかというと、でも私の経験として、課題がたくさんあって、そこに関わっている人もたくさんいるのに、そういうのを知らない日本人もたくさんいるのです。可視化することで、課題や、そこに関わってきた人たちのことを知ってもらって、少しモチベーションが上がったり、というのも必要なことだと思うので、アクトコインを使っていただいて、可視化できたら素晴らしいなと思っています。

ーーソーシャルアクションカンパニーの経営者として、イノベーティブなアイデアの創出や、イノベーティブ人財の育成について、どのような仕組みづくりや工夫をしていますか?

今はイノベーションというのも、どちらかというと、社会貢献をしたら嬉しい、楽しい、喜びに繋がる、究極的に言うと幸せに繋がる、というように思っていまして、であるならば、それがいいと思っている人たちは、すでにやっているはずです。そういう人たちを可視化してあげたいという思いがまずあって、同じく、社員に関しても、こういったサービス自体が新しいものなので、アクトコインを広げたい人は、大学生や社会人の中にたくさんいると思います。人材獲得と採用については、私たちのやっていることを知っていただいた時に、これを一緒にやりたいという方は日本全国にたくさんいるので、そういう人たちと一緒にアクトコインを広げていけたらなと思っています。

グリーンがあふれるソーシャルアクションカンパニー株式会社のディスカッションスペース

若い世代がアクトコインのアンバサダーに

今、大学生のアルバイトが5人、インターン(「ユースアンバサダープログラム」という大学生が参加できる枠)が15名以上になっています。ユースアンバサダープログラムは学生主導で作ったのですが、いきなりアルバイトで働くのではなく、学生が運営する中に、アクトコインに興味関心があるので私も関わりたいという人たちが気軽に関わってもらえるようなグループになっています。今後は、このユースアンバサダープログラムが主催するアクトコインのプロジェクトに、またさらに学生が来たり、社会人、企業とコラボレーションしてイベントをやったり、というような企画を考えています。

高校生に関しては、東京都内の高校でプロジェクトオーナーがすでに誕生して、高校の部活動で使われるようになっています。いわゆるボランティア部みたいな部活動です。それは大学でもありえると思いますが、今、中高大学生からの関心は非常に高いので、若い人にどんどん参加していただきたいと思います。

ーー逆に、上の世代の方々の反応はどうでしょう?

上の世代の反応は分かれます。例えば60代以上の方を想像した時に、当然いろいろな価値観の人たちがいるので、良いという人も悪いという人もいるのですが、これまでの60代の方々でボランティアイズムに優れた人は、ボランティアをわざわざ可視化するものではない、当然のことながらやっているのだという意識があるようです。たしかに、ボランティアは素晴らしいですが、そのボランティア自体が、やはりクローズドなのですよ。今、最重要なのは、ボランティアをオープンにして、それをやっている人たちをちゃんと評価して、価値にしていくということで、だからやっている本人が出したい、出したくない、ではないのです。今どんどん社会課題が複雑化していて、課題ではなくなってきているものもある一方で、新たな課題も出てきています。それらをみんなで一緒に、活動の量も測りながらアクションしていく、価値を増やす。可視化すればアクションする人たちも増えていくと思うのですが、そういう意味では、60代以上でボランティアをやっている人たちに関しては、アクトコインを説明するのに、すごく時間がかかります。説明しても、もらった1000アクトコインは、「何これ?」みたいな、「可視化ってどういうこと?」みたいな話になることが往々にしてあります。逆に、若者にはスッと入るようです。

ーーソーシャルアクションカンパニーをはじめ、テクノロジーで社会課題に挑戦するイノベーティブな企業が集まる、通称「五反田バレー」地区の魅力や、企業と地域の関わりについて、教えて下さい。

「五反田って大阪っぽい」

もともと渋谷で創業して、五反田に移ってきました。私自身がもともと大阪でIT企業を経営しているのですが、五反田ってすごく大阪っぽいなというところがあって、わりと駅、お店、人が近くて、コンパクトで、生活しやすい街だなという印象ですね。

今後は他のIT企業とのお付き合いの場もあるといいですね。アクトコインで2ヶ月に1回、アクトコインのユーザーやプロジェクトオーナー向けのミートアップ・イベントをやっています。ユーザーやプロジェクトオーナーが、お互い会う機会がないので、会う場があったらいいね、という話がありまして、それをアクトコイン側として2ヶ月に1回、やっていこうということで、勉強会をセットにした懇親会をやっています。9月に第1回をしたばかりで、20人ぐらいでしたが、徐々に広げていきたいと思います。これに参加するとコインがたまるように、ゲスト講師を招いて学ぶ場にもしつつ、プロジェクトオーナーになろうと思っている人たちにも来ていただいて、そこで直接ご説明したりしています。

ソーシャルアクションカンパニー株式会社のオフィスから眺める東急池上線

ーー最後にあらためて、小中学生、高校生、大学生など若い世代に伝えたいメッセージをおねがいします。

今の2019年から2030年までに、これまでのインターネットで起きてきたことの、さらに速いスピードで、いろいろなことが変わっていくと思うのですが、でも結局のところITは活用していかないといけないので、このアクトコインなどもそうですが、若い人にどんどんITを活用して、社会課題解決に興味関心を持っていただきたいです。まずは知らないといけないので、学生のうちに、SDGsや、気候変動や、再生可能エネルギーなど、学べることはたくさんあるので、そういったことをどんどん吸収して、ソーシャルアクターになってほしいですね。卒業する時にはアクトコインをすでにダウンロードしていて、ソーシャルアクターの学生がたくさん世の中に出てきてほしいなと思っています。

ソーシャルアクションカンパニー株式会社様へ
「次世代レポーター」からの取材感想

「ただボランティアに参加する以上に、深い意味を持たせたり、より広く社会的影響を与えることができることをソーシャルアクションカンパニー株式会社では行っていた。ボランティアは表立って行うものではないと、このインタビューをする前まで考えていたが、話を通じて可視化されることの重要性を認識した。可視化されない活動は、普段その活動に参加しない人にとっては知る由もないことであり、活動の縮小に少なからず影響してしまう。しかし、可視化されることによって多くの人が活動の存在自体を知ることができ、活動の拡大に影響を与えることができる。多くの人がボランティアに参加できるような環境を作るために、ボランティア活動を可視化していくことが重要なのだと理解した。また、ボランティア活動が周知されるだけでなく、誰が、どのくらい、社会貢献をしているかも見えるようになるため、人にも価値を与えることができる。人に見える価値がつくことはより先進的なことであると同時に少なからずの恐怖を感じるが、社会貢献という良い面を価値化していくことはとても魅力的に思った。」(立正大学心理学部3年 馬塲 孝佳)

ソーシャルアクションカンパニー株式会社 ロゴマーク

聞き手:木村京子(エシカルコンシェルジュ)

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